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浜松町のツインタワー「TOWER S」9月1日開業 ブルーフロント芝浦
2025年6月12日 20:25
野村不動産とJR東日本が共同で推進するツインタワー「BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦)」の1棟目となる「TOWER S」が、9月1日に全体開業を迎える。ホテルが7月1日開業、オフィスが8月入居開始し、9月の商業開業をもって、全体開業となる。野村不動産はオフィス共用部「BLUE SKY LOUNGE」をメディア向けに公開した。
ブルーフロント芝浦は南側のTOWER Sと北側のTOWER Nの2棟で構成され、TOWER Nの竣工は2030年度を予定している。規模はTOWER Sが地上43階・地下3階、TOWER Nが地上45階・地下3階。ブルーフロント芝浦全体の区域面積は約47,000m2、延床面積は約550,000m2、最高高さは約230m。所在地は東京都港区芝浦一丁目1番1号 他。
TOWER Sのフロア構成は、1~3階がショップ&レストラン、7~33階がオフィスおよびオフィスサポートフロア、34~45階がラグジュアリーホテル「フェアモント東京」。そのほか、施設に隣接する桟橋「BLUE FRONT SHIBAURA PIER」が整備される。JR浜松町駅から芝浦エリアをつなぐ新たな歩行者動線「GREEN WALK」も開通しており、同エリアの飲食店3店舗が5月30日に開業している。
商業店舗は、ホテルフロア等を含めて約40店舗が出店。低層階の商業エリアは合計専有面積約1,000坪、29店舗で構成される。そのうち約7割は飲食店となる。合計約770席(屋内約540席/屋外約230席)の2つのダイニングホールを中心に展開する。1階にグリーンダイニングホール、2階にキャナルダイニングホールを設置する。
メインターゲットはオフィスユーザーとなるが、地域の人の日常利用にも応えられる場とし、「まちのコミュニティハブ」を目指す。
オフィスは1フロア約1,559坪と、都内有数のメガプレートオフィスフロアになり、入居企業のレイアウトの自由度が高いという。
28階はワンフロアすべてを共有部「BLUE SKY LOUNGE」として展開。ラウンジやテラス席、会議室のほか、サウナやフィットネスなどのウエルネスエリアも用意する。
フェアモント東京は日本初進出のラグジュアリーホテル。全217室の客室、レストラン、バー、特別な顧客が利用できるラウンジを設置するほか、ウェディングプランも用意する。
なお、野村不動産グループの中核企業8社が、本社をブルーフロント芝浦に移転する。市場やニーズが変化していく中で、グループ各社単体の事業では変化に対応できないという考えから、グループ間連携がしやすい環境を整えるとともに、社員同士のつながりを強化する。
芝浦・竹芝・浜松町で連携する「芝東京ベイ協議会」
ブルーフロント芝浦の周辺では、20年開業の「東京ポートシティ竹芝」、21年開業の「世界貿易センタービルディング南館」、27年開業予定の「世界貿易センタービルディング本館・ターミナル」が完成・進行している。3地区合計の延床面積は約105万m2におよぶ。
これら3地区ではこれまでも、回遊性向上、にぎわい創出に向けた連携をしてきたが、各地区で運営するエリアマネジメント組織が抱える共通の地域課題を解決し、地域の価値向上を目指す共創型のまちづくり組織「芝東京ベイ協議会」を、11月を目途に設立する。
緑に恵まれた浜松町芝大門地区での歴史的な文化財活用、東京湾岸部のひらけた水辺を有する竹芝・芝浦地区での賑わい創出や舟運活性化を積極的に進め、地域の価値向上を図る。
協議会活動範囲は西は東京タワー・増上寺から東は竹芝・日の出ふ頭まで及ぶ。重点施策として「新たな回遊性向上施策」「地域資源を活かしたコンテンツ開発」「スマートシティサービス導入」の3つに取り組む。
回遊性向上に向けては移動手段の拡張として、陸上モビリティ導入に加え、水上モビリティも導入。イベント時に各施設から循環バスやパーソナル・次世代モビリティが周遊し、水辺からはクルーズ船が運航するなど、陸上と水上モビリティがスムーズに接続する状態を目指す。また、公共交通や飲食サービスを組み合わせた、検索・予約・決済等を一括で行なうMaaSの導入も検討する。
地域資源を活かしたコンテンツについてはこれまでも、竹芝地区に位置する旧芝離宮恩賜庭園でライトアップイベントを18年から計9回実施するなど、ナイトタイムエコノミーの促進に向けた取り組みを行なってきた。今後も、日本の伝統文化体験、水辺の音楽体験、緑豊かな自然での食事体験など、エリアの認知向上に向けたコンテンツ開発を行なう。
スマートシティサービスについては、東京都の「スマート東京」先行実施エリアである竹芝地区で行なってきた、収集した多様なデータをリアルタイムで利用できるデータ流通プラットフォーム「都市OS」を発展・拡大し、回遊性向上と防災力強化を図るサービスを3地区に実装する。
公式LINEアカウント「芝東京ベイ公式LINE」を通じて、平常時には利用者が自ら取得するプル型で防災情報を提供、災害発生時にはプッシュ型で注意喚起などを届ける。そのほか、竹芝地区において実装している、天候や交通情報といったまちのリアルタイムデータに基づき、店舗等で利用できる電子クーポンを配信するリアルタイムインセンティブ配信システムを導入する。
野村不動産は2019年に整備した日の出ふ頭小型船ターミナル「Hi-NODE」を運営しているほか、TOWER Sの開業とともに新たに芝浦運河沿いに船着場「BLUE FRONT SHIBAURA PIER」を運営する予定であることから、野村不動産 代表取締役社長 松尾大作氏は「3地区の中で陸と海の交通結節点を担う」と説明。
野村不動産では、東京都が推進する「舟旅通勤」の実装に向けた補助制度に参画し、晴海〜芝浦・日の出区間における舟運サービス「BLUE FERRY」の運航を24年5月に開始した。松尾氏によれば、固定利用客の獲得や季節による影響をさほど受けないなど良い点も確認されているが、平日の通勤インフラとしては時間帯や便数の面で課題があるとする。
こうした状況の改善を目指し、週末にBLUE FERRYの航路拡大を実験的に行なっている。乗船率は高く、イベントや買い物への交通手段としても利用されているという。
こうした事例をもとに、26年度には新たに開設する船着場を利用した2隻目の運航を開始予定。駅からアクセスに優れた船着場を利用できることで舟運をより日常的で利便な体験にすることを目指す。