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auの新料金プランは5G優先や衛星・海外無料 「auバリューリンクプラン」

KDDIと沖縄セルラーは、auのスマートフォン向け料金プラン「auバリューリンクプラン」6月3日から提供開始する。衛星とスマホをダイレクトで接続する「au Starlink Direct」や5G通信を優先的に割り当てる「au 5G Fast Lane」などがセットで、月額料金は8,008円。

使い放題MAX+もリニューアルし、auバリューリンクプランとともに、メインの料金プランとして展開する。また、既存プランのリニューアルや値上げ、UQ mobileの料金変更なども発表している。

5G優先や海外無料「auバリューリンクプラン」

auバリューリンクプランは、データ通信が使い放題となるほか、衛星とauスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」、混雑時でもより快適に通信できる「au 5G Fast Lane(ファストレーン)」、海外でのデータ通信が使い放題になる「au海外放題」(1カ月あたり15日分)がセットになった、フラッグシッププラン。

さらに、対象のエンタメサービス加入でPontaポイントが最大20%たまる「サブスクぷらすポイント」も利用可能で、ローソンでの買い物などがおトクになる「Pontaパス」も付帯する。

圏外/混雑時/海外でも安心・快適を謳う料金プラン。au Starlink Directは、auスマートフォンが直接通信対応のスターリンク衛星とつながり、空が見える状況であれば圏外エリアでも通信できる。テキストメッセージ送受信(SMS/RCS/iMessage)や、テキストメッセージアプリ経由での現在地の位置情報共有、Android スマートフォンではGeminiによる調べものなどが可能。また、緊急地震速報/津波警報/Jアラートの受信に対応する。

au Starlink Direct

au 5G Fast Laneは、5G通信時により快適に通信できる機能。混雑する駅の電車待ち時間における動画視聴や、フェス・イベントにおけるSNS投稿などもより快適に利用できるという。7月1日から展開予定で、テストでは山手線で1.8倍。大阪万博では2.2倍の速度向上が実現できているという。

au 5G Fast Lane

au海外放題は、auスマートフォンを渡航先でそのまま、データ使い放題で利用できる機能。渡航先でのテザリングも可能で、「モバイルルーターいらず」を謳う。通常、1日(24時間)あたり1,200円で提供してきたが、新プランでは追加料金なしで利用できる点が特徴(1カ月あたり15日分まで)。

au海外放題

サブスクぷらすポイントは、Apple Music、TELASA、Netflix、YouTube Premium加入でPontaポイントがたまるサービス。6月3日から、Pontaポイントの還元率を最大15%から最大20%に引き上げ、また、Googleのクラウドストレージなどが利用できる「Google One」を2025年夏以降に追加する。「Google One AIプレミアムプラン」も対象になる予定で、キャンペーン(終了時期未定)で大幅な割引も実施する。

ローソンの買い物がお得になる「Pontaパス」も付帯。通常月額548円となるが、新プランにセットになる。

auバリューリンクプランの月額料金は8,008円。家族割プラス、auスマートバリュー、au PAYカード割引後の月額料金は5,478円。

また、対象の金融サービス(クレジットカード/スマホ決済/銀行)をセットで利用すると、利用状況に応じて毎月合計最大4,000ポイントのPontaポイントが還元されるなどの特典が得られる「auマネ活バリューリンクプラン」も展開。月額料金は9,328円で、割引後は8,228円。

既存プランはスターリンクや海外無料追加で330円値上げ

新プランにあわせて、既存の「使い放題MAX+ 5G/4G」「auマネ活プラン+ 5G/4G」などのプランをリニューアルし、価格改定する。使い放題MAX+ 5Gは4,928円から5,258円に値上げ、auマネ活プラン+は8,778円から9,108円への値上げとなる。

使い放題MAX+とauマネ活プラン+は330円の値上げだが、「au海外放題」が無料(従来は4時間1,200円)となるほか、「au Starlink Direct」「au 5G Fast Lane」(5Gのみ)が付帯。また、「サブスクぷらすポイント」の還元率が15%から20%に引き上げられる。

UQ mobileも新プラン スターリンク他社展開も

また、UQ mobileはデータ容量を増量した「コミコミプランバリュー」「トクトクプラン2」を6月2日から開始する。

「コミコミプランバリュー」は、毎月35GBのデータ容量と1回10分以内の国内通話かけ放題に加え、「Pontaパス」がついてくる。月額料金は3,828円。

「トクトクプラン2」は毎月30GBで、月間データ利用量が5GB以下の場合は、自動的に割引となる料金プラン。月額料金は4,048円だが、5GB以下の場合は1,100円の割引となる。

あわせて、au Starlink Directをau以外のUQ mobileやPovoのほか、他キャリア利用者にも提供開始する。料金は月額1,650円だが、「コミコミプランバリュー」「トクトクプラン2」の契約者は月額550円で追加できる。対応機種は、Google Pixel 9シリーズとiPhone 16/15/14シリーズ。

「好循環のための対価」値上げを慎重に説明

KDDI代表取締役社長 CEOの松田浩路氏

今回の発表は、auの新たな旗艦プランを打ち出す一方で、既存の主力プランはわずかながら値上げする形になった。サブブランドのUQ mobileについても、povoを含めた3ブランドの中での位置付けを整理し、価格帯が上方にシフトする格好。いずれも基本となるサービスの拡充と付加サービスの追加や拡大で「価値を高める」ことに腐心している。

7日開催の発表会に登壇したKDDIの松田社長は、「価値」「対価」「還元」「再投資」「好循環」といったキーワードをさまざまな場面に散りばめ、直接的な値上げを伴う発表内容を慎重に説明している。

基地局をはじめとする設備を全国で運用する都合上、電気代の高騰は切実な問題であるほか、人件費の高騰、パートナー企業への還元、継続的な投資の必要性を訴え、値上げは「未来に向けた好循環のため」と理解を求めた。

一方、値上げが打ち出されたauの既存プランは、値上げ分を超えるような付加サービスが新たに加わる形になっており、はたして「好循環」に寄与できるのか疑問の声も上がったが、「これからも価値を作り続けていく。なんとか料金改定を理解してもらいたい。還元や投資の好循環はサイクルが回れば考えていける」(松田社長)とし、まずは値上げというネガティブな印象の払拭に努めている様子が語られている。

高橋社長からバトンを引き継いだ松田社長は、4月の就任会見でスターリンクのサービスを発表しているものの、本丸ともいえる料金プランの発表は今回が初めて。

同氏は社員が「夢中になれる」ことをテーマとして掲げており、今回の新プランなどに含まれる「au Starlink Direct」や、大幅に拡充を見込む「Ponta パス」については、開発に携わった現場の社員をステージに登壇させて、サービス実現までの苦労や想いを自らの声で語らせるという手法をとっている。細かなところでは、登壇したのが自社だけとあってか、発表会後の定番になっている(横長の看板を持った)フォトセッションをあえて行なわないなど、奇をてらった一面も。

社員の熱意を汲み取り、それが実現できる会社であることを内外に示しながら、実務では果断さも感じさせる松田体制の幕開けになった。