ミニレビュー

「探す」アプリで位置情報を検索できる 厚み4.98mmのCIOバッテリーが"本当に”役立った

「SMARTCOBY ULTRA SLIM 3K」(左)をiPhone 13 mini(右)と並べたところ。実売価格は8,980円

CIOの「SMARTCOBY ULTRA SLIM 3K」は、厚みわずか4.98mmのモバイルバッテリーです。その激薄ぶりが何かとクローズアップされがちですが、もうひとつ、Appleの「探す」アプリに対応しており、外出先で紛失してもiPhoneからその位置情報を検索できることもポイントです。

実売価格は8,980円(3月21日時点)です。1月末から一般販売が始まったこの製品ですが、筆者はクラウドファンディングでいち早く入手しおよそ3カ月試してみましたので、そのレビューをお届けします。

5mmを切る激薄ボディ 持ち歩いても負担の少ない軽さ

まずは外観から。見た目の最大の特徴はなんといってもその激薄ぶり。厚みはわずか4.98mmと、iPhone Air(5.6mm)よりもさらに薄いボディが特徴です。充電用のUSB Type-Cポートの厚みは減らせないことを考慮すると、これより薄くするのはほぼ不可能と言っていいでしょう。

ボディは、表面のシルバーは素材(ステンレス)そのまま、裏面のグレーは滑り止め加工が施されています。この裏面の滑り止め加工は、マグネットで吸着させた時にiPhoneの背面から位置がズレないようにしつつ、傷をつけないためのものです。重量は公称わずか82gと100gの大台を割っており、バッグの中に常時入れていても負担になりません。

側面にはUSB Type-Cポートのほか、ステータス表示用のLED、さらにバッテリー残量確認ボタンが配置されます。残量をパーセンテージで表示したり、あるいは複数のLEDで表示する機能は残念ながら用意されておらず、色(紫/青/赤/赤点滅)で判別しなくてはいけないという、直感的に残量を把握するには少々つらい設計です。

製品本体。名刺よりもひとまわり大きいサイズ。ボディはステンレス素材
スマホに吸着する裏面には滑り止め加工が施されています。重量は公称わずか82g
厚みはわずか4.98mmという、USB Type-Cポートがぎりぎり配置可能な厚み。両側には残量表示のLEDおよび残量確認ボタンがあります
ショートタイプのUSB Type-Cケーブルが付属します
パッケージ。ほかにブラックモデルもラインナップしています

充電は、iPhoneの背面に吸着させて行ないます。薄型ということでiPhone Airなどとの相性は良好で、吸着力もかなりのものです。ちなみにiPhone 13 miniなどボディの幅が狭いモデルとの組み合わせは、本体左右からはみ出てしまうため、充電自体は問題なく行なえるものの、見栄えはあまりよくありません。

なお本体側面のUSB Type-Cポートは基本的に本体の充電に利用するためのものですが、このポートを用いての外部デバイスの有線充電もサポートします。MagSafeでのワイヤレス充電に対応できないデバイスは、こちらの方法で充電することになります。

iPhone Airに装着したところ。フィット感は良好です
厚みは本製品(上)のほうがわずかにスリム
横から見たところ。デザイン的にもマッチしています
iPhoneと同じくマグネットによる吸着機構を備えるPixel 10 XL Proに装着したところ。こちらも相性は良好です
iPhone 13 miniなどの小型モデルは本体がはみ出してしまうため見栄えはイマイチ
有線ケーブルでの充電も行なえます

置き忘れてもAppleの「探す」アプリで位置情報を検索できる

といった具合に、なにかと薄さがフォーカスされがちな本製品ですが、筆者としては、Appleの「探す」アプリに対応し、外出先で本製品を置き忘れてもiPhoneで探し当てられる機能のほうが、目玉機能のように感じます。

他社製品でも最近ちょくちょく出てきている機能ですが、モバイルバッテリーはAirTagやその互換製品を取り付けるのが困難なだけに、内蔵されていることには意味があります。

セットアップの方法は、一般的な「探す」対応の忘れ物防止タグと同様で、本製品のボタンを長押ししてペアリングモードにしたのち、iPhoneの「探す」アプリで「その他の持ち物」を選択し、持ち物の名称、さらにアイコンなどを選んで、Appleアカウントに紐付けるだけです。

ペアリングモードを有効にしたあと「探す」アプリで「その他の持ち物」を選択。「AirTag」ではないので注意(左)検索が実行され本製品が見つかったら「接続」をタップ(中央)続いて名称を入力します(右)
続いてアイコンを選択します(左)機能紹介の画面が表示されます(中央)セットアップが完了し現在位置が表示されました。UWB非対応のためAirTagのような「探す」ボタンではなくGoogleマップと連携した「経路」ボタンが表示されます(右)

現在地は最寄りのAppleデバイスを経由してマップ上に表示されますので、回収しに行く場合の交通ルートや所要時間がすばやく検索できるほか、「探す」アプリを通じてサウンドを鳴らしたり、また拾った人に連絡先などの情報をiPhoneで読み取ってもらうためのメッセージを登録することもできます。

AirTagと違って近距離通信(UWB)には対応しないため、数mまで近づくと方角や距離を表示してくれる機能はありませんが、これはAirTagを除く他の互換タグや、他社のモバイルバッテリーの一部が備える同等機能においても変わりません。

「経路」をタップすることで現在地からのルートがGoogleマップ上で表示されます(左)紛失時に読み取ってもらうための連絡先情報も登録できます(中央)AirTagと同様、位置情報をほかのユーザーと共有する機能も利用できます(右)

実はこの「探す」機能、筆者がなぜ推すかというと、今回の試用期間中に紛失するポカをやらかし、実際にこの機能を使っての回収に成功したからです。丸一日経過してから紛失に気づいて検索したところ、前日訪れた都内の飲食店にあることが分かり、店に連絡を入れて回収に赴くという、まるで機能を検証するために故意に紛失したかのような出来事でした(もちろん故意ではありません)。

なおこの際、紛失→回収まで約10日間かかったのですが、位置情報を発信するための電力はモバイルバッテリーそのものの容量とは別に確保されているようで、最後の2~3日までは位置情報を取得することが可能でした。取扱説明書によると最大2カ月程度は検索できるとのことですが、実際にはだいたい1週間程度と見ておいたほうがよいのかもしれません。

コンセプトは秀逸だが容量がより大きいモデルも欲しい

以上のように、実際に紛失→回収という一連の流れを体験する羽目になったこともあり、筆者はその薄さよりも「探す」アプリ対応であることのほうが、より利便性の高さを感じます。紛失後そのまま行方不明になっていればこの記事も書けていなかったはずで、「探す」アプリ、そして回収および保管してくれていたお店様々といったところです。

ちなみに筆者が紛失した本製品を拾って保管してくれていたのはメンチカツやコロッケのテイクアウトで有名な東京・上野の「肉の大山」。その節はお世話になりました

一方で、充電速度はそれほど高速ではありません。ワイヤレスでは7.5Wと、旧来のQi規格準拠のスピード。また有線も10W(5V/2A)とお世辞にも速くありません。逆にインプット側、つまり本製品を充電するための速度はUSB PD準拠の20W(9V/2.22A)と、こちらのほうがアウトプット側より速い始末で、性能重視のモバイルバッテリーと比べると見劣りします。

また最大のウィークポイントは容量です。一般的にスマホ1回分の満充電ができるか否かのボーダーラインは5,000mAhとされますが、本製品はそれすらも下回る3,000mAh。つまりiPhoneの満充電は不可能で、寿命を数時間延長するのが精一杯です。これは本製品がiPhoneの満充電をそもそも目的としておらず、充電しながら少しでも長い時間使い続けるのを目的としているためでしょう。

こうしたコンセプトは理解できるのですが、万人に必要な機能か否かはまた別の話。個人的には「探す」アプリに対応したままバッテリー容量の多い製品、具体的には10,000mAhクラスの製品などラインナップの拡充を期待したいところです。

またそれに合わせてより安全性の高い準固体電池を採用した製品が出てくれば、ユーザーにとってはなお安心できるでしょう。当面このシリーズは注目していきたいところです。

山口真弘