トピック
チケットの不正転売は「罪になる」 チケプラに本気の対策を聞いた
2026年2月10日 10:00
コンサートやスポーツ観戦などのチケットは年々デジタル化が進んでいますが、ライブ・エンターテインメント市場における不正転売の問題は深刻化しています。
昨今は「推し活」ブームの影響もあり、人気のアーティストの公演はチケットがどんどん取りづらくなり、高額転売や他人の身分証を使った不正入場なども相次ぐようになりました。
そのなかで、チケットの適正な流通を目指し、早くから電子チケットや公式リセールを導入していた「チケプラ」を運営するチケットプラスは独自の施策を行なっており、不正取引の防止に注力しています。チケットの不正取引・不正入場の実情、それに対するチケットプラスの独自の対策などを同社取締役の飯沼 裕樹氏にお伺いしました。
チケットプラスは前身となるEMTG(エンタテインメント・ミュージック・チケット・ガード)時代の2003年から、ファンクラブ事業と円形しチケット不正転売対策に取り組んでいます。エムアップグループへの参画などを経て、現在はチケットプラスに社名を変更。電子チケットアプリや、主催者公認のチケットリセールサービス「チケプラトレード」の開発・運営などを行ない、ファンが安心してライブエンターテイメントを楽しめる環境作りに取り組んでいます。
グループ会社のFanplusでは音楽アーティストを中心としたファンクラブ運営をしており、電子チケットの利用はアーティストのコンサートやイベントが多くの割合を占めています。リセールチケットは音楽領域のほか、ミュージカル、プロ野球など幅広く展開しており、イープラスなど他プレイガイドで購入したチケットもチケプラトレードでリセールできる仕様です。
同社が開発・運営するチケプラ電子チケットは、チケット購入者のスマートフォン端末でしかチケットが表示されない仕組みになっていたり、チケットのスクリーンショットでは入場ができない仕組みになっていたりするなど、誰にでも渡せてしまう紙チケットと比較して不正転売ができないように対策されています。
そんな中でも、イベント当日に不正入場を企む人は少なからずいるとのこと。他人にスマートフォンを端末ごと貸し出して不正転売をする人もいたり、本人確認として入場時に身分証の提示が求められるイベントでは、他人の身分証を借りる人やそもそも身分証を偽造して入場しようとする人もいるそうです。
「電子チケットでもスマホごと貸し出して不正転売・入場する人もいて、我々もイベント主催者やアーティストの事務所から常に新しい対策を求められています」(飯沼氏)
機械による顔認証で不正減少
不正入場にさらに有効な対策が、顔写真付きの電子チケットによる入場や、タブレット端末による顔認証入場です。チケットプラスには顔認証を用いた入場の仕組みが2つあり、1つはチケット当選後に登録した顔写真が電子チケットに表示され、入場時にチケットと合わせて本人確認を行なう方法。
もう1つは、公演当日にタブレット端末を利用して機械で本人確認を行なう顔認証入場です。顔写真付き電子チケットや顔認証入場を利用するかはイベントの主催者が判断し、人気の公演などでは不正転売対策として導入されることが多いようです。
「チケットに当選者の名前を記載し、入場時にスタッフが顔写真付きの身分証と照合して本人確認をするというのは昔からありましたが、時間も手間も掛かります。また、身分証の写真と目の前にいる人の同一判定が難しかったり、明らかに違うのに本人であると押し通そうとする人がいたりとトラブルが起きるとさらに時間を要します。チケットプラスの顔写真付き電子チケットであれば身分証の提示は必要ありませんし、タブレット端末を利用した顔認証入場であれば機械が判断するので、スタッフの労力も軽減できます。顔写真付き電子チケットやタブレット端末による顔認証入場はかなり効果があり、導入したイベントでは不正をする人はほぼいなくなります」(飯沼氏)
抽選式の公式リセールで平等なチャンスを
スマホ端末と電子チケットの紐付けや、顔認証入場の導入などは不正対策に効果がありますが、なかには急遽ライブに行けなくなって誰かにチケットを譲りたいといったときもあると思います。
そうした場合に公式の場でチケットを譲渡する方法として、イベント主催公認のリセールサービス「チケプラトレード」があります。チケプラトレードではチケプラで購入したチケット以外にも、イープラスなど他社プレイガイドで購入したチケットもリセールが可能です。
購入者の代金支払いはチケプラに対して行なわれ、出品者への送金もチケプラが行なうため個人間での金銭のやり取りは一切発生しません。
リセールでのチケット購入は基本的に抽選で、申込後から公演日の直前まで、毎日正午に抽選結果が反映されます。その日の抽選で落選しても、リセール最終日まで申し込み内容は維持されており、翌日の抽選も対象となる仕様です。なおチケプラには先着販売の仕組みもありますが、基本は抽選制を採用しているとのこと。
その理由について飯沼氏は「公平性という点では先着よりも抽選制が適しており、特に人気チケットだと数枚のリセールチケットを多くのお客様が求めることになるため、すべての人に機会が公平に行き渡るよう抽選制にしています」と説明します。
なおリセールも一次販売同様に一定の手数料が掛かりますが、リセール手数料について飯沼氏は「リセールサービスの運営には諸経費もかかるため手数料をいただいており、そこはご理解いただけたらと思います」とコメント。
ちなみにチケプラトレードの抽選は、出品者も誰にチケットが行き渡るか分かりません。急に行けなくなったから友達に譲りたいという場合でも、特定の人に譲渡することはできない仕様です。
「『相手を指定して譲渡する』といった機能を設ける場合、どうしても悪用されるリスクがあります。転売サイトやSNSなどで『相手を指定する機能でチケットを渡します』といった文言をつけたうえで定価以上で取引されかねません。ただ、行けなくなったから友達に譲りたい、という意見は多くあるので、我々もどうにかできないかと考えています。チケットプラスはあくまで、ライブを楽しみたいファンの方々が安心してチケットを手に入れられる世の中にしたいという想いで主催と協力して転売対策を行っているため、友達にチケットを手軽に譲渡できる仕組みは作りたいと考えています」(飯沼氏)
不正転売は「罪になる」ことを周知
改めてまとめると、チケットプラスでは現在、行けなくなったチケットはリセールサービスを使うことを案内しています。
定価以上での取引は不正転売となりますし、リセールを介さずスマートフォン端末や身分証を貸し出してチケットの取引をするといった行為は当然不正です。
「我々としては、SNSや非正規のチケット仲介サイトなどを通した個人間でのチケット取引はトラブルの元なので、公式サービスを使ってもらいたいと願っています。最近はチケット詐欺も多く、お金を払ったのにチケットが渡されないということもあります。公式の場以外では『出品も購入もしない』が浸透してほしいですね。そして何より、不正転売問題は法律でも禁止されています。2019年に『チケット不正転売禁止法』がスタートし、不正転売により逮捕されている人もいます。SNSや非正規のチケット仲介サイトなどで気軽にチケットの取引ができるようになってしまっていますが、それらはすべて非公式でありトラブルにもなるため、不正転売は『罪になる』問題であることを、主催と協力して行っていきたいですね」(飯沼氏)
最近は花火大会の有料席の不正転売も多く、日本三大花火大会の1つである新潟県の「長岡まつり大花火大会」でもチケットの不正転売が問題となっています。なかには定価の8倍以上の価格で取引されているケースもあり、25年11月にはチケット不正転売禁止法違反による逮捕者も出ました。
チケプラトレードは、長岡花火財団公認の公式リセールサービスとして採用されています。正規ルート外での不正転売により、チケットプラスでは正当な取引が阻害されるなどの営業上の被害を受けていることから、転売サイト2社に対して、出品者を特定するための発信者情報開示請求を、長岡花火財団と連名で行なっていました。
「長岡まつり大花火大会」におけるチケット不正転売の発信者情報開示請求を実施
「チケットプラスだけでなく、多くのアーティストを抱えるSTARTO ENTERTAINMENT社なども非正規の転売サイトに対して発信者情報開示請求を行なっています。なかには非正規の仲介サイトを公式だと思っているお客様もいるのですが、こうしたサイトは非公式であり、定価以上の出品は開示請求され、逮捕される事例が出てきています。重ねてになりますが、チケットのやり取りは『公式サービスを使う』ということを、我々はこれからも啓蒙していきたいと思います」(飯沼氏)






