いつモノコト
自転車の空気入れに革新「クリックバルブ」が快適
2025年8月30日 09:30
自転車のタイヤに空気を入れる際の操作が極めて簡単になる、革新的な機構を搭載した「クリックバルブ」という製品が登場し、自転車乗りの間で話題になっています。ドイツのタイヤブランド「シュワルベ」から第1弾製品が発売されたほか、「Clik Valve」ブランド自らの製品も流通しはじめています。ライトやポンプなどのアクセサリーを手掛けるレザインもポンプ製品の展開を予告するなど、対応製品は広がりをみせています。
今回、シュワルベの「クリックバルブ 仏式変換キット」を入手できたので、簡単に使用感をお伝えしたいと思います。価格は3,300円でした。ポンプヘッドのアダプターを含まないクリックバルブだけなら、シュワルベの製品は2個セットで1,320円です。
「クリックバルブ」は、ロードバイクやマウンテンバイクなどスポーツバイクのタイヤに採用されていることが多い仏式バルブの先端(バルブコア)を交換する形で装着するバルブパーツです。ポンプ側にはクリックバルブ対応のポンプヘッドを装着し、クリックバルブに交換したバルブに差し込むだけで、「コツン」というクリック感とともに装着が完了、固定され、空気を入れられるようになります。外す際もポンッと引き抜くだけです。
従来の仏式バルブで必要な、小さなロックナットを指先で回す、1回プッシュして内部のパッキンの固着を解く、空気を入れた後はロックナットをしっかりと締める、といった作業が一切不要になります。文字通りワンタッチで済む革新的な機構です。
タイヤチューブに用いられるブチルゴムなどの素材は、その素材特性として徐々に空気が抜けていきます。高い空気圧で使うことが多いロードバイクのタイヤは、例えば1週間も経つと適正な空気圧を下回ってしまうことが多いので、週末に乗るだけという人も、空気を入れ直す作業が推奨されます。
クリックバルブに交換すれば、乗る前に毎回当たり前だった仏式バルブのロックナットまわりの面倒な操作が、ついに不要になるというわけです。空気の流入量も仏式バルブより多いので、ポンプを操作する回数を減らせるなど、メリットは多いです。
空気圧を減らす調整は先端中央にあるピンを細い工具などで押せば可能です。この先端部分は凹型で、仮にゴミが入ったまま空気を入れると良くないと思われるので、ダストキャップの利用は事実上必須だと思います。ダストキャップはポンプヘッド同様に上から被せてパチンと音がするまで押し込むという仕様です。
ちなみに、クリックバルブは米Clikと伊Record(バルブ製造メーカー)の共同特許によるもので、企画・開発をClikが行ない、Recordが製造、第1弾製品をシュワルベが商品化した、という形になっています。シュワルベでは「1世紀以上続いていた課題を解決する」と、革新ぶりをアピールしています。
なお、仏式バルブでもバルブコアを取り外せない一体型のものにはクリックバルブを取り付けられないので、この点はあらかじめ確認しておく必要があります。取り外せるバルブコアは、スパナなどでつかめるよう平らな部分があるので判別できます。シュワルベのタイヤチューブは基本的にバルブコアを装備しています。パナレーサーでは「2ピースバルブ」と呼ばれているタイプが該当します。
クリックバルブのワンタッチ装着は、対応するポンプヘッドを使うことが前提です。互換性として、ワンタッチではないものの、既存の仏式ポンプヘッドで空気を入れること自体は可能です(クリックバルブにネジ山はないので、ねじ込み式ポンプヘッドは非対応です)。携行する小型ポンプなどが仏式バルブのポンプヘッドという場合でも、とりあえず空気を入れることができます。
私が購入したシュワルベのキットには樹脂製のポンプアダプターが同梱されているので、既存のポンプに取り付けることで、ポンプヘッドをクリックバルブ対応にできます。ただ、このアダプターが取り付けられるのは内径の大きい米式のポンプヘッドの穴に対してです。仏式バルブのタイヤを使っている人は仏式のポンプヘッドを使っていると思うので、ちょっと面倒が生まれます。ポンプヘッドを米式に交換できる場合は、このアダプターを取り付けられます。私は使っているポンプヘッドがパーツ交換で米式に変更できるタイプだったので、そこにポンプアダプターを取り付けています。
今後はレザインからもクリックバルブ対応のフロアポンプ、ハンドポンプ、CO2システムなどの展開が予告されています(一部販売店では10月下旬以降と案内されています)ので、ポンプ側の選択肢が増えるのは時間の問題といえそうです。少し使っただけでも、すでに以前の仏式バルブには戻れないという印象なので、これを機にフロアポンプを買い替えるのもよさそうです。
仏式バルブの操作は、それが当たり前過ぎて「そういうもの」という前提で過ごしてきましたが、クリックバルブはワンタッチで着脱できて非常に快適です。定期的にスポーツバイクに乗るような、空気入れ作業の頻度が高い人ほどメリットを感じられそうです。ポンプ側の製品ラインナップの拡大も注目していきたいですね。












