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Google Cloud新展開 AIエージェントや新TPU、“Googleスピード”外部開放

Google Cloudは9日(米国時間)、開発者イベントとなる「Google Cloud Next '25」を開催した。AIサービス「Gemini」やAIエージェントの新展開、Google Workspaceの新機能などを多数発表している。

Google Cloudでは、GmailやGoogle フォトなどの自社サービスのためにレイテンシ(遅延)ほぼゼロという「Google スピード」のネットワークを構築している。200以上の国と地域をカバーし、約320万km以上の光ファイバーにより実現されるものだが、今回このネットワークをGoogle Cloudの全顧客が利用可能とすると発表した。

「クラウドWAN(Cloud WAN)と名付けられたプライベートネットワークは、完全に管理された信頼性と安全性の高いエンタープライズバックボーンとなり、企業広域ネットワーク(WAN)アーキテクチャを大きく変えるとする。ネットワークパフォーマンスは最大40%向上させ、コストは最大40%削減できるとしている。

クラウドWANのユースケース

AIインフラでは、第7世代TPU「Ironwood」を発表。従来の10倍以上の性能向上を実現し、1つのポッドあたり42.5エクサフロップスの演算能力を発揮。Gemini 2.5などの思考モデルの増加する要求に対応できるという。

Ironwood

Google Cloudが提供する「Vertex AI」では、先週のGemini 2.5 Proに続き、最新の「Gemini 2.5 Flash」が9日から利用可能になる。低レイテンシとコスト効率に優れたモデルで、リアルタイムの要約やドキュメントへの素早いアクセスが必要とされる場合など“主力”のモデルと位置づける。

テキストから画像を生成する「Imagen 3」は、画像生成と画像の欠損部分や破損部分を修復する機能が向上。オブジェクト除去の品質も向上しているという。オーディオ生成モデル「Chirp 3」は、10秒の音声でカスタムボイスを作成できる機能を搭載。これにより、企業はコールセンターのパーソナライズや、アクセシブルなコンテンツの開発などに活用できるという。また、会議の要約やポットキャスト分析などでの扱いやすさや書き起こしの明瞭度を向上できるとする。

Text to Musicモデルの「Lyria」は、テキストの指示を30秒の音楽クリップに変換。動画生成モデルの「Veo 2」は、動画の作成だけでなく、編集、効果の追加機能などを強化。これらにより、Vertex AIはテキスト、画像、音声、動画など全てのモダリティに対応可能とする。

また、新たなエージェント開発キット(ADK)や、エージェント同士での相互運用を可能とする新たなプロトコル「Agent2Agent(A2A)プロトコル」なども発表。企業内でAIエージェント展開する「Google Agentspace」も強化している。

Agent Engine は、マルチエージェント システムのために企業全体に接続

AgentSpaceでは、社内データの活用を強化。企業全体で利用可能なエージェントを社員に一覧表示する「Agent Gallery」や、カスタムエージェントを作成するためのノーコードツール「Agent Designer」、複雑なトピックをユーザー代わりに調査し、レポート形式で調査結果を提供する「Deep Research Agent」などを展開する。