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KDDI松田社長の新体制スタート キーワードは「夢中」

KDDI 代表取締役社長CEOに就任した松田浩路氏

KDDIは、代表取締役社長CEOの松田浩路氏による社長就任会見を開催し、新体制について説明した。

目まぐるしく変化してきた通信業界において技術畑を中心に歩んできた松田氏は、少年時代から現在に至るまでテクノロジーや通信の進歩に「夢中」になってきたと振り返り、すべての社員が「夢中に挑戦できる会社」にしたい、と語った。

5GはAIで進化を図る

KDDIが構築した通信ネットワークやその品質は近年、外部の調査でも高い評価を獲得しているが、「通信品質はあくまで土台。カギになるのはAI。5GはAIでさらに進化していく」と、今後の方針を示す。

そこでKDDIは、「AIマーケット」を構築し、多数のAIサービスを選びやすくする。企業などがAIのサービスを活用しやすい環境を用意して、AIの活用を推進、海外進出も支援していくという。松田氏はAIマーケット構想について、かつて提供していた、アプリが使い放題になるサービス「auスマートパス」になぞらえ、さまざまな選択肢から選べるようになるとしている。

AIの普及で土台となるデータセンターも、堺市に建設するAIデータセンターで大きく前進させる。最新GPUを配備する大規模なもので、経済安全保障の観点で政府から投入される補助金も活用。新たにGoogle Cloudとパートナー契約を締結し、Geminiを稼働させる。これにより、企業はGeminiを活用するサービスを国内で完結させることができ、データの国内保有や、海外の動向に起因する不確実性を排除したサービスを運用できる。

松田氏は、こうした技術・サービスの進展により、AIは「社会に役立つものに進化していく」といいう。「それがKDDIの進む道。どうAIを活用していくか、舵取りが私の役目」(同氏)。

「夢中」になって「挑戦」 パートナー・世界・ユーザーに

松田氏が好きな言葉は「準備万端」「先手必勝」で、それが「挑戦」を可能にするという。もうひとつのキーワードは、挑戦のために「夢中」になれること。「すべての社員が夢中になれる。私が作っていきたい会社は、夢中に挑戦できる会社だ」とした。

では何に「挑戦」し、どう進化させていくのか。松田氏は3つのテーマを挙げる。

1つ目は「みらいをつくる仲間とつながる。」で、これはスピード感をもってさまざまなパートナーと連携していくというもの。

また本社のTAKANAWA GATEWAY CITYへの移転に関連し、自社や周辺地域を未来の実験場を位置付け、約1万3,000人というKDDI社員のデータを活用し「スマートシティ」構想に貢献していく。

KDDIが入居する「THE LINKPILLAR 1 NORTH」

2つ目は「つなぐチカラを世界に広める。」。AIドローンや災害支援、警察活動の高度化などで、「社会課題の先進国」という日本での取り組みや事例を世界に向けて展開していく。

また、ベンチャー投資についてはオープンイノベーションファンドの後継となるファンドの組成や、複数の海外ベンチャーファンドへの出資を300億円規模で実施し、世界に打って出る「挑戦」を支援していく。

3つ目は「お客さまの今とこれからにつながる。」で、生活を支える会社から、「人生」を支える会社へと飛躍を図る。例えば、地域活性化策として、auショップの無い地域に移動販売車のようなスタイルで店舗機能を展開する「au SHOP CAR」や、ラストワンマイルにドローンでデリバリーを行なうといった取り組みがあり、「これからの良い未来につながる挑戦をしていきたい」と語っている。

松田体制を象徴する「au Starlink Direct」

社長就任会見の後半には、新サービス「au Starlink Direct」の詳細が発表された。すでに概要は発表されていたが、同日からスタートし、50機種が対応することなどを披露。「ギアを上げていく」と、先進的な取り組みを加速させていく意気込みが語られている。

面積カバー率が60%から一気に日本全土に拡大する点については、これまで技術畑を中心に現場で実績を積み、スペースXとの交渉もまとめてきたことから、「万感の想いだ」と述べている。

松田氏は旧KDDに入社、技術畑を中心に現場で実績を積んできた

また、今回のau Starlink Directは、パートナーと連携し、世界的にも先行事例となる内容で、ユーザーのこれからにつながる内容。前述の3つの要素すべてを体現するものとして発表し、新体制における象徴的なサービスに位置付けている。