ミニレビュー
会議も取材もハンズフリーで録音 頼れるAIレコーダー「Plaud NotePin S」
2026年5月15日 08:20
業務の効率化を進める中で、AIボイスレコーダーの存在感は着実に増しています。録音自体はスマートフォンでも行なえますが、専用機ならではの使い勝手や、録音後の文字起こし・要約まで含めた体験に魅力を感じる場面は少なくありません。
これまでいくつかのAIボイスレコーダーを試してきましたが、最近特に使いやすいと感じているのが「Plaud NotePin S」です。実売価格は28,600円(4月17日時点)。2026年3月に発売された新モデルで、メーカーから商品提供を受け、約2カ月メインで使ってみました。
Plaud NotePin Sの魅力はハンズフリーで録音できること
Plaud NotePin Sは、親指大のカプセル型ボイスレコーダーです。最長20時間の連続録音、40日間のスタンバイに対応し、日中の業務で使うには十分なスタミナを備えています。
本体前面には物理ボタン、背面にはマグネットと充電端子を搭載。充電は専用ポート経由で行ない、ポート側はUSB Type-Cに対応しているため、汎用ケーブルを使えるのも嬉しいポイント。
本機のいちばんの特徴は、この小ささを生かして“身に着けて使える”ことです。背面のマグネットを使い、付属クリップで服や書類に留めたり、マグネットで胸元に固定したりできます。リストバンドに装着して、手首で録音することも可能です。本体は約17.4gという軽さで、身に着けていても重さは全く感じません。
私自身はネックストラップで胸元に下げて使うことが多く、外出時は朝から晩まで身に着けたままにしています。こうしておけば、デスクがない場所で取材や作業をする際も、片手がレコーダーで塞がることがありません。
前モデルのPlaud NotePinも長く使ってきましたが、使い勝手の面で大きかったのが操作方法の違いです。従来モデルは本体前面をタッチ長押しして録音を開始する方式で、操作自体はシンプルな一方、押した感覚が分かりにくく、録音できていなかったことが何度かありました。
NotePin Sでは物理ボタンで録音を開始できるようになり、操作した感覚が明確になりました。タッチ操作と比べて「押した」ことが分かりやすく、胸元に下げた状態でも迷わず操作しやすい印象です。少なくとも筆者の使い方では、録音開始の失敗は今のところありません。
十分な録音品質。文字起こし・要約も使いやすい
Plaud NotePin Sは、専用のPlaudアプリと連携して使います。初期設定を済ませておけば、本体で録音したデータをPlaudのクラウドにアップロードし、文字起こしや要約をクラウド側で処理できます。
録音自体は本体単独で行なえます。前面ボタンを長押しすると録音を開始し、もう一度長押しすると終了です。
スマートフォンで録音する場合、着信に応答したり、カメラアプリで動画を撮ったりすると、そちらにマイクが奪われて録音が止まることがあります。その点、スマホとは別デバイスであるPlaud NotePin Sなら、着信や撮影の影響を受けず録音を継続できるのが利点です。
本体にはMEMSマイクを2基搭載しており、会話や打ち合わせの記録には十分な音質です。ポッドキャスト制作のように作品用途の音質を求めるなら専用マイクを検討したいところですが、記録用としては不満の少ない仕上がりだと感じます。
録音後は、Plaudアプリとの連携でクラウドへデータを自動転送できます。基本はBluetooth接続ですが、長時間録音では転送に時間がかかるため、Wi-Fiを使った高速転送に切り替えられるのも便利です。
ストレージは64GBが搭載されていますが、クラウドへ転送後にストレージ内のデータは自動削除されるため、ストレージ残量を意識する必要はありません。
転送が終われば、スマホのPlaudアプリだけでなく、PC向けのPlaud Webからも同じデータを扱えます。録音データの「生成」から自動生成またはカスタム生成を選択でき、カスタム生成ではテンプレートや言語の指定が可能です。
テンプレートは会議メモや議事録だけでなく、医療、建設、IT&エンジニアリング、法務、不動産、ファイナンス、教育など、業種別のものも用意されています。話者識別も選べるため、会議や取材との相性は良好です。
言語設定は通常そこまで意識しなくても使えますが、英語を交えたインタビューのように複数言語が混在する録音では、要約の出力言語が意図とずれることもあります。そうした場合は、あらかじめ「日本語」を指定しておくと扱いやすくなります。
Plaudでは、同じ録音データから複数の要約ノートを保存できます。例えば、自分用のメモ、議事録、社外共有向け要約といった形で出し分けられるのは便利です。
また、最初に生成された要約の冒頭には、内容を1枚の画像で整理したビジュアルも表示されます。会議や発表の要点をざっと把握するには役立ちます。
写真やメモも残せる「マルチモーダル入力」が便利
スマホのPlaudアプリを開いた状態でPlaud NotePin Sを使って録音すると、「ハイライト記録」の専用画面が表示されます。
録音中に本体の物理ボタンを短く押すか、スマホ画面の旗アイコンをタップすると、その前後の内容を重要ポイントとして扱ってくれます。さらに、写真の添付やテキストメモの追加も可能です。
このハイライト、画像、テキストメモを合わせた「マルチモーダル入力」が本機のユニークなところです。音声だけでなく、その場で残した補足情報も要約に反映されるため、あとから内容を追いやすくなります。
録音中に加えた情報は、「要約」とは別に「ハイライト」タブにも整理されます。ハイライトでは、ボタンを押した箇所や入力したメモに対して追加の洞察が付くほか、画像のシーン解析や画像内テキストの読み取りも行なわれます。
一方で挙動には差もあります。「要約」タブでは、メモの内容は蛍光ペン風に強調され、画像も要約内に挿入されますが、画像内テキストの扱いは「ハイライト」とは異なり反映されていない印象です。文字起こしについても、ハイライト入力の内容まで加味しているわけではなさそうです。
筆者は新製品発表会で使うことが多いため、新しい固有名詞で誤変換が出ることはあります。ただ、不満点としてはその程度で、全体としてはかなり実用的です。辞書登録もできるので、頻出する企業名や製品名を入れておくと精度を上げやすくなります。
「Ask Plaud」が便利。内容の掘り下げや再構成がしやすい
Plaudでもう1つ使い勝手がいいのが「Ask Plaud」です。要約を読んでいて、あるポイントをもう少し詳しく確認したいときに、AIへ質問するだけで関連内容をまとめて返してくれます。文字起こし全文から該当箇所を探す手間が減るのは大きいところです。
出力内容のソースは、文末の1・2・3といった注釈をタップすると、該当部分の音声・文字起こしを見ることができます。
例えば、「この内容を動画向けのナレーション原稿として書き直してほしい」といった形で、別形式のノートを生成することもできます。出力結果に気になる点があれば、追加で指示して再生成でき、その内容を新しいノートとして保存することも可能です。
要点を絞ってインフォグラフィック化する機能も用意されています。画像生成は1日10件までという制限がありますが、会議内容や取材内容を視覚的に整理したいときには便利です。
また、Ask Plaudは全体の検索画面から使うことで、複数ファイルをまたいだAI生成にも対応します。
オンライン会議は「Plaud Desktop」でカバー
Plaud NotePin Sは対面での録音に向いたデバイスですが、録音のニーズはオンライン会議にもあります。そこで用意されているのが、Plaudユーザー向けの「Plaud Desktop」です。
録音中は画面右上にツールが表示され、スマホアプリと同様にハイライトやメモを残せます。PCでは写真の代わりにスクリーンショットを保存できるのも違いです。非表示や最小化することも可能です。
Plaud DesktopはWindows版とMac版が提供されており、Teams、Google Meet、Zoomなどのオンライン会議を自動検知して、相手の音声と自分のPCマイク音声を同時に録音できます。
録音終了後は、同期をオンにしておけば自動的にPlaudのクラウドへ転送されます。その後は、Plaud NotePin Sで録音したデータと同じように、Plaud Webやアプリから文字起こし、要約、Ask Plaudを利用できます。
料金プランと使いどころ
Plaudは、Plaud NotePin Sなどのデバイス購入者向けに、スタータープラン、プロプラン、Unlimitedプランを用意しています。執筆時点では、主な違いは月間文字起こし時間です。
スタータープランは月300分、プロプランは月1,200分、Unlimitedプランは無制限。録音そのものはいずれのプランでも行なえるため、どのデータを優先して文字起こし・生成するかを選べば、下位プランでも運用は可能です。
対面ではPlaud NotePin S、オンラインではPlaud Desktopと使い分けられるため、録音から文字起こし、要約、さらにAsk Plaudによる再活用までを一連の流れで回しやすいのが本製品の強みです。
ハンズフリーで録れる小型レコーダーとしての使いやすさに加え、録音後の整理まで一気通貫で行ないたい人にとって、Plaud NotePin Sは有力な選択肢になると感じました。

















