いつモノコト

待望のジャストサイズ シチズンの機械式“37mm”を買ってみた

シチズン時計から発売された「TSUYOSA」コレクションの37mmモデル(アイスブルー、NJ0200-50L)を買ってみました。機械式の腕時計で、価格は66,000円ですが、Amazon.co.jpにて46,200円で購入しました。10%ポイント還元だったので、還元分を差し引くと41,580円相当です。

5万円前後をターゲットとした機械式の腕時計は“入門用”として海外でも競争が激しく、そこに数年前から投入されている意欲作が「TSUYOSA」コレクションです。海外で人気を博した後に国内でも展開されるというパターンで、今回の小ぶりになった37mmモデルも海外ですでに投入済みです。

この腕時計のハイライトはケース径が37mmというサイズであることです。腕時計は長い時間をかけて徐々に大型化してきましたが、最近になって、ヴィンテージウォッチの時代のような、36mm前後をターゲットにした小ぶりなサイズ感が再評価されています。ファッション業界で“ジェンダーレス”が広がっていることも影響していそうです。例えばシチズンは2024年6月にダイバーズウォッチの37mmモデルを発売していますし、シチズンに限らずほかのブランドでも“一回り小ぶり”なサイズであることを訴求する製品が増えています。

こうした小ぶりなモデルの良いところは、(私のように)腕の細い男性にとっては、着けた時の見た目のバランスが良く、ぴったりのサイズということです。ジャストサイズの腕時計の選択肢が増えているのは大いに歓迎したいですね。

「TSUYOSA」コレクションは鮮やかなカラーのダイヤルが特徴ですが、ホワイトやブラックといった定番カラーがラインナップに無く、まさにその鮮やかなカラーを楽しむためのコレクションになっています。

ダイヤルのカラー以外の部分は腕時計のスタンダードを突き詰めた内容です。ダイヤルのデザインは腕時計として王道的なものですし、バーインデックスは天面が白く爽やかな印象で、そこが夜光塗料になっていて実用性も確保されています。このインデックスや針のポリッシュ仕上げも綺麗で、視認性が高く、各部をいろいろ見ても隙がありません。

ケースやブレスレットも想像以上に綺麗な仕上がりで、“高見え”とでもいいましょうか、安っぽく見えない、ちゃんとした仕上がりです。最近はもうこれが標準レベルなのかもしれませんが、昔の機械式腕時計の入門モデルとは雲泥の差ですね。

こうした時代の進化が最も分かりやすいのはメタルブレスレットでしょうか。シチズンのこれは、厚みがあって、実に堂々したものになっています。ポリッシュ仕上げとサテン仕上げの磨き分けもメリハリが効いています。コマはかまぼこ型のデザインで、雰囲気としては、少しラグジュアリー路線かもしれません。

厚みのぶん全体も重くなっていますが、時計本体の重さと釣り合いがとれて、むしろ装着時のバランスの良さにつながっています。ブレスレット側が軽いと、重いケース側を振り回すような感覚になることもありますが、この腕時計にそんなバランスの悪さはありません。実売4万円台でここまでしっかりとした重量感のあるブレスレットが付いてくることに驚きました。

コマ調整後の重量は103gでした

機械式ムーブメント「Cal.8210」は40mmモデルと同じで、信頼性の高い、歴史のある設計を継承したムーブメントです。シチズングループのムーブメントブランド「ミヨタ」で、組み立ては日本です。ゼンマイを巻き上げるローター(回転錘)にはシチズンの刻印が施されています。この価格帯ではプリントで済ませる場合も多いので、安っぽく見えないのはありがたいところ。

カタログスペックの精度は日差が-20秒~+40秒となっていて、実際に着用したところ、1日で+20秒ぐらいでした。1時間で1秒弱進む計算です。安価なタイムグラファーでも計測してみましたが、日差予測は平置きで+16秒、3時を下にした縦置きで+22秒でした。動きの乱れは少なく、ある程度までちゃんと調整されていることが伺えますし、5万円前後で買える機械式腕時計として標準的な内容だと思います。

風防はサファイアガラスで、価格帯を考えれば豪華な仕様。傷がつきにくく、透明度が高いのでダイヤルをクリアに見られます。防水性能は5気圧防水で、必要十分な性能です。

パッケージを開けたところ
紙で同梱されるのは保証書のみ。取扱説明書はWebサイトで確認します。保証期間は1年間ですが、シチズンに製品登録をすると1年延長され2年間になります
G-SHOCK GWG-B1000(ケースサイズ:縦58.7mm、横52.1mm)と並べてみたところ
大きさの比較。ケース径の実測値は左から33.7mm、34.5mm、37.1mmでした。中央は1969年製のヴィンテージウォッチです

日常の利用で気をつけるのは、カレンダーの歯車が動く夜間(21時~4時30分)にカレンダーを調整しないことと、磁気に近づけないことぐらいでしょうか。鮮やかなカラーに惹かれて入手してみても、各所にしっかりとディテールが詰め込まれており、入門用としてこれ以上無い仕上がりになっていると思います。

太田 亮三