トピック
ChatGPT Workとはなにか AIエージェントが変える“仕事”のあり方
2026年7月17日 14:09
ChatGPTと"コーディングエージェント”の「Codex」が統合した新しい「ChatGPT」デスクトップアプリが10日に登場した。
あわせて、コーディング以外の知識労働(ナレッジワーク)向けのAIエージェント環境「ChatGPT Work」が登場し、ChatGPTデスクトップアプリで「ChatGPT Work」と「Codex」を選択できるようになった。
ChatGPT Workが目指すものは、コーディング以外の一般的な“仕事”をエージェントとともに進める環境だ。ChatGPT Workはアプリのほか、Webとモバイルでも対応。Plus(月額20ドル)/Pro(月額200ドル)、Enterprise、Eduユーザーが利用可能。また、ChatGPTデスクトップアプリは、MacとWindowsで対応している。
OpenAIによれば、CodexアプリがChatGPTアプリに刷新されたこともあり、Codexのユーザ数も急増。9日時点では500万人としていたCodexユーザーが、16日には900万人を超えたという。以前からCodexは一般業務やナレッジワークで活用できると提案していたが、ChatGPTアプリ、そしてChatGPT Workというブランド展開により、(コーディング以外の)仕事のためのAIエージェントとしての位置づけを明確にした。OpenAIによる説明やデモを元にその特徴をまとめてみよう。
ナレッジワーカーのためのAIエージェント環境
これまでは、対話型の「ChatGPT」と、開発者向けの「Codex」という2つのプロダクトが存在していた。Codexでは、自律的に複数のステップを踏んで、情報を処理する「エージェント」機能を主に提供してきたが、こうしたエージェント機能をコーディング以外の業務に開放し、「すべてのナレッジワーカーが利用できるように統合したアップデート」(OpenAI Japan Developer Experience Engineerの瀬良和弘氏)と説明する。
そのため新しいデスクトップアプリでは、「ChatGPT Work」と「Codex」が1つのアプリに統合。コーディングを行なわない人は、シンプルなUIの「Workモード」を、開発者は必要に応じて「Codexモード」に切り替えて使うといった形になる。
チャット(ChatGPT)の場合、「質問を投げて回答を得る」という使い方だったが、Workでは「エージェントが自律的に情報を集め、複雑な処理を行なう」点が根本的な違いとなる。そのため、外部サービスと連携する「プラグイン」の利用が重要となる。
プラグインは、Slack、Microsoft Teams、Google Drive、SharePoint、メール、カレンダー、CRM、プロジェクトトラッカーなど1,700以上が用意され、アプリケーションだけでなく、プラグインの中に「スキル」も含まれる。プラグインに必要な知識やスキルがパッケージ化され、業務の「文脈」を共有。ChatGPT Workがエージェントとして文脈に応じて適切に使い分けて、作業を進める。
チャットによる都度の質問・応答から、業務ワークフロー全体をエージェントに委ねられるよう設計されたのがChatGPT Workとなる。
ChatGPT Workにあわせて、最新モデル「GPT 5.6」を提供開始。GPT 5.6はエージェント利用に最適化され、フラッグシップモデルの「Sol」、GPT-5.5に匹敵する性能を持ちながら低コストな「Terra」、最速で手頃な価格の「Luna」の3つのモデルが用意される。
用途に応じたモデルを選べるほか、エフォート設定は「中(Medium)」がデフォルトで、「まずはMediumがオススメ」とのこと。その結果を見ながら、タスクの内容に合わせてモデルやエフォートを調整してくことを推奨している。
また、GPT-5.6ではデータの「ビジュアル化」も強化。意図を反映したUIデザインや単純なグラフ作成だけでなく、データ分析とセットにした高度なビジュアル化の能力を向上しているという。また、スライド資料などでは、「ゴール(Goals)」を設定し、それを使うことで、エージェント自身に最適なやり方を考えてビジュアル化する。
なお、Web版でもChatGPT Workは使えるが、デスクトップアプリ版との大きな違いが「ローカルファイル」への対応。Web版は、すべてクラウドで処理するが、アプリはPC上のPDFやCSVファイルなどもエージェントの力を活用し、処理できるようになる。
企画整理・データ分析・サイト作成 ChatGPT Work活用
また、ChatGPT Workによる活用例をデモで紹介。企画の整理やデータ分析、展示ブースのイメージ作成、営業会議の準備、社内サイト作成など、"コーディング以外”の多くの業務でChatGPT Workを活用できる。
企画整理については、関西新拠点オフィスの立ち上げについての要件を整理し、資料化。物件見積、評価基準、スケジュール、リスクなどを集約して、横断して照合。価格だけでなく事業適合度や5年間のTCOまで踏まえた推奨案を、経営会議でそのまま検討できる編集可能な企画書と8枚のスライドにまとめた。機能としては、Goals、Google Driveプラグイン、Image Genなどを活用している。
データ分析・可視化では、CSVを読み込んで、地域・業種・企業規模・指標を切り替えられる対話型グラフを作成。判断基準を動かすと、結論と未達理由も連動して更新されるため、専門ツールなしで仮説検証を進められる。このデモでは、Google Driveプラグインと、共有可能なスプレッドシートなどを活用した。
展示ブースのイメージ作成は、展示会出展時のイメージを社内共有するといったシナリオで紹介。会場写真、平面図、ブランド資料、運営要件をChatGPT Work上にまとめ、実際の会場を保ったまま来場者あり/なしの完成イメージと提案スライドを作成。施工前から空間と運営の両面を具体的に検討できるようにした。使用機能は、Google Driveプラグイン、Image Gen、画像編集、共有可能なスライドなど。
デイリー・アクションブリーフは、スケジュール機能で毎朝、Gmail、Slack、Google カレンダー、CRMを自動確認。返信が必要なメール、会議準備、海外チームの更新、動かすべき案件を期限付きの行動に整理するため、複数のアプリを巡回せずに仕事を始められる。使用機能はスケジュールとGmail、Slack、Google カレンダー、CRM Searchプラグイン。
営業会議の準備では、30件の案件についてCRM、メール、カレンダー、サポート情報を突き合わせ、金額・期限・顧客影響や情報の食い違いから議論すべき5件だけを抽出。会議を状況報告ではなく意思決定に使える3ページの資料にまとめた。主な使用機能は、CRM Search、メール、Google カレンダーなど。
社内申請管理サイトの作成では、Webを公開できる「Sites」とプランモードを活用。要件を自然な言葉で伝えて実装計画を立て、確認・承認するだけで、申請フォーム、申請履歴、管理画面、管理者権限、データ保存などを備えた業務アプリをコードを書かずに作成・公開できる。Sitesでは、社内だけ(Enterprise)や限定公開などの設定も可能となっている。
音声から議事録作成も紹介。会議音声を文字起こしするだけでなく、前回議事録と計画書まで照合し、決定事項、担当者と期限、未採択案、前回決定との矛盾、未解決論点を分けて、曖昧な期限も具体化した実務で使える正式議事録を作成した。主な使用機能はGoogle ドライブ、Slackプラグイン、音声認識、共有可能なドキュメントなど。
ナレッジワークに広がるAIエージェント体験
ChatGPT Workは繰り返しの業務でも能力を発揮する。スケジュール済みタスクでは、スケジュールやイベント発生時に繰り返し実行させたり、時間の経過に伴う変化を監視させたりできる。
利用例としては、毎週のSlack更新を確認し、定例会議のアジェンダを更新できるほか、毎朝Webサイトとダッシュボードを確認し、変更点を要約してレポートを送信、メールで新しいフィードバックが届いたらプレゼンテーションを更新など、一定のルールに基づき定期的な作業や更新をChatGPT Workに委ねられる。
また、Enterpriseなどのビジネス向けプランでは、ChatGPTの共有プロジェクトで、複数のメンバーが、同じプロジェクト内のチャット、ファイル、プロンプトを共有しながら作業できる。各メンバーは共通のプロジェクトコンテキストを利用して作業を進められる。
なお、デスクトップアプリでは、ChatGPT WorkとCodexを選択するかたちとなるが、チャットは左ペーンに用意され、シンプルなチャット機能も引き続き利用できる。
Chat、Work、Codexを用途に応じて使い分ける構成とし、Workは、より長い調査や分析のほか、文書、スプレッドシート、プレゼンテーション、レポート、Siteなどの完成した成果物を作成するための体験と位置づける。Codexは、コードの作成やデバッグ、テスト、リポジトリを使った作業など、ソフトウェア開発に特化したエージェントとする。
業務にAIエージェントを活用と言われても、「ピンとこない」という人も多いかもしれない。しかし、ChatGPT Workを使ってみると、チャットとの対話の延長に、資料作成やデータ分析といった成果物までたどり着け、普段の仕事をエージェントに委ねるという体験をイメージしやすくなる。ChatGPTが広めた「チャットでAIに質問する」体験の次の段階に、ナレッジワークの「現場」が移りつつあるようにも感じられる。


















