ニュース

NEC、画像の場所を衛星画像や航空写真と照合して推定する技術

NECは、景観画像の場所を衛星画像や航空写真など上空から撮影された画像と照合して推定する技術を開発した。同技術により、ランドマークとなる建築物が写っていない場合でも、広域をとらえた衛星画像・航空写真から撮影場所を見つけられるようになる。

NECは、同技術を自然災害の被害を受けた場所や範囲の推定へ活用する方針で、救助活動の迅速化等への貢献を目指す。

水害や地震等の自然災害の発生時は、被災者の救助活動や生活再建に向けた取り組みのためにも、被害を受けた場所や範囲、状況を即座に把握することが重要となる。そのため、NECは、衛星画像・航空写真を活用し、地上で撮影された画像の場所を推定する技術を開発。同技術を用いた公開データセット(CVACT)による評価で、世界最高水準の照合精度85.6%を確認したという。

同技術の特徴は主に以下の2点。

  1. 見え方が大きく異なる画像を高精度に照合
  2. 撮影時期の違いによる景観の変化に対応

1では、地上で撮影した横からの景観画像と、人工衛星や航空機から撮影した上からの景観画像の特徴量の対応付けを学習する手法を開発。視覚的な見え方が大きく異なる画像を高精度に照合できるようにした。

従来技術では、ランドマークとなる建築物が写った位置情報付きの画像と照合することで場所を推定していたが、同手法では限られた場所以外での推定が難しかった。今回開発した技術は、位置情報付きの衛星画像・航空写真と照合するため、街中の広い範囲の場所を推定できるという。

2については、時間の経過により移動・変化する被写体を景観から削除した画像を大量に自動生成して学習し、景観の変化に対応。地上で撮影した画像と衛星画像・航空写真との間で、車の移動・建物の取り壊し・樹木の伐採等により景観が変化していても、画像の場所を推定できる。

なお、同技術を活用する際は、撮影者の同意が得られた画像や写りこんだ人物を特定できない画像など、適切な人権・プライバシーに配慮した画像の利用を行なうとしている。