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Google Cloud、プロ野球12球団の全試合/全プレー可視化に採用
2025年8月6日 10:00
Google Cloudは6日、日本のプロ野球における全試合/全プレー可視化にGoogle Cloudが採用されたことを発表した。NPBエンタープライズとソニーが協力し、プロ野球12球団のスタジアムに投球、打球、選手のモーション解析などに活用するソニーの「ホークアイシステム」を導入。そのデータを活用可能なコンテンツ・マネジメント・システム(CMS)やデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)を構築した。
プロ野球においては、試合分析や育成強化のためのデータ活用が進められてきたが、従来は各球団がそれぞれ独自にデータを取得し、個別利用してきた。今回のシステムは、日本野球機構(NPB)のシステム開発を担うNPBエンタープライズが主導し、「データで選手の凄さ、プロ野球の凄さを伝える」を目標とし、12球団のデータを一括管理するDMPを構築。各球団の運用効率化とファンへの新たな価値提案を目指す。
ソニーによる「ホークアイ」は、テニスのライン判定やサッカーのゴール判定などのボールトラッキングや、ビデオリプレイなどのスマートテクノロジーから構成される。ビデオリプレイは、サッカーのVARやラグビーのTMOなどのビデオ判定サポートシステムなどで採用されている。
NPBのホークアイ事例では、投手の球速やボールの軌道、回転数、打者の打球速度、打球角度、スイング速度などのデータを取得する。これらのデータをGoogle Cloud上に構築したCMSにおいて、リアルタイムで可視化し、データを生成。高品質なコンテンツ制作を実現可能とする。中継における投球やホームランの軌道などのビジュアル表現などを向上でき、視聴者にとっても新たな体験に繋げられる。
これらのデータは、全12球団の公式戦のプレーデータを一元管理し、各球団が利用可能となる。中継の高度化だけでなく、試合分析や選手育成などでも活用できるようになる。
これらのシステムは2025年シーズンからGoogle Cloud 上で本格稼働を開始しており、APIを通じて、詳細データや自動生成されたコンテンツにアクセスできるようになった。今後放送事業者へのデータ提供を行なうほか、すでにゲーム会社等からの問い合わせも来ているとのことで、パートナー向けの提供やコンシューマ向けサービス展開の検討も進めていく。
NPBがGoogle Cloudを導入した理由については、米国のMLBでの採用実績が「第一の決め手となった」という。膨大なデータを瞬時に分析し、選手やコーチ、解説者、ファンに情報を提供するシステム基盤がすでに構築できていることから、日本での展開にも参考にされたという。また開発にあたり、Google Cloudの「Tech Acceleration Program(TAP)」を活用。Google Cloudは単なる技術提供だけでなく、アーキテクチャ設計やプロトタイプ開発などでも協力して実現したという。












