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Google Cloud、AI時代の「3+1」戦略 NEC・NTTデータの事例も
2026年3月27日 09:00
グーグル・クラウド・ジャパンは26日、パートナー事業戦略に関する報道関係者向け説明会を開催した。説明会では、パートナープログラムのアップデートを紹介するとともに、パートナー企業としてNECとNTTデータが登壇。Google Cloudと連携したソリューションやAI活用事例を説明した。
冒頭では、グーグル・クラウド・ジャパン 日本代表の三上智子氏が、同社のAI戦略の方向性と2026年のビジョンを説明。これまでAIはタスクを効率化するツールとして使われてきたが、今後は複数のAIエージェントが横断的・自律的に連携するパートナーとしての活用が重要になると説明。その前提として、企業にはAI-Readyな環境整備が不可欠だとした。
また、Google Cloudの強みとして、TPUやGPUなどのチップセットから開発基盤、AIモデル、アプリケーションまでをフルスタックで自社開発している点を挙げた。そのうえで、2026年度のビジョンとして「AIの力でともに創ろう、ワクワクする日本の未来を。」を掲げ、パートナー企業とともにテクノロジーを形にし、日本企業の変革に貢献していく姿勢を示した。
グーグル・クラウド・ジャパン 上級執行役員 パートナー事業 兼 法人営業統括の上野由美氏は、パートナー事業戦略とパートナープログラムのアップデートについて説明した。
同社は25年度を「変革の元年」と位置づけ、AI時代のビジネス基盤を構築することに注力し、120社を超える生成AI導入事例を公表するなど、初期顧客の獲得で成果を上げた。26年度は、パートナー事業と法人営業を統合した新体制のもとで、事業の飛躍的な拡大を図る。
日本市場の成長を加速させるための市場戦略としては、「エンタープライズ市場」「スケールビジネス市場」「ソブリン戦略」の3本柱と、それらを支える新パートナープログラム「Google Cloud Partner Network」による「3+1」の戦略を展開する。
エンタープライズ市場では、大手コンサルやSIerとの協業を深め、顧客の経営課題に直結するDX戦略の立案から実装までを一気通貫で支援する。中堅・成長企業向けのスケールビジネス市場では、100%パートナー主体のビジネスモデルへシフトし、市場カバー率の向上と高速な事業展開を目指す。
ソブリン戦略では、デジタル主権への関心の高まりを踏まえ、データ主権と運用主権の両立を図るセキュアなソブリンクラウドを提供する。提供形態は顧客のセキュリティ要件に応じて、「Data Boundary」「Google Cloud Dedicated」「Google Distributed Cloud エアギャップ」の3段階を想定する。
これらを支える基盤として、1月に刷新したGoogle Cloud Partner Networkでは、事業の広さと深さを評価する「ティア」に最上位の「Diamond」を新設したほか、技術や業界に対する深い専門性を認定する「コンピテンシー」という評価軸を追加。評価プロセスにはAIを活用し、自動化と透明性の向上を図ることで、パートナーの専門性がより迅速にビジネス機会につながる仕組みを整えた。
NECとNTTデータがAI活用事例を紹介
説明会では、Google Cloudのパートナー企業として、NEC AIテクノロジーサービス事業部門長 兼 AI Technology Officerの山田昭雄氏と、NTTデータ 執行役員 テクノロジーコンサルティング事業本部長の新谷哲也氏が登壇した。
山田氏は、NECにおけるAIの取り組みとGoogle Cloudとの協業成果を説明。NECは1960年代からAI開発に取り組んでおり、現在はAIエージェントに注力している。こうした取り組みを通じて、業務全体がAIを前提に機能するオープンなAIエコシステムの構築を目指しているという。
同社は2025年8月にGoogle CloudとAIエージェントを起点とした協業を開始しており、その成果の1つとして、AIエージェントによるTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)レポート作成支援を紹介した。同レポートの作成は、高い専門性が求められる一方、対応できる人材が不足している。
NECではTNFDレポート作成において、社内に散在する活動情報の調査や分析、リスク評価までをAIエージェントが担い、人間は監査に集中する体制を構築。その結果、社内では調査・評価工数を92%削減し、リスク評価に関わる時間を8万時間削減したという。
また、AIエージェントの導入を加速させる基盤としてGoogleの技術を活用した「NEC Agent Platform」や、ブラウザ操作履歴やログから人間の意図をLLMで推定し、システム操作のノウハウをAI-Readyなデータへ変換する「cotomi Act」も紹介した。
これらの技術は、まず自社内で実践・検証する「クライアントゼロ」の取り組みとしても展開しており、年間コスト削減や業務改善につながっているとした。
新谷氏は、NTTデータがGoogle Cloudと連携し、AIを起点とした事業変革を進めていると説明。同社は2025年8月にグローバルパートナーシップを締結し、業界特化型エージェントの開発・販売やソブリン対応、モダナイゼーションを推進しているという。グローバルで5,000件を超えるプロジェクト実績も強みとして挙げた。
NTTデータはAI時代において、AIによる業務変革と、それを支える次世代インフラ整備の2つに注力している。業務変革では「Smart AI Agent」構想のもと、複数のAIエージェントが連携しながら業務全体を自律的に進める世界を見据える。
同社は、GeminiやGoogle Workspaceなどを活用し、企業の業務システムと連携したAIエージェント環境の構築を進めるほか、Gemini Enterpriseの活用支援プログラムも展開している。
インフラ面では、AIエージェント時代に対応した柔軟な実行環境が必要になると指摘した。企業が抱えるセキュリティやデータ主権の課題に対応するため、Google Cloudとともにパブリッククラウドだけでなく、プライベート環境でのAIインフラも含めて一貫して支援していく方針を示した。
































