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赤羽駅の無人レジ店舗で未来型ショッピングを体験してきた!

JR赤羽駅5・6番線ホームに、AI無人決済システムを使った無人決済店舗の実証実験が10月17日から2カ月程度の予定で実施される。営業時間は平日の10時から20時。今回は、開店前に店舗を取材。入店から商品選び、会計までの流れ、およびJR東日本グループ会社担当者が考えるメリットと今後の課題をお届けする。

外観(入り口側)

まず入店する際には、交通系電子マネーのカードやスマートフォンを端末にかざすと、店舗の扉が開く。電子マネーについてはPASMOなど、Suica以外の交通系電子マネーでも利用可能だという。

このときに注意したいのが、現状は実験段階ということもあり、入店は3人までであるということ。実証実験を実施している際は人数の制限があるため、順番待ちになることがあるという。これは人物を判別する精度を上げていくことで解決するものとしており、2017年11月に大宮で実施した同様の実証実験では入店は1人までだったとのことで、確実に進化はしているのであろう。

なお、1タッチにつき1人で、3人入る場合はそれぞれが電子マネーを端末にかざす必要がある。また、3人が入って、そのうちの1人がまとめて決済することも可能。

入店後は、通常の店舗と同じように購入する商品を選ぶ。店舗での人の動きや商品の動きは、天井に備え付けられた人物用のカメラ16台と、商品棚に備え付けられた商品用のカメラ約100台で認識している。RFIDタグは使用していない。

一度手に取った商品を元の場所に戻したときにはそれも認識される。元の場所に戻さなかった場合も対応できるようにはなっているが、精度が下がる可能性もあるという。

通常の店舗と同じように商品を手に取る
天井に備え付けられたカメラで人物を認識
商品棚に備え付けられたカメラで商品を認識。写真右上の黒い物体がカメラで、白いほうは照明

商品を持って出口のゲートのスペース(決済ゾーン)に立つと、右側のディスプレイに購入する商品名と料金が表示されるので、内容を確認し、間違いがなければ電子マネーをかざす。レシートが出ると同時にゲートが開いて、退店できる。レジ袋は出口付近に用意される。なお、複数人で入って1人がまとめて決済する場合は、商品を持った1人が決済ゾーンに入るか、3人が全員で決済ゾーンに入る。

退店する際、何も持っていない場合は退店ボタンを押すことで、外に出ることができる。また、商品をかばんの中などに入れても、商品を取ったことは認識されているため、電子マネーで支払わなければ出ることはできない。

現段階では、電子マネーの残高が不足していた場合、一度すべての商品を棚に戻し、店舗の外に出てチャージをした上で再入店して購入する必要がある。

決済ゾーンのディスプレイ画面
電子マネーをかざして決済

今回販売されるのは、飲料、ベーカリー、菓子類など、約140種類。

菓子類の棚
ベーカリー類の棚
ドリンクのほか、要冷蔵のスイーツなども

店舗面積は、閉店したホーム上のキオスクの跡地ということで、約21m2と狭い印象を受けたが、レジと店員のスペースが省略されている分、これだけの商品を並べることができているともいえる。

内観

この無人決済店舗の実証実験では、サインポストが開発したAI無人決済システム「スーパーワンダーレジ」が使われている。AI無人決済システムによってレジを無人化する主な目的は、レジの人員の省力化。具体的には、人件費高騰に伴う人手不足に対するシステムだという。

採算が悪い店舗を閉店するのではなく、人件費を抑えられる無人店舗に切り替えて営業を続けることで、利用客の利便性を上げていくことも期待されている。また、レジに並ばなくて済むという点も、利用客にとってのメリットとしている。

今後の課題としては、人物と商品の認識精度だという。人物については前述のとおり、入店人数に制限がある。また商品についても、同じ商品であっても例えばクリスマスパッケージなどといった、パッケージが異なるものが入荷されてしまうと、認識できなくなってしまう。こういった商品認識率と決済認識率を向上させ、今後の実用化を目指すとしている。