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羽田にマイルも貯まる無人店舗「ANA FESTA GO」 27日開業

ANAグループのANA FESTAと無人決済システムの開発を進めるTOUCH TO GOは、8月27日午前8時に無人決済システムを活用した実用化店舗「ANA FESTA GO 羽田B1 フロア店」を羽田空港第2ターミナル地下1階にオープンする。

TOUCH TO GOが開発した無人決済システムを活用した国内初の空港ギフトショップ(土産店舗)第1号店。ウォークスルー型の店舗で、センサーカメラの情報から、入店客と、客が手に取った商品をリアルタイムに認識。決済エリアに客が立つと、タッチパネルに商品と購入金額が表示され、表示内容を確認して支払うだけで買い物ができる。

土産物店にTOUCH TO GOのソリューションが導入されたのは今回が初めて。メインとなるお土産菓子は価格帯別の「おすすめランキング」形式を採用した。定番商品をすぐに手に取り、出口でタッチパネルの表示内容を確認したら、交通系電子マネー等にて素早く、かつ非接触に買い物をすることが可能となる。また、今回はマイル積算にも対応した。

ANA FESTA GO 羽田B1フロア店
店舗入り口
「入る・えらぶ・決済して出る」だけでスピーディに買い物が可能
決済手段は交通系電子マネー、クレジットカード、現金
決済端末。マイルも貯められる
店舗天井に設置された18台のカメラ群で来店客が何を何個とったか認識する

店舗の広さは約40m2。アイテム数は約100。18台のセンサーカメラを用いている。TOUCH TO GO代表取締役社長の阿久津智紀氏は、「土産品、空港、ポイントシステム連携の3つは、当社としては初めての試み」と語った。同社のソリューションはこれまでコンビニ店舗などを前提としており、箱菓子のような従来は扱ってこなかった大型の商品への対応も初めてだったという。なお同社のユーザーからのニーズはシステムのランニングコストや、より簡単に使えるように、より簡単に導入できるようにというものが多いとのこと。

TOUCH TO GO 代表取締役社長 阿久津智紀氏

無人決済システムの流れ

買い物の流れ

具体的な買い物の方法は、TOUCH TO GOが開発している他の無人店舗と基本的に同じだ。商品を手に取り、出口でタッチパネル上の表示を確認して、交通系電子マネーなどで支払うことで完了となる。なお、TOUCH TO GOとして今回の店舗が5軒目となる。

入り口に立つとゲートセンサーが検知し、自動的にゲートが開く。なお店内混雑を避けるため、入店人数は10名以内に制限されている。

1人ずつ入店する

店内に設置されたカメラやセンサーによって客が「何を」「いくつ」手にとったかは自動で認識される。そのため棚から欲しい商品を手にとり、出口手前の決済エリアに立つと、タッチパネルに購入しようとしている商品が一覧で表示される。客は画面でその内容を確認し、交通系電子マネー、クレジットカード、現金のいずれかの方法で支払う。QRコード決済は、今後の導入を予定する。

商品を選ぶ
手に取った商品は自動認識される
決済エリアの端末前に立つと、自動で取った商品名が表示される
正しいかどうか確認する

支払いが済むと出口ゲートが自動で開く。購入した商品を決済エリアに用意されたビニール袋や、手持ちのカバンなどに入れて退店となる。なお今回、TOUCH TO GOの無人決済システムでは初となるポイント付与及びカード割引機能が開発・実装された。「ANA FESTA GO 羽田B1 フロア店」では「ANAのマイル積算」及び「ANAカード割引」が適用される。

具体的には、決済時に「ANAマイレージクラブの方」というボタンをタッチし、カードをかざして「ANAマイレージクラブお客様番号」を入力すると、100円(税別)につきANAのマイルを1マイル積算する。また、ANAカードで決済すると、ANAマイレージクラブカード提示分のマイルとは別に、200円(税込)につきANAのマイルを1マイル積算する。ANAカードで1,000円(税込)以上購入した場合は、決済時に「ANAマイレージクラブお客様番号」を入力すると、購入金額から5%割引される。

ANAマイレージを貯めることができる
マイルを貯める場合は、その後に決済する
交通系電子マネーなどで決済
決済後、自分で商品を袋に入れる

お土産菓子は「おすすめランキング」形式

おすすめランキング形式で並べられた商品

展開する商品は、基本的に東京の定番のお土産。常温品のお土産お菓子を中心に、入口には新商品や季節商品等のプロモーションコーナー、洋菓子、和菓子、ANAオリジナル商品(食品・雑貨)、弁当・飲料、雑貨を、それぞれコーナー展開する。特にメインとなる洋菓子・和菓子は、ANA FESTA羽田全店の売上・販売数量データから上位商品を抽出し、それぞれ価格帯別に陳列する「おすすめランキング」形式を採用し、選びやすさを追求した。価格帯別の上位商品を順に横一列に並べるので、目的に合った買い物がしやすくなっているという。

商品のランキングは売り上げを基本としている。数カ月ごとに入れ替える予定

全日空商事 事業創造室 リテール戦略チームリーダーの武井実氏と、ANA FESTA 東日本支店支店長の牛尾隆之氏によると、無人店舗を選ぶ顧客層を想定すると、このようなランキング形式のほうがベターだと考えたという。「通常の店舗ならは店員が説明したり試食を提供することもできるが、この店舗は無人なので、商品説明も文字で読んでもらうことしかできない。そこで価格帯で分けることで目的が別れるのではないかと考えた。まず棚で目的を分けて、ランキング形式にすることでスピーディにお買い物ができる」(ANA FESTA 牛尾氏)。「無人決済を使う顧客像を考えると、空港での時間があまりなくて急いでいて、確実な商品をパッと選んで買っていく人が多いのではないかと考えた」(全日空商事 武井氏)。実際に、空港でのお土産選びは「シンプルに定番を選ぶ人が多い。ベスト3が圧倒的に売れる」そうだ。

なおランキングは羽田空港の他のお店の売れ筋から、和菓子洋菓子それぞれに選んでいる。基本的には売上ベースだが、なかにはメーカー都合もあるため、純粋なベスト10ではない。そのため「おすすめランキング」ということになっている。商品は3カ月に一度程度のペースで入れ替えられる。「コンビニと違って空港店舗は毎日利用するものではないので、そのくらいのペースでも十分に真新しさが感じられる」とのこと。

全日空商事 事業創造室 リテール戦略チームリーダー 武井実氏
ANA FESTA東日本支店支店長 牛尾隆之氏

有人店舗と無人店舗を融合。全国の空港への展開も視野に

商品展開の異なる有人店舗も併設。無人店舗との融合を探る

今回、無人店舗の横には有人店舗も併設されている。スピーディに東京土産の定番を買う無人店舗の商品数をおおよそ100としたときに、残りの面積を有効活用しようということで、こうなったという。東京土産を中心とした無人店舗に対し、有人店舗は全国から集めたテーマ型販売店舗となり、無人店舗側の発注・商品補充なども有人店舗側で行なう。

全日空商事の武井実氏とANA FESTAの牛尾隆之氏は、有人店舗と無人店舗の融合について「まだ明確な方針はないが、今回の取り組みを通じてそのあたりも見えてくる」と考えていると語った。「全てを無人のFESTA GOにするつもりはない。メインは今までどおりの接客をしながら横にFESTA GOを併設する、融合・共存していくようなイメージを考えています」(全日空商事 武井氏)

ANA FESTAとTOUCH TO GOは、今回の協業は、商品購入の自動化によるレジ待ちストレスの解消や、客と店舗スタッフが直接対面することのない決済を提供し、省力化による店舗運営コストやオペレーション負荷の軽減を実現するものだとしている。今後はさらなる利便性の向上と新しい店舗運営のあり方を模索し、全国各地の空港への展開も視野に入れる。現時点でのスケジュールは未定とのこと。