レビュー
"着けっぱなし"が価値 グーグル「Fitbit Air」は健康トラッカーの傑作か
2026年5月26日 22:00
Googleの新型健康トラッカー「Google Fitbit Air」が発売されました。価格は16,800円と、スマートウォッチと比較すると手頃で、豊富なカラーバリエーションも用意されます。
スマートバンドやスマートウォッチなど、健康(ウェルネス)情報やフィットネス情報を取得できるデバイスは多数存在しますが、Fitbit Airの特徴は、“画面”が存在しないこと。そのため情報確認などはアプリから行なうことになります。
スクリーン(画面)を削除した代わりに、24時間365日装着しやすく、「かさばる」「高価」といったウェアラブルデバイスの課題に対するGoogleからの回答と呼べる製品といえそうです。「画面が無い」という点で類似の製品は、ポラールの「POLAR Loop」(29,800円)などがありますが、比較するとFitbit Airの16,800円はお手頃といえるかもしれません。
なお、Fitbit Airの発売に合わせて、Fitbitに代わる新アプリ「Google Health」も登場しました。2019年にGoogleがFitbit買収を発表してから約7年、とうとう「Google」のサービスに集約されることになりました。
Googleの新たな健康デバイス「Fitbit Air」を10日間ほど試してみました。なお、筆者はApple Watch Series 11とOura Ring 4のユーザーのため、それらと比較をしています。
手首に巻くだけの健康トラッカー
Google Fitbit Airは、専用バンドとともに、小さな本体「ペブル」を組み合わせる仕組み。ペブルの中には光学式心拍数モニターなどのセンサーが搭載されており、24時間365日の心拍数測定のほか、血中酸素ウェルネス(SpO2)、安静時の心拍数、心拍変動(HRV)など、健康・フィットネス指標の計測・追跡を行ないます。
同梱物は、本体とペブル、充電器とシンプルです。バンドのカラーは、Obsidian、Lavender、Berry、Fogの4色が用意されています。
取得したデータは、スマートフォンのGoogle Healthアプリから確認します。アプリは、iOSとAndroidに対応し、Bluetoothで通信する形です。「ペブル」のサイズは34.9×17×8.3mm(縦×横×厚さ)、重量はペブル本体のみが5.2g、バンド装着時が12g。
装着は、単にストラップを手に巻くだけです。軽量のため、時計などとあわせて装着しても違和感はほとんどなさそうです。スクリーンレスのデザインのため、スマートウォッチのように時間や通知を見るためには使いません。そのため、「装着していることをほぼ意識しない」デバイスといえます。
バッテリー駆動時間は最大1週間。充電時間は90分。5分の充電で一日分の駆動時間を確保できる急速充電にも対応しています。詳しくは後で触れますが、このバッテリーの余裕は、Fitbit Airの大きな特徴といえます。
なお、ペブルを外して、別のバンドに交換するだけで、スタイルを簡単に変更可能。標準付属の「パフォーマンス ループバンド」のほか、防汗・防水仕様のシリコン製でスポーティなデザインの「アクティブ バンド」、スタイリッシュなデザインでクラシックなカラーを採用する「プレミアム モダンバンド」がラインナップされます。別売りバンドの価格は5,499円~。
ペブルを外し、別のバンドに交換してスタイルを簡単に変更できるのも特徴です。標準付属の「パフォーマンス ループバンド」(4色)のほか、防汗・防水仕様のシリコン製でスポーティなデザインの「アクティブ バンド」、スタイリッシュなデザインでクラシックなカラーの「プレミアム モダンバンド」がラインナップされています。別売りバンドの価格は5,499円~。スポーツでも使いたいといった人には、こうした選択肢も良さそうです。
アプリやサービス
今回はiPhone 17 Proに新たな「Google Health」アプリを入れて、フィットネスと睡眠を中心にFitbit Airを使ってみました。
筆者の場合、普段はApple Watch Series 11でフィットネス関連、Oura Ringで睡眠と健康関連のデータを取得し、OuraアプリとApple ヘルスケアのそれぞれをチェックしています。
Fitbit AirもApple ヘルスケアに対応していますが、今回は比較のため、Apple ヘルスケアに統合せず、Google HealthアプリでFitbit Airのデータを取得しました。
Google Health アプリは、「今日」「フィットネス」「睡眠」「健康」の4つのタブで構成されており、俯瞰して健康状態を把握できます。また、「今日」と「健康」タブの上部にあるダッシュボードをカスタマイズすることで、よく使う指標に素早くアクセスできるようになっています。
「今日」では概要とアドバイスを、「フィットネス」では主に運動に関する情報、「睡眠」は睡眠スコアや睡眠時間、「健康状況」は心拍数や安静時の心拍数などのほか、体重や消費カロリー、食事などについてのデータも取得・管理に対応しています。心臓や代謝、栄養など細かなデータも確認できます。
月額1,580円の有料サブスク「Google Health Premium」に加入することで、「Google Health コーチ」が利用可能になり、運動や睡眠のアドバイスも得られます。達成したい目標や毎日の生活リズム、利用できるトレーニング器具、気をつけているケガなどをコーチに伝えることで、利用者にあったガイダンスなどをGeminiが提供。目標の到達などを支援してくれます。
これらの情報は「今日」からアドバイスとして提示され、コーチに質問できるようになっています。
今回はあまり活用できていないですが、運動に対するアドバイスのほか、睡眠時間や睡眠前の健康習慣などについてのアドバイスも行なわれます。
基本的には無料では「記録」まで、有料で「分析」や「改善提案」を行なうといったイメージです。シンプルな健康管理に使うだけであれば、無料でも十分使えると思いますが、個人的には睡眠に関してはコーチ的な分析も少しほしいかな、という微妙な塩梅です。
Fitbit Airを購入すると、3カ月分のGoogle Health Premiumが付いてくるため、まずは試してみると良いでしょう。
なお、既存のFitbitユーザーのアプリは、自動的にGoogle Healthアプリへとアップグレードされます。26年後半には「Google Fit」ユーザーにも、Google Health アプリへの移行を行ないます。
「運動」よりも「健康管理」のためのデバイス
フィットネス(運動)と睡眠を中心に、Fitbit Airを使ってみた結論は、「フィットネス用では必要十分な機能。睡眠・ヘルスケアデバイスとしては非常に良い」というものです。
価格と機能のバランスは良いと思いますが、スポーツに特化するのであれば、他に良い選択肢があります。睡眠や健康管理としては手頃で相当に魅力の高い製品といえます。
フィットネスは必要十分。スマホ併用が鍵
まずフィットネスについて。Google Healthアプリでは機能も豊富で、たくさんのワークアウトプログラムが用意され、取得データも多く、アクティビティの自動検出などの機能も備えています。ただし、それ自体は現在のスマートバンド/スマートウォッチでは一般的な機能です。
スポーツ利用で物足りないのは、Fitbit Airには「画面(スクリーン)」が無いことです。使う前からわかっていることですが、例えば、運動開始・停止を記録するために自動検出に委ねる、もしくはスマートフォンから操作する必要があります。
正確に運動の開始・終了を記録するのであれば、スマホは必須です。画面があれば、タップして開始し、運動直後に終了操作もできるので、より正確なデータ取得が可能です。
もちろん、Fitbit Airにはアクティビティの自動検出機能を備えているため、10分以上のウォーキングや数分のランニングでは、自動的にデータを取得し、スマホと同期する際にしっかり記録されます。自動検出機能は、使えば使うほどパーソナライズされるとのことなので、毎日同じコースを走る、といったケースであれば、相当精度は高まるのかもしれません。
ただ、高い精度を求めるのであれば、やはり自分で開始/停止ができるほうが良いでしょう。
また、短時間のヨガなど動きの比較的少ないものは、自動で運動記録されず、スマホから開始・停止を行なう必要があります。Fitbit Airは装着感が少ないということもあり、なんども記録を忘れてしまいました。
スイミングでも、15分程度の中程度の運動では自動検出できませんでした。スイミングの場合、スマホを持ってプールに入るわけにはいかないので、着替えを終えて、スマホで計測を開始。プールから出て、数分間シャワーを浴びてロッカーに戻って着替えながらようやくスマホで停止など、無駄に記録される時間があるので、あまり向いていないと感じました。なお、運動時間の修正は可能なので、「20分計測しているが、5分はシャワー」といった場合は、運動対象となる15分で記録するといった調整は可能です。
いずれにしろ、自動検出次第なので、取り組むアクティビティやスポーツによって、向き不向きはあると思いますし、フィットネス重視であれば、Fitbitでも「Fitbit Charge 6」など画面付きの製品のほうが満足度は高いといえるでしょう。
運動の正確さを求める人には向かない一方で、とにかく軽くて「装着を意識しない」というメリットがFitbit Airにはあります。フィットネスがウォーキングやジョギング中心で、高い精度を求めないのであれば、全く問題ないとも言えます。とにかく、「着けているだけでなにも触らない」ことが強みとなるのが、Fitbit Airです。
「睡眠」はバッチリ
Fitbit Airの魅力を強く感じられるのが「睡眠」の管理です。Fitbit Airは「着けている」感覚がほとんどなく、寝る時にもほとんど邪魔になりません。ここは明らかに「画面無し」のメリットがあると感じます。
また「光らない」というのも睡眠時には評価できます。Googleは「目の前のことに集中できる」「通知に邪魔されることなく自由に過ごせる」といったアピールをしていますが、とにかく「着けていることを気づかせない」ことにこだわったデバイスと言えるでしょう。
「睡眠スコア」もわかりやすく、睡眠のデータもかなり細かく、睡眠開始から起床までのデータを取得します。睡眠時間だけでなく睡眠の質なども表示し、Premiumでは分析データも確認できます。
筆者が普段使っている「Oura Ring 4」と比較すると、Ouraのほうが就寝時に途中で起きた時間などがより細かく記録される傾向はあり、全体としてFitbit Airのほうが、睡眠時間が「若干長め」かつ、「しっかり寝られた」という数字が出る印象です。
個人的には長く使って慣れていることもあり、Oura Ringのほうが実態に近い感じはありますが、大きな差はありません。日ごとだけでなく、週/月での傾向なども確認できるなど、長期的な自分の睡眠もしっかり把握できるはずです。
そしてFitbit Airの特筆すべきポイントは、バッテリー駆動時間です。ほぼ1週間充電要らずで動作となっており、実際に6日連続で使っても、バッテリー残量は33%となっていました。
例えば、2泊3日の旅行や出張であれば充電は不要ですので、充電器を持ち運ぶ手間や充電器を無くす心配も減らせます。筆者の使っているApple WatchやOura Ringはほぼ毎日充電が必要なため、ここは大きなメリットだと感じました。
また、Oura Ringのようなリングデバイスは、食器洗いや風呂掃除などで、(食器等を)傷つける心配があり、外すこともあるのですが、結果として、そのまま忘れて外出してしまうこともあります。Fitbit Airの良さとして「着けていることを忘れる」「外す機会が少ない」といったことも挙げられます。
健康トラッカーの傑作? 全てを1台にまとめない良さ
Fitbit Airはスポーツよりは健康管理トラッカーとして使うのに適しているのは間違いなく、16,800円という価格も競争力は高いと感じました。
競合としては、画面付きの「Fitbit Charge 6」(23,800円)や「Fitbit Inspire 3」(12,800円)、そしてシャオミやファーウェイなどの他社のスマートバンドでしょう。
フィットネス利用が中心であれば、あえてFitbit Airを選ぶ理由は無いかもしれません。
ただ、睡眠や健康管理などを重視するのであれば、Fitbit Airは重要な選択肢になるでしょう。
また、「Pixel Watch」や「Apple Watch」などのスマートウォッチと併用し、夜寝る時はFitbit Airだけを着けるといったスタイルも良さそうです。とにかく「着けている」ストレスが少なく、充電も少ないという点が、Fitbit Airを使いこなすポイントです。
もうひとつ魅力を感じるのは「Googleのサービス」であることです。
Google Health Premium サブスクリプションは月額1,580円(年額13,000円)で、これに加入するかどうかは悩ましいのですが、Geminiや5TBストレージが使える「Google AI Pro」(月額2,900円)にこのHealth Premiumが含まれます。Google AI Proの契約者はFitbitのサブスクサービスも付いてくるというわけです。
個人的にもOura Ringの990円/月を契約して納得はしているものの、「これだけ」に支払うのは「少し重いな」とも感じています。より多くの機能が使えるサブスクのひとつになっているのは魅力を感じます。
Fitbit Airは、すでにスマートバンド/ウォッチを使っている人に対して、これ1台で全ての要求を完璧に満たす、という製品ではないかもしれません。ただし、それらに足りないウェルネス機能を追加したり、ウェルネス機能を中心に使いたい人にとってはとても魅力的な選択肢といえるでしょう。



































