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auのスターリンク、登山・天気アプリやXでデータ通信が可能に

KDDIは、衛星とスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」において、28日から、「衛星モード」対応アプリがデータ通信を利用できるようにした。Starlink(スターリンク)の衛星とスマートフォンとの直接通信において、アプリがデータ通信できるようになるのは世界初としている。

au Starlink Directは、スターリンク衛星とスマートフォンの直接通信サービス。空が見えれば圏外エリアでも通信できる。4月のサービス開始からこれまでは、SMSとテキストメッセージの送受信、現在地の位置情報共有、緊急地震速報やJアラートの受信、Androidスマートフォンの「Gemini」に利用が限られていた。

一方、幅広いアプリによるデータ通信への対応は折に触れて案内されており、実証実験なども行なわれてきた。28日からは、登山や天気といった19のアプリが「au Starlink Direct」で利用できるようになった。

au Starlink Directにて対応アプリでデータ通信が行なえる端末は、Google Pixel 10シリーズ(4機種)と、au版のGalaxy Z Fold7/Flip7の合計6機種。対応端末は順次拡大予定で、既存端末も一部はソフトウェア更新で対応でき、端末メーカーにも対応を呼びかけていく。

au Starlink Directにて対応アプリでデータ通信が行なえる端末

au Starlink Direct 対応アプリ


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au Starlink Direct 対応アプリ

スマートフォンがスターリンク衛星と通信する際、OS(Android、iOS)は「衛星モード」に切り替わる。今回、Androidアプリ側で、衛星モードに対応する改修とアップデートを実施することで、衛星モードの端末にてデータ通信を利用できるようになった。

アプリが衛星モードに対応するための技術情報は、KDDIから近日中に公開される予定。開発を支援するサポートサイトも開設され、KDDIからアプリ最適化などについて協力も得られるという。なお、アプリの衛星モードへの対応自体にKDDIの許可は不要で、技術情報が公開された後は、アプリ開発者側で任意に衛星モードへの対応・改修を行なえるとしている。

アプリ開発サポートサイトを開設

衛星モードに対応したアプリは、限られた通信帯域を利用するため、データ通信量を削減したり、動画を静止画に差し替えたりすることが推奨される。また、衛星モードで接続していることを分かりやすく表示することも推奨される。

衛星モードでは右上のOSのピクトグラムも衛星になる
「auナビウォーク」アプリ。衛星モードに切り替わったことを表示

例えば今回、「Google マップ」が衛星モードに対応しているが、衛星モード利用中は、衛星ネットワークを使用中であること、アプリのパフォーマンスが低下する可能性があること、空の見える場所に移動すること、(次回の接続までに)オフラインマップのダウンロードを推奨する、といった案内が表示される。

Google マップの衛星モード。衛星ネットワークを使用中であることなどを表示している

同様に天気アプリ「ウェザーニュース」の衛星モードは、表示内容が天気関連で厳選され、データ通信量を抑えた表示になる。

天気アプリ「ウェザーニュース」。左が通常版、右が衛星モードでの表示

登山アプリ「YAMAP」は、地図データのダウンロードに対応するほか、ヤマップが特に注目するのが、登山中に位置情報を家族などと共有する見守り機能。衛星モードのデータ通信に対応することで利便性が向上、情報の更新頻度が上がり、即時に情報を共有できるようになるため、遭難や不測の事態にも対応しやすくなるとする。「山の安全の文脈では、かなり画期的なこと」(ヤマップ 代表取締役CEOの春山慶彦氏)と期待を寄せている。

登山アプリ「YAMAP」も衛星モードに対応
見守り機能の利便性が向上する

「LINE」を含め、当初の19アプリに含まれていないアプリ・サービスについては、一部はKDDIからも声をかけるなど協力を仰いでいるという。一方、前述のように衛星モードへの対応自体はアプリを開発する各社で自由に行なえるため、自ずと対応アプリが拡充されていくとの見方も示されている。

なお、衛星モードにおいて動画の再生は、通信帯域の都合上「満足できるような体験は難しいだろう」(KDDI パーソナル事業本部 サービス・商品本部 サービス開発部長の早瀬聡氏)としている。例えば「X」のアプリは当初、衛星モードでも動画を再生できるため、「(衛星モード向けに)UXが改修されることを期待している」(同)という。通信帯域の将来的な拡大は、SpaceXの計画によるところが大きいため、KDDIからは回答できないとした。

「X」アプリ。現時点では写真のように衛星モードでも動画を再生できてしまうが、品質が伴わないため「改修されることを期待している」とした

他社向けプランをリニューアル

他社回線やUQ mobile、povo2.0を利用するユーザー向けにau ICカードやeSIMで提供する通信サービス「au Starlink Direct専用プラン」(月額1,650円)は、新規受付を8月31日で終了する。9月1日からは、内容を拡充した「au Starlink Direct専用プラン+」の提供を開始する。

「au Starlink Direct専用プラン+」

au Starlink Direct専用プラン+(プラス)では、上記のように衛星モードでアプリのデータ通信をサポートする。また、衛星ではない通常のデータ通信(月間1GB)について、新たに5G通信も利用できるようになる(5G SA通信は非対応)。

料金は従来と同じで、月額1,650円。UQ mobileの対象料金プランを利用中のユーザーは月額550円。加入から3カ月間は無料。

当面は特典として契約事務手数料の3,850円相当がau PAY残高で還元される(特典の終了時期は未定)。既存ユーザーが新プランに変更したい場合、一度解約して新規契約する形になるが、この特典により契約事務手数料の負担を相殺する。

なおKDDIは、(衛星ではない地上の)データ通信が1日限定で使い放題になる「データ1日放題」を開発中で、9月中旬以降に提供を開始する予定。料金は1回(24時間)あたり550円。この「データ1日放題」はauの対象ユーザーのほか「au Starlink Direct専用プラン+」を契約するユーザーも利用できる。

「データ1日放題」

「auバリューリンクプラン」Google AI Proや地震保険も

新料金プランの「auバリューリンクプラン」は、プランに含まれるau Starlink Directがアプリのデータ通信に対応した28日から、内容を強化する。

「サブスクぷらすポイント」の対象サービスに「Google One」が追加され、Google Oneのベーシック/スタンダード/プレミアムプランに加えて「Google AI Pro」を取り扱う。Google AI Proが特典付きのサービスに組み込まれて提供されるのは、国内通信事業者として初めて。

Google AI Proも取り扱う

さらに、震度7の地震発生時に3万円の保険金を受け取れる「地震の備えサポート」もプランに追加する。2025年内に提供開始予定。

地震発生時は、家屋などの損害状況を確認することなく、気象庁が公表する震度データと加入者の住所情報に基づき、保険金がau PAY 残高にチャージされる。あらかじめ指定した銀行口座でも受け取り可能。au PAY 残高は、ローソン銀行ATMなどで現金として引き出せる。

地震発生後にスマートフォン上で所定の操作をすれば、最短当日に保険金を受け取れる。操作が行なわれなかった場合でも、72時間経過後に順次保険金を自動的に受け取れる。

「地震の備えサポート」