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“傘がない”を解決するアイカサ、オフィスビルへの傘スポット設置拡大

傘のシェアリングサービス「アイカサ」は、首都圏の大手鉄道会社全てと連携するなど駅への設置を推進してきたが、駅の次の取り組みとして、オフィスビルへの設置拡大を進める「2030年使い捨て傘ゼロプロジェクト for ビルディング」を始動する。プロジェクトには、オフィスビルの管理・運営を行なう三菱地所、森トラスト、東京建物、東急不動産リート・マネジメント、ジャパンリアルエステイトアセットマネジメントが参画する。

アイカサは、Nature Innovation Groupによる傘のシェアリングサービス。突発的な雨のときに駅や街中でアイカサを借り、雨が止んだら最寄りの傘スポットに返却する。利用料金は、使い放題プランが月額280円、使った分だけプランが24時間70円。サービス提供により使い捨てのビニール傘をなくし、資源の消費および生産から廃棄までのCO2排出削減につなげる。

首都圏におけるアイカサスポットの駅への設置については、392駅で完了している。駅に加えてオフィスビルへの設置を拡大し、「駅とオフィスビルをアイカサで繋ぐ」ことを狙う。

三菱地所ら参画する5社もそれぞれ環境負荷低減に取り組んでおり、その一環として管理・運営するオフィスビルへアイカサスポットの設置を進める。また、入居テナントに対してのサービス向上も見込む。

日本で消費される使い捨て傘は8千万本

日本で消費される傘は年間約1.2億~1.3億本で、そのうちの6割にあたる約8千万本がビニール傘などの使い捨て傘だという。Nature Innovation Group 代表取締役社⻑ 丸川照司氏は、こういった急遽購入されるビニール傘以外にも「最初は置き傘として誰かが持ち込んだものがオフィスの傘立てに放置され、年末には所有者不明の多くの傘が捨てられる」という問題を提起する。

こういった問題に対して、アイカサスポットを駅やオフィスビル、学校など、生活動線上に設置することで、急な雨の時にも傘を買わなくて済む環境を作る。学校については、早稲田大学や東京大学、上智大学などに設置している。スポット数の目標は、2024年に4,000、2027年に15,000、2030年に25,000。

設置拡大について丸川氏は「1社単独でできるものではない」とし、「参画パートナーとともに取り組みを進め、加速させていきたい」と説明。また、JR東日本スタートアップなどからの資金調達も実施し、資金調達を通して鉄道会社との連携をさらに強化する。

JR東日本スタートアップ シニアマネージャー 阿久津智紀氏(左)とNature Innovation Group 代表取締役社⻑ 丸川照司氏

そのほか、2030年使い捨て傘ゼロプロジェクトには、旭化成ホームプロダクツ、関電工、サントリーホールディングス、東京ガス、100BANCH(パナソニックグループ主催)、MIRARTHホールディングス、Rethink PROJECT(JT主催)の7社も参画しており、それぞれロゴやオリジナルデザインを施した傘を、アイカサにて展開している。

左から、旭化成ホームプロダクツ、関電工、サントリーホールディングス、東京ガス、100BANCH(パナソニックグループ主催)、MIRARTHホールディングス、Rethink PROJECT(JT主催)

発表会では、漫才トーナメント「THE SECOND」で準優勝を果たしたマシンガンズの滝沢秀一さんが、ゲストとしてではなく司会進行役として登壇。ごみ収集会社での仕事経験を活かし、ビニール傘ゴミの廃棄方法を実演し、いかに手間がかかるかを強調した。

滝沢秀一さんによる実演。ビニール部分を外して可燃ごみとして捨て、骨の部分は開かないようテープで止めて不燃ごみとして捨てる(自治体により異なる)
神奈川県横浜市の分別手順