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円安時代の海外旅行 上がり続けるクレカ「海外事務手数料」の注意と対策

2023年ですが、ドイツにはまだまだ現金のみの店もありました。とはいえ、さすがに欧米で現金のみの店は少なくなっています

2025年に、値上がりが続くクレジットカードの海外事務手数料の現状を紹介しましたが、それ以降も一部カードで料率の値上がりが発表されるなどの変化がありました。円安もさらに進行し、海外旅行は厳しさを増しています。

夏休みなどの海外旅行を前に、現地の支払い方法を改めて検討して、もっとお得に海外旅行を楽しんでほしいと、改めて現状をまとめてみました。

7月12日時点のドル円レート

円安がさらに進展

ここでいう「海外事務手数料」とは、クレジットカードなどのカードを使って海外の現地通貨で決済した場合、最終的な支払金額の確定時に日本円に変換する際に発生する手数料率です。

外貨から円貨に変換するための為替レートに加えて、この手数料が発生するのが一般的です。現金で現地通貨にする場合も両替手数料が発生するので、それと似たようなものです。

円安と海外事務手数料の値上げ(+海外のインフレ傾向)によって、現地の支払いが想像以上に高くついてしまうことになります。その中で、自分自身でどうにかできるのが海外事務手数料の削減です。単に現地でのメインのカードを手数料が最も安いカードに変えるだけです。

一応、前回と同様に現金両替との比較もしておきましょう。今回も成田空港にある両替窓口「GPA」の為替レートを比較対象とします。「2026年7月7日11時9分」現在の為替レートを見てみます。

GPAの現金両替のレート

前回は米ドルが150.33円、ユーロが174.88円でしたが、今回は衝撃の米ドル165.65円、ユーロ191.52円です。

この場合、1万円では約60.37ドル(前回は約66.52ドル)、52.21ユーロ(同57.18ユーロ)にしかなりません。100ドル、100ユーロにする場合は、16,565円(同15,033円)、19,152円(同17,488円)が必要になるという計算です。昨年の記事で「地獄のような円安」と記していましたが、まだまだ甘かったようです。

ひとまず現地通貨がゲットできたので、あとは現地で現金決済をすれば手数料は発生しません。ただし、インフレの欧米で現金を持ち歩く安全性や利便性とのトレードオフでしょうか。

クレジットカードは、今回も国際ブランドの為替レートで支払いを確定させます。注意点は、決済をしたときではなく、金額が確定したときになるため、決済時では日本円での支払額が確定しないという点です。その時点ではあくまで参考ということになります。

国際ブランドのVisaMastercardには、それぞれ為替レートの計算サイトがあります。これも同日7月7日のデータでチェックしました。

Visaの米ドルと日本円の為替レート

まずはVisa。1ドルは約162.45円、1ユーロは約185.54円となりました。前回と同様、現金両替に対してわずかに安いのが国際ブランドの為替レートです。当然ですが、100ドルの場合は約16,245円、100ユーロの場合は約18,554円になります。

こちらはVisaのユーロにおける為替レート

Mastercardの場合は1ドル約162.45円、1ユーロは約185.48円でした。100ドルは約16,245円、100ユーロは約18,548円です。

Mastercardの米ドルと日本円の為替レート。ちなみに日付が7月6日になっていますが、Visaと比較すると、翌日では数字が明らかに異なるため、どうもこの表示が最新の為替レートのようです

最後はJCBです。海外ではVisa、Mastercardほど使える場所が多いわけではありませんが、アジアを中心に頑張っていて、使える加盟店も増えています。JCBの基準レートでは、1ドルは約162.35円、1ユーロは約185.80円でした。単純計算で、100ドルは約16,235円、100ユーロは18,580円になります。

JCBの7月7日の基準レート

これで基準が確定しました。現金の場合は確定ですが、カードの場合は、利用後に円安・円高に振れることでさらに増減します。

カードの場合は、ここに海外事務手数料が追加されます。前回も述べた通り、手数料は国際ブランドではなくカード会社が設定しています。手数料はカードによってまちまちなので、同じ金額を海外で支払っても、最終的な日本円での支払額はカードによって異なることになります。

今回はたまたまVisaとMastercardの為替レートが一致しましたが、いずれにしても例えば海外事務手数料が1.60%のカードであれば現金両替よりも安価になります。また、ユーロに関しては2.20%でも現金両替よりも割のいいレートになっています。これはたまたまですが、基本的には前回と同様、海外事務手数料1.60%以下であればおおむね現金両替よりはお得になるということになります。

7月7日の為替レート比較。パーセンテージは参考の手数料率です

ただ、為替レートは毎日変動するため、「1.60%でも現金両替よりもコストが高い場合もある」というのが実情です。とはいえ、毎回どのブランドがお得かを考えるのは現実的ではないので、基本的には「2%未満であればカードの方がお得」ぐらいに考えておいた方が良さそうです。

どのカードならお得か?

さて、というわけで実際にクレジットカードの手数料がこの1年でどのように変化しているでしょうか。

この1年で上がったのは、まず「三菱UFJニコス」で、Visa、Mastercardで3.85%が4.50%に、JCBは2.04%が4.34%になります(2026年11月から)。それ以外は今のところ上がっていないようです。

各カードの海外事務手数料率比較(7月13日時点)

実際に表にして並べてみると、目を引くのが4.5%になった三菱UFJニコスと、まだ1.60%を維持している「イオンカード」の差です。イオンカードはVisa、Mastercardですら1.60%を維持しています。最近、イオンカードは新システムに移行したため、今後何らかの変化が起こる可能性もありますが、現時点では最も有利なのがイオンカードです。おおむね、現金両替するよりも安く済みます。

他に、JCBのみ1.60%を維持しているカード会社もあります。「メルカード」や「ビューカード」です。このあたりは、「JCBが使える場所で高額な買い物をする」といったシーンに応じて使い分けても良さそうです。

もう1つ前回と変わった点としては「IDARE」があります。これはフィンテックベンチャーの発行するプリペイドカードで、当時は海外事務手数料が0円という破格のカードでした。さすがにそれは継続が難しかったようで、新たに「ランクに応じて手数料が変化する」という形になりました。

IDAREのランクはプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズの4種類で、「前月の平均残高」によってランクが変動します。プラチナは70万円以上で、それぞれゴールド30万円~、シルバー5万円~、ブロンズが5万円未満、となっています。海外事務手数料はそれぞれ無料、1.0%、2.0%、3.0%です。30万円以上を残高に入れておけば、現金よりはお得。5万円以上でも、最近の海外事務手数料の中では安価な方です。あらかじめチャージした円残高を引き落として外貨に交換しての支払いをするため、基本的には支払時の為替レートで計算されるので為替レートの確認も分かりやすいです。

もう1つの候補である外貨を購入して支払いをするタイプの「Sony Bank WALLET」、「Revolut」、「Wise」は、それぞれ純粋な為替レートの変化ぐらいで変わりはないようです。

Sony Bank WALLETで外貨預金がない場合に発生する手数料(「円からアシスト」)は1.79%。

Sony Bank WALLETはソニー銀行のデビットカード、RevolutとWiseは前払式のカードで、どちらもあらかじめ日本円を外貨に交換してチャージしておき、現地ではその外貨を使って支払いをするため、為替レートは外貨交換時に確定し、為替変動のリスクがありません。扱いとしては現金両替とほぼ同じです。

Revolutのドルとユーロの交換レート
Wiseの交換レート

実際に現金両替時との差額は、100ドルの場合で1.60%なら70円(JCB)のお得、4.50%だと411円(Visa・Mastercard)の損となります。仮に現地の支払額が2,000ドルぐらいだとして、現金だと33万1,300円になります。1.60%のJCBカードだと1,405円のお得。4.50%のVisa・Mastercardだと8,221円の損に。これが2,000ユーロになると、1.60%のJCBが5,494円のお得、4.50%のVisaで4,739円の損になりました。

そしてSony Bank WALLET、Revolut、Wiseだと、それぞれドルで7,320円、8,760円、7,620円、ユーロで12,480円、14,060円、12,760円のお得になります。

やや差がありますが、こちらの3つのサービスは頻繁に為替が変動するため、チェックしたタイミング次第で変わります。おおむねRevolutが一番お得な印象ですが、それもタイミング次第でしょう。

2,000ドル、2,000ユーロの時のそれぞれの差額

海外旅行の準備に「手数料」も注目を

海外事務手数料は一部で4%を超える料率になっており、他社が追随する可能性もあって、今後の動向にはさらに注意が必要そうです。

なお、前回も今回も取り上げていませんが、国際ブランドとしては他にアメリカン・エキスプレスとダイナースもあります。どちらも基準となる為替レートは公開されていないようですが、海外事務手数料は、アメリカン・エキスプレスが3.5%ダイナースが2.00%となっており、ダイナースが比較的安価に収まっているようです。

そのため、海外旅行の際には、自分のカードの海外事務手数料を確認し、より手数料の安いカードを使う、もしくは前払式のカードなどを事前に用意するといった準備をしておくと良いでしょう。

2005年に某インターネット媒体の編集者からライターに転身。モバイル、カメラ、決済・金融分野で主に活動中。Xは@surblue