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4周年を迎え「みんなの銀行2.0」に 法人参入やBaaS強化で成長
2025年7月4日 14:30
みんなの銀行は4日、サービス開始4周年の振り返りとともに今後の事業展開について発表した。個人向け事業の拡大とともに、BaaS事業や法人事業の強化などで早期の黒字化を目指す。
口座数は5月に130万を超え、ユーザーは10-30代のデジタルネイティブ世代が70%以上。3月末時点の預金残高は331億円。収益化の柱となるローン事業の貸出金は228億円で、前年から年率90%の成長となり、「ほぼ倍々ゲーム」(みんなの銀行の永吉健一頭取)としている。
パートナー企業に銀行サービスを提供するBaaSパートナーは、24社に拡大。1年間で13社増えたこととなり、Pixivやテンプスタッフなどが導入している。24年10月には請求書払いサービスを導入した。
「法人」事業を本格展開 BaaSの時代に
5年目となるみんなの銀行では、これまでの基盤を活かしながらBaaSや法人事業の強化を目指す。永吉頭取は「みんなの銀行 2.0」として概要を説明した。
これまでは一般コンシューマ向けの銀行として、UI/UXを磨いた「デジタルバンク」として展開してきたが、体験のよい銀行サービスを基盤としながら、必要機能をAPIで開放し、BaaS事業を強化していく。
また、これまではデジタルネイティブ(個人)に注力していたが、今後は法人などの顧客セグメントの開拓を目指す。パートナー企業もこれまでは個人向けが多かったが、今後は法人向けの事業者を取り込めるよう、BaaSやAPIの機能強化を図っていく。
収益化については、個人ローンの拡大が引き続き軸となる。さらに今後は「金利のある世界」となるため、預金獲得も強化し、その上で決済や口座振替手数料などの収益拡大を図る。また、法人向けの口座振替APIや振込APIなどのAPI収入、システム外販など、収益チャンネルを拡大していく。なお、6月には三菱UFJ銀行の次世代デジタルバンクへのシステム外販を発表している。
機能強化としては、個人向けでは複数口座対応や、Web3やステーブルコインへの対応を予定。法人向けでは、法人に求められるAPIの準備、開放などを進めていく。BaaSパートナー経由のユーザー基盤は1.2億としており、パートナー拡大により、みんなの銀行における取引拡大を見込む。
特にBaaSについては、サービスとしての認知が高まってきたこと、九州においてもふくおかフィナンシャルグループの支援が得られることなどから力を入れていく。そのため、みんなの銀行で法人口座を提供開始し、預金・為替取引を中心としたB2B事業として展開。資金管理や与信系サービスの検討にも着手しているという。
5分で口座開設 JPKI対応
新機能としては、みんなの銀行で7月中旬より、口座開設で「マイナンバーカード」を利用した公的個人認証(JPKI)方式を導入。最短5分で口座開設できるようになる。
2027年4月1日施行の犯罪収益移転防止法施行規則の改正により、金融機関等における本人確認方法は、原則としてマイナンバーカードを活用した公的個人認証(JPKI)方式(カ方式)へ一本化される。改正に先駆けて対応するもので、xIDによる「xID SDK」を活用し、JPKI方式に対応する。なお、JPKI方式に対応できない人向けに、マイナンバーカードの読み取りとセルフィー認証で本人確認をする「ヘ方式」にも対応する。
従来方式よりセキュリティ向上が図れるほか、口座開設も従来の最短6~8分から、最短5分に短縮。
また、Solana Japan、Fireblocks、TISの3社と、将来的なステーブルコインとweb3ウォレットの事業化に向けた共同検討を開始。ソラナ・ブロックチェーン(Solana)上でのステーブルコイン発行に向けた技術的な検証を行なうとともに、個人(B2C)/法人(B2B)を問わず幅広いユースケースにおける実用性を検討する。現実資産を裏付けとしたトークンの売買やデジタル決済におけるステーブルコインの活用、web3ウォレットを通じた新しい金融体験などを検証する。
銀行アプリとweb3ウォレットをシームレスにつなぎ、事業者と個人間で行なわれるトークンとコインの価値交換を仲介する新たなエコシステムを構築。現在のBaaSビジネスの先に、ステーブルコインもBaaSソリューションの一つとして提供していく。