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ツインタワー「芝浦プロジェクト」 オフィス・ホテル・商業・住宅で55万平米

野村不動産とJR東日本が共同で推進する「芝浦プロジェクト」の計画詳細が発表された。高さ約235m、延床面積約55万m2のツインタワーを建設し、都心で空・海・緑を感じる新たな働き方「TOKYO WORKation(トウキョウ ワーケーション)」を提案する。ツインタワーは2025年2月および2030年度竣工予定。

野村不動産保有の浜松町ビルディング(東芝ビルディング)の建替え、およびJR東日本保有の「東海道貨物支線 大汐線用地」によりツインタワーを開発する事業「芝浦一丁目プロジェクト」として、2021年10月に着工。計画詳細発表に合わせて計画名称が「芝浦プロジェクト」に改められた。所在地は東京都港区芝浦1-1-1他。

浜松町ビルディング
センターに見えるのが浜松町ビルディング(海上より)。浜松町ビルディング跡地にN棟を建設。写真向かって左側にてS棟の建設が進められている
浜松町ビルディング 29階から見たS棟建設現場の様子
計画地

区域面積は約47,000m2。2025年2月竣工予定のS棟と2030年度竣工予定のN棟で構成され、階数はS棟が地上43階、N棟が地上45階、いずれも地下3階、高さはともに235m。オフィス・商業・ホテル・共同住宅・駐車場他が主用途となる。なお、浜松町ビルディングとの比較で、高さは1.4倍、建物規模は3.5棟分となる。

イメージパース
ツインタワーのジオラマ
用途構成

都心の利便性と、眼前に広がる空と海を有する芝浦エリアならではの立地を活かし、「空と海、世界へひらかれたこの街で、新しい人と社会の未来をつくりだす」ことを目指し、その一環として「TOKYO WORKation」を提案。都心の利便性と、眼前に広がる空と海、ツインタワーを囲む運河の水と緑に囲まれた心休まる環境を両立する街を創造するとしている。

浜松町ビルディング 29階からの眺望。同じ場所に建設されるN棟では20~21階相当の高さ

眺望環境を活かすため、柱スパンを18m間隔とする設計とし、また地上約138m(28階)に、ワーカー専用の「スカイラウンジ」を設ける。

ツインタワーの足元には、浜松町駅からの緑に囲まれたアプローチを整備するほか、芝浦運河に面したテラスや船着場等の親水空間を計画する。

運河沿いには約2,000m2、そのほか建物を囲むように約3,000m2を緑化することで、トータル約8,000m2の緑化空間を整備し、さらに線路側のグリーンウォールとツインタワーを平面緑化することで、合計約13,500m2の緑化空間を整備する。そのほか敷地北側に約1,650m2の公園を整備する。

オフィスは1フロア約1,559坪。周辺環境を活かしたウェルビーイングなオフィス専有部や、快適に過ごせる共用部のほか、施設内のホテルや商業施設、徒歩圏内にある様々なスポット等から、好みにあったワークプレイスを選択できる就業環境を用意する。

S棟の上層階には、アコーグループのラグジュアリーホテルブランド「フェアモント」が日本初進出。「フェアモント東京」として2025年度に開業する。コロナが終息した折には、国際観光都市としての東京の価値を高めるとともに、TOKYO WORKationの体験を一層豊かにする役割もあるとする。

ホテルのロビー階となる35階には屋外のテラスラウンジ、最上階の43階にはスペシャリティレストランなどを計画している。

商業施設は2棟合わせて約5,500坪の予定。緑道や運河沿いなどにカフェやレストランを整備するほか、運河側に水辺での時間を過ごすことができる550坪の広場を設ける。

レジデンスはN棟の高層階に配置。野村不動産が培ってきた住宅事業での経験と、プロジェクトが持つ眺望を活かした、高品質な居住性を追求するとしている。

野村不動産ホールディングス 代表取締役社長 グループCEO 沓掛英二氏は、芝浦プロジェクトが計画されている土地の歴史について説明。1960年ごろには倉庫が立ち並ぶ、物流を担う重要なふ頭だったという。

その後、高度成長期に入り、羽田空港をつなぐモノレールの開通や、世界貿易センタービルをはじめとした多くのビルの集積により、現在のような街の姿に近づいた。

1984年に東芝の本社社屋として、浜松町ビルディングが竣工し、以来、日本経済の成長を支えてきたエリアとする。一方で、ウォーターフロントとしてディスコなど、80年代には多くの若者が集う一面を見せるエリアでもあったという。

芝浦プロジェクトは、2018年3月に容積率1,100%超を含む国家戦略特区認定を受けて推進。東京の都市力をさらに強めることに寄与し、国際ビジネス、また観光の拠点として発展することを目指すと述べた。

なお野村不動産ホールディングスは2025年、本社を現在の新宿野村ビルから、芝浦プロジェクトS棟に移転。自らがTOKYO WORKationを体現し、テナントへ提案していく。

浜松町・芝浦開発3地区連携や舟運活性化

浜松町周辺および芝浦エリアでは、JR東日本による「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」および東急不動産等による「東京ポートシティ竹芝」が2020年に開業したほか、浜松町駅前の世界貿易センタービル再開発が進められている。

建替事業が進められている世界貿易センタービル

これらの事業と、プロジェクトを超えて「3地区連携」し、回遊性向上やにぎわい創出のための施策を実施している。

その1つとして、5月25日から28日までの4日間、旧芝離宮 ライトアップイベントを実施する。これに合わせて、ウォーターズ竹芝と日の出船着場などを往来する舟運イベントも実施する。

芝浦プロジェクトは、東京の水辺の再開発であることから、芝浦運河や東京湾を活かした新たな東京の水辺の風景を創り出すことも計画する。

芝浦は、羽田空港や天王洲等の湾岸部と、東京内陸部の隅田川や日本橋川などの水辺をつなぐ中継地点というポジションにある。都内各所で船着場の整備を含む開発計画が進行しており、今後他の地域とも連携することで、通勤や観光のインフラとしての舟運の可能性を探り、東京の舟運活性化への寄与を目指す。

左から、JR東日本 代表取締役副社長 喜㔟陽一氏、野村不動産ホールディングス 代表取締役社長 兼 グループCEO 沓掛英二氏、同社 代表取締役副社長 兼 グループCOO 兼 野村不動産 代表取締役社長 松尾大作氏

発表会ではメディア向けに、芝浦プロジェクトの特徴の1つである舟運を体験できるツアーを実施。東京ウォータータクシーにて、ウォーターズ竹芝やHARUMI FLAGなどを周遊した。

発着地となった日の出船着場。奥に見える船で周遊した
浜松町ビルディングと東京タワー
ウォーターズ竹芝。船着場も整備されている
現在入居に向けた整備が進められているHARUMI FLAG。船着場の整備計画もあるという
HARUMI FLAGを別の角度から
レインボーブリッジ