レビュー
AIグラスの本命「Ray-Ban Meta」 カメラとAIで日常を変える
2026年5月29日 14:16
MetaのAIグラス「Ray-Ban Meta」が、日本でも発売されました。価格は73,700円~89,100円で、レンズの種類によって異なります。2021年に初代スマートグラス「Ray-Ban Stories」が登場し、その後継として海外で展開されてきたRay-Ban Metaが、ようやく国内でも購入できるようになりました。
本稿では、実機を試用し、使い勝手や前世代からの進化点を紹介します。筆者はこれまで前世代の「Ray-Ban Meta(Gen 1)」も海外で使っていたことがあるので、その印象も踏まえながら、違いについても見ていきます。
カメラとAIをシームレスに使えるスマートグラス
Ray-Ban Meta(Gen 2)は、超広角1,200万画素カメラを搭載し、最大3K/30fpsの動画撮影に対応するAIグラスです。メガネ型のカメラとして使えるだけでなく、オープンイヤースピーカーや5つの内蔵マイクを備え、音楽再生や通話にも対応します。
また、AIアシスタント「Meta AI」を利用でき、「Hey Meta」と呼びかけるだけで、AIへの質問や、写真・動画撮影、通話、音楽のコントロールなどをスマートフォンを取り出さずに行なえます。
なおRayban Metaは、「XREAL One」のような「モバイルディスプレイ」的な製品とは異なり、レンズに映像を投影する機能は備えていません。見た目も構造も通常のメガネやサングラスに近く、見ているものをカメラで認識し、音声でAIとやり取りするタイプの製品となります。
バッテリー駆動時間は前世代から2倍に向上し、満充電で最大8時間の連続使用が可能です。20分で最大50%まで充電できる急速充電にも対応し、充電ケースを併用することでさらに48時間使用できます。オーディオ機能も強化され、前世代より最大音量が向上し、低音も強化されています。
フレームは複数のカラーを展開し、Wayfarer、Skyler、Headlinerの3デザインを用意。レンズは、サングラスレンズ、クリアレンズ、偏光レンズ、Transitions Gen S調光レンズなどを選択できます。度付きレンズ対応モデルもあります。
今回はサングラスモデルを試用しましたが、AIグラスとして日常的に使うなら、屋外と屋内をまたいで使える調光レンズの方がオススメです。
カメラ機能は“視点そのまま”で撮れるのが便利
撮影機能は「Hey Meta、写真/動画を撮って」と音声で指示するか、本体のボタンから行なえます。ボタン操作では、短押しで写真、長押しで動画を撮影できます。撮影時にはグラス前面のLEDが点灯・点滅する仕様で、動画の連続撮影時間は最長3分までです。
Ray-Ban Meta(Gen 1)と比較すると、どちらも超広角1,200万画素カメラを搭載していますが、動画性能は進化しており、最大解像度が1080p/60fpsから3K/30fpsへ向上しています。
ただし、3K設定では、1080p設定時と比べて手ぶれ補正が弱くなるため、製品的に歩きながら使うことが多い都合上、筆者は手ぶれ補正を優先して1080pで使うことが多く、実使用上では前世代との違いはそこまで感じませんでした。
2026年に登場している他社のAIグラスと比較しても、カメラ性能については大きな差はない印象です。明るい場所であればSNSに投稿するには十分で、暗所ではそこそこの写真や動画となり、基本的にはサングラスを着用するような時間帯や場所で活躍するカメラです。なお、他社製品と同様に本製品も横長動画の撮影には対応していません。
日本語対応で、ついに真のAIグラスへ
Ray-Ban Meta(Gen 2)の真価を感じたのは、Meta AIによるAI機能です。個人的には、グラスを通じてAIと会話する体験に関しては、これまで試したAIグラスのなかでも特に自然で便利でした。
これまでRay-Ban Metaは日本で展開されておらず、Meta AIを日本語で使えなかったので、英語が堪能でなければAI機能を満足に使えず、実質的にはカメラ付きメガネとなっていました。しかし今回、ついに日本語に対応し、単なる撮影ガジェットから、自分の視界をベースにAIへ指示・質問できるデバイスとして使えるようになりました。
Ray-Ban MetaでのMeta AIではさまざまなことが行なえます。たとえば、外国語の看板や書籍の翻訳を頼んだり、天気や気温を確認したり、目の前にある花の名前を特定したりといったことが音声だけでスムーズに行なえます。なお、Meta AIは現状無料で回数制限なく使用できるので、気軽にAIと会話できます。
質問の内容によっては、撮影機能を利用して回答してもらうこともできます。筆者が試した限りでは、冷蔵庫の中身を撮影して今日の献立を提案してもらったり、ポストの前で「どちらの投函口に郵便物を入れるべきか」を教えてもらったりといったことまで対応してくれました。
この画像認識による回答は、夜間でも問題なく機能しました。夜間に撮影した写真の画質そのものは、観賞用として見るとやや厳しいクオリティですが、Meta AIの認識用としては十分なようです。
また、Meta AIのレスポンス自体も良好で、通常の日本語会話に近い感覚でやり取りできました。周囲の環境に応じて音量を自動調整する「インテリジェント音声」機能も備わっているため、車通りが多い騒がしい場所であっても、AIによる回答も比較的クリアに聞き取れました。
なお、Meta AIは「Hey Meta」と呼びかけるだけでなく、フレーム側面のタッチパッドを長押しして起動することも可能です。質問自体は音声で行なう必要がありますが、ウェイクワードを発することに抵抗がある場面でも、タッチ操作で起動できるので、それだけでも使いやすく感じました。
バッテリーも進化、1日使える製品に
バッテリーについても、実際に使っていて前世代からの大きな進化を肌で感じた部分です。前世代では、動画を撮影しながら使っているとすぐにバッテリーが減り、残量を警告するアナウンスが頻繁に流れるため、こまめに充電ケースへ戻していました。
一方、Ray-Ban Meta(Gen 2)ではバッテリー持ちが大幅に改善され、装着したまま外出しても、以前ほど残量を気にせず使えるようになりました。長時間かけていられるようになったことで、必要なときにすぐAIへアクセスできるようになり、AI機能の利便性をさらに引き上げていると感じます。
バッテリー面に関しては、外出中にかけっぱなしにできるようになりましたが、日本でカメラレンズ付きのメガネを常時装着することには、まだ心理的なハードルもあります。筆者も、周囲に人がいる場面では外すことが多いです。このあたりは、今後こうしたカメラ付きグラスが少しずつ普及するにつれ、社会において理解が進んでゆくのかもしれません。
AIグラスの新基準 現時点での最適解
2026年に入り、国内でもAIグラスの選択肢は増えつつあります。そのなかでもRay-Ban Metaの存在感は大きく、AIグラスとはどのような製品なのかを考えるうえで、ひとつの基準となる製品です。
その理由としては、すでに世界で多くのユーザーに使われている確かな実績、Meta AIによる高度な視覚認識と音声操作、InstagramなどMetaのサービスとのシームレスな連携などが挙げられます。
Ray-Ban Metaを使ってみると、AIとメガネの相性の良さがよく分かります。目の前にあるものを撮影したり、見ているものについてそのまま質問したりできるため、PCやスマートフォンよりも自然にAIへアクセスできます。日常のちょっとした疑問を尋ねる用途では、かなり相性の良いデバイスです。
MetaはAIグラスを通じて視覚障害者を支援する取り組みも進めています。実際に試した範囲でも、自動販売機で飲み物のボタン位置を尋ねた際、正確な場所までは案内できなかったものの、販売されている飲み物の一部は認識できていました。現時点ではまだ限界がありますが、視界の情報を音声で補うデバイスとしての可能性は感じられました。
価格も7万円台からで、10万円を超えるAIグラスもあるなかでは比較的選びやすいです。カメラとAIを活用した新たな体験を身近にするという点で、現在のAIグラスとして最適解に近い製品だと思います。















