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トヨタとNTT、スマートシティで資本提携。GAFAに対抗

トヨタ自動車とNTTは、スマートシティビジネスの事業化に向けた協業関係を目的として業務資本提携を締結した。出資額は相互に2,000億円規模。

トヨタは、CES2020において、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」のプロジェクトを発表。CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services)実証の街として「Woven City」を東富士に作ることを明らかにしており、NTTとの協業によりこれを加速する。

両社は、トヨタのモビリティ技術、NTTの情報通信技術を持ち寄り、先進的技術を活用することで、都市や地域の機能、サービスを効率化・高度化し、さまざまな課題を解決。快適性や利便性などを高めるスマートシティ事業に共同で取り組んでいく。

スマートシティ化による課題解決や価値向上の効果を最大化し、地域力向上、国家力向上に繋げるため、両社はスマートシティ実現のコア基盤となる「スマートシティプラットフォーム」を共同構築・運営する。

スマートシティでは、人やクルマ、企業・自治体など、街に存在する全ての領域への価値提供を行なうとし、静岡県裾野市東富士エリアのWoven Cityを皮切りに、東京都港区品川エリア(品川駅前のNTT街区の一部)に実装。その後、連鎖的に他都市へ展開を図るとしている。

スマートシティープラットフォームは、住民・企業・自治体等向け価値提供のセキュアな基盤として、スマートシティのデータマネジメントと情報流通、これらに基づくデジタルツイン(まちづくりシミュレーション)と、その周辺機能により構成。

デジタルツインでは、実在する街をリアルタイムに仮想空間で再現し、試行結果をフィードバックする機能などを実装する。

これに伴い、トヨタ自動車とNTTは、長期的かつ継続的な協業関係を構築するとし、相互に株式を取得。

トヨタ自動車は、NTTの第三者割当による自己株式の処分により、NTTの普通株式80,775,400株(発行済株式総数に対する所有割合約2.07%、総額約2,000億円)を取得。NTT側は同じくトヨタ自動車の普通株式29,730,900株(発行済株式総数に対する所有割合約0.90%、総額約2,000億円)を取得した。

NTTとの提携は必然

トヨタ自動車代表取締役社長の豊田章男氏によると、クルマは長い間ハードとソフトウェアが一体だったが、物づくりにおけるソフトウェアの位置づけは変化し、今やハードウェアの進化をソフトウェアの進化が上回り始めたという。

その成功例はスマートフォンで、ソフトウェアの更新によって新機能を追加ができる「ソフトウェア・ファースト」である点をあげ、自動車についても将来的にはソフトウェアアップデートによってマイナーチェンジを提供できるようにしていきたいという。

スマホは「ソフトウェア・ファースト」

スマートフォンの本体がOSのアップデートで価値が提供されるのと同様に、クルマのソフトウェアを更新して価値を提供できる時代になると、トヨタのクルマの耐久性や整備のしやすさなどが強みになるという。

また、スマートシティーでは、クルマや街が主体ではなく、人々が暮らしていてそこにクルマ、街を繫ぐという。クルマは個人の所有だけでなく、社会システムの構成要素として、果たす役割が変わる。例えば、有事の際には非常電源として使えたり、ワイパー使用情報をベースとした気象情報、渋滞情報、被災後にクルマが走れる場所をマッピングする「通れた道マップ」などのハザード情報も提供できる。

トヨタは、ソフトウェア・ファーストのクルマと、社会システムと結びついたクルマにより、「モビリティ・カンパニー」へとフルモデルチェンジするとし、このためには情報を繫ぎ、扱うNTTとの連携は必須で、豊田氏は「NTTとの提携は必然」とした。

また、両社はオープンマインドを掲げ、他社の参入も歓迎。同様の研究を行なっているGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)については、「申し出があれば歓迎するが基本は競争になるだろう」と語った。