ニュース

京急、品川駅前の29階建て複合施設着工 トヨタは新東京本社

京浜急行電鉄は、品川駅周辺を開発する「京急品川開発プロジェクト」を本格始動し、5月31日に 「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」を着工する。2029年の竣工を予定している。

東京都港区高輪3丁目地区の旧シナガワグース敷地で進められている開発計画。第1弾となるプロジェクトは、地上29階、地下4階、高さ152mの複合施設で、オフィス、商業、ホテル、MICE等により構成される。

共同事業者であるトヨタ自動車の新東京本社が開業することが決定しており、今後も同社と連携を深めて品川駅西口地区まちづくりに加え、沿線の活性化や相互の発展のための取り組みを検討していく。

具体的には、国内最大級のフロア面積を持つオフィスや、都心最大規模のコンファレンスホール、人・モノ・技術が交わる交流拠点となる商業施設など「感性を刺激する場と機会の提供」を目指すという。

各フロア用途
計画敷地(緑部分)
品川駅周辺の開発予定エリア

外観デザインは、米国の建築設計事務所であるKPFが担当。敷地の特性や環境への影響を踏まえて「Flow(流れ)」をデザインコンセプトに掲げている。東京湾から吹き込む風の道を確保するため建物の平面形状は台形とし、角部分には曲線を採用。

タワーの低層部はスカートのように広がりを持たせ、高輪の自然を都市生活に取り込んで近隣地域と品川駅を繋ぐ。フレア形状の大庇は、雨風を防ぎながら人々を建物に迎え入れる重要な役割を担う。また、建物を囲うようにデッキ階以外の建築部分は緑化を施し、建物の内部からも緑を感じられる計画としている。

外観イメージ(南東から)

ライティングデザインは、シリウスライティングオフィスが担当。品川駅側(南東)は先進的な都市のイメージを空へ上昇するような光で表現し、港区立高輪森の公園側(北西)は豊かな自然を育む大地のイメージを下降しながら広がっていく光で体現する。広場や歩行者通路がある低層部では、樹木のライトアップなどを用いて来訪者が歩きたくなる照明計画としている。

ライティングイメージ

ランドスケープデザインは、プレイスメディアが担当。豊かな緑量を確保し、自然とにぎわいが共存する屋外空間を整備する。緑に囲まれたベンチの設置などで憩いの場を提供するほか、大規模なイベントを開催できる広場も整備。

在来種を中心とした植栽計画や生物の生息空間を形成し、地域の生物多様性に寄与するとしている。桜と石垣の風景も継承し、敷地周辺の樹木を保存・再移植する。

広場イメージ(イベント時)
桜・石垣を活用した歩行者空間イメージ

着工に先立ち5月23日には起工式が行なわれ、トヨタ取締役社長の佐藤恒治氏は、「新東京本社は、トヨタが目指す『モビリティカンパニーへの変革』に向けた重要な拠点になります。多様な人材が集まって創造性を発揮できる環境をつくり、モビリティで暮らしをもっと豊かにできるよう、挑戦を加速してまいります」とコメントした。

計画地は東京都港区高輪三丁目417番31(品川駅西口土地区画整理事業A街区1区画、2区画)。敷地面積は約23,584m2、延床面積は約311,802m2。事業主体は京急電鉄とトヨタ。実施設計は大成建設。

5月23日に実施した起工式。京急電鉄川俣幸宏社長(左)とトヨタ佐藤恒治社長(右)