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NECが目指す「スーパーシティ」。10年先の「まるごと未来都市」

NECは、政府が進める「スーパーシティ構想」の実現に向け、社内体制やソリューションの強化など、新たな取り組みを開始した。

スーパーシティとは、従来のスマートシティの特別版という位置づけで、生活全般にまたがる複数分野の先端的サービス提供や、複数分野間でのデータ連携、大規模な規制改革を実行することで、10年先のより良い生活を先行的に実現する「まるごと未来都市」を目指す取り組み。

2020年5月に可決された、国家戦略特別区域法案(スーパーシティ法案)に基づき実行されるもので、今後、スーパーシティへの重点投資を行なうことで、2025年度までに100都市でスマートシティを実現することが目標として掲げられている。

NECではこれに対応するため、100人規模のスーパーシティ事業推進本部を設置。NECグループの全国114カ所の営業・開発・保守拠点と連携し、地域密着型のサービスを模索する。

これまでNECは、国内13の地域でスマートシティの取り組みに参画。今回はあらたに、スーパーシティのビジョンとして「世界に誇れる『地域らしい』まち」を掲げてサービスを開発する。ビジョン実現のため、「経済基盤の活性化」「住む人・集まる人のQOL」「地域特有課題の解決」の3つを柱としていく。

都市基盤の活性化としては、歳出削減・歳入拡大に向けた施策や地域で自走できる仕組みを、コンサル的に課題を解決。長期的な視点からスマートシティの運営を実現していく。

住む人・集まる人のQOLとしては、地域の人との共創を軸に、地域課題を深掘り。住民の課題をヒアリングなどえ調査し、必要とされるサービスを具体化していく。また、サービスの実現には、地元の企業とも共同で行なうことで地域活性化にも貢献する。

地域特有課題の解決としては、規制改革によって、分野を横断するデータ利活用を実現。データ連携・利活用を可能にする都市OSを実装する。例えば医療分野では、個人の医療データを活用可能とすることで、高額医療費制度や民間医療保険利用の手続を簡素化する他、旅行先などで体調が悪化した場合、医師や救急隊員などがその場で医療データを参照して対応できるようにする。

また、観光についても、個人のニーズに合わせた周遊プランを自動生成したり、訪問先の混雑状況や天候変化なども考慮したプラン変更など、安心・安全も考慮できる「スマートツーリズム」の構築を目指す。また、AIを活用し、訪問履歴や満足度等を元にデータを解析し、リピート率も向上していくことで地域経済を活性化させる。

NECはこれまで、国内13の自治体にスマートシティ事業者として参画。スーパーシティ構想では、全国31自治体が公募に応募しており、そのうち17自治体にNECが参画。データ連携基盤やサービス事業者としては12自治体に参画し、全体取りまとめとしては北海道・更別村、神奈川県・小田原市、和歌山県・すさみ町、香川県・高松市の4自治体に参画している。

このうち、更別村では高齢者のQOL向上として、スマホの扱いが難しい高齢者の暮らしをDXする取り組みを実施。アバターを使い、対話によって健康管理サービスやデマンド運行サービスなどの予約が可能なシステムを構築した。利用者には好評で、アバターに感情移入をしてしまうほどだという。

都市OSとしては、欧州発のデータ利活用基盤「FIWARE」と、NEC独自開発のAI技術「NEC the WISE」や、生体認証「Bio-IDiom」などを活用。地域に参画する官民ステークスホルダーがデータを相互に利活用する環境を提供する。

スーパー/スマートシティの取り組みについて、同社は2021年度内に20都市、2025年度には200都市での展開を目指す。