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パナソニック、エアコン室外機の自動分解システム開発

パナソニック ホールディングス マニュファクチャリングイノベーション本部は、パナソニック エコテクノロジー関東(PETEC関東)および三菱マテリアルと協力し、家電リサイクルの進化に向けて「エアコン外装自動分解設備」と「エアコン室外機外装自動分解システム」を開発した。

2001年4月に家電リサイクル法が施工されて以降、リサイクル工場には数多くの使用済み家電が持ち込まれている。エアコンは年間369万台が持ち込まれ、室外機については熱交換器、コンプレッサー、制御基板などの部品を手作業により分解・回収した後にシュレッダーによる破砕、ならびに素材選別を行なっている。

リサイクル工場では、使用済み家電の数量増加と将来の労働人口の減少に備えて分解工程の省人化・自動化が求められているが、エアコン室外機は、屋外に設置されているため汚れやサビなどの付着が多いことに加えて、メーカーによって、サイズやデザインなどが異なるため、これまで分解工程の自動化が困難だった。

こうした背景を踏まえ、同社は「エアコン外装自動分解設備」と「エアコン室外機外装自動分解システム」を開発。AIを活用した認識技術と、正確な位置決め制御および人の手技を再現するロボット制御技術を用いて、エアコン室外機外装のビス外しとカバー外しを自動で行なう。

室外機の分解を自動で行なう

またPETEC関東および三菱マテリアルと協力し、分解ラインに投入されるエアコン室外機の情報を型番ごとに蓄積。設備の稼働率向上など、分解工程自動化における基盤となる「分解データベース」を構築した。

「エアコン室外機外装自動分解設備」では、エアコン室外機をカメラで撮影し、汚れやサビがあるビスをAIを用いて正確に見つけ出し、ドライバーを備えたロボットアームでビスを外す。その後、人が行なう動きを再現する把持ハンドでカバーの嵌め込みを外して分解。これらにより分解工程の一部の自動化を実現した。

「分解データベース」では三菱マテリアルのAI-OCR技術によりラベルから読み取った型番と、自動分解設備から取得したエアコン室外機のビス本数や位置など分解に必要な情報を紐づけて蓄積。

さまざまな状態のビス

分解データベースに登録済みとなったエアコン室外機では、ビスの誤認識によるロボットの無駄な動きを削減することで分解効率が向上。自動分解設備を使い続けることにより、「分解データベース」への登録機種数が増え、分解動作が進化していくとする。

パナソニックホールディングスでは2022年度にPETEC関東での実証評価を完了。今後は対象機種の拡大や生産性向上の取組を進めていく。将来的には同社グループを含めた全国のリサイクルプラントへの普及を進める。

自動分解後の室外機