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名刺交換で名刺メールも自動送信 Sansanが名刺を“届ける”新機能
2025年5月26日 16:45
Sansanは、営業DXサービス「Sansan」で、名刺交換後に“メール”でも名刺を送る「デジタル名刺ソリューション」を26日から開始した。Sansanでは、「渡す名刺の価値を最大化するソリューション」としている。
クラウド名刺管理サービスとしてスタートした「Sansan」は、名刺情報を起点とした営業DXサービスに強化されている。業務のデジタル化が進むなかでも、ビジネスの出会いにおいて、紙の名刺は依然として主流となっているが、紙だけでの名刺交換には「渡しただけ」で終わっている場合が多く、Sansanの調査によれば、57.7%の受け取った名刺が「管理されていない」という。
デジタル名刺ソリューションは、デジタルデータで作成した名刺を、名刺交換した相手に“メール”で届ける新機能。受け取った紙の名刺をDXサービスのSansanに登録すると、相手にデジタル名刺が自動送付される「デジタル名刺メール」と、紙もデジタル名刺もSansan上で作成・管理できる「デジタル名刺メーカー」から構成される。業務フローを変えることなく、確実に相手の手元に名刺情報を残せる仕組みとして展開する。
デジタル名刺ソリューションを導入していると、受け取った名刺をスキャンし、Sansanがデータ化した翌日に、相手のメールアドレス宛に自分のデジタル名刺が自動で送信される。これにより、ビジネスにおける機会損失を防ぐという。
Sansanの調査では、社外の連絡先をどのように探すかアンケートしたところ、約7割が「メールボックス」と回答。しかし、名刺を渡す機会が多い営業担当者への調査では、日常的にフォローメールを送る人は4人に1人で、相手の元には「名刺もない」「メールもない」という状態が生まれているという。
一方、名刺交換から半年以上後に、再びビジネスに発展するケースも多く、名刺交換した相手が「いざ連絡する」際に、連絡先にたどりつけないという機会損失が発生しているという。
Sansanのサービスを導入している企業は、自前で名刺管理できるが、名刺交換先企業がSansanを導入していなければ、“渡した名刺”が活用されない。そのため、交換直後に「メール」で連絡することで、機会損失を減らすことが、デジタル名刺ソリューションの主な狙いとなる。
作成する「デジタル名刺」は、企業名や氏名、連絡先など一般的な紙の名刺と同様の情報が含まれる。受け取った紙の名刺をSansanでスキャンするだけで、相手にデジタル名刺を自動送付できる。メールで送られるデジタル名刺は、Sansanの企業名などはなく、あくまで名刺交換した相手の情報のみが含まれる。
「Powered by Sansanなど記載したいが、それでは宣伝になってしまう」(Sansan寺田親弘社長)として、名刺以外の情報を入れないことにこだわった。一方、こうしたメールが届くことで、利便性がSansanユーザー以外にも認知され、「Sansanのユーザーではなくても(メールが届くため)Sansanの価値の一端に触れていただける。結果的にSansanの拡大やネットワーク効果に繋げていきたい」(寺田社長)とした。
「デジタル名刺メーカー」は、社員一人ひとりに対して常に最新のデジタル名刺を作成・支給できる機能。自社の名刺デザインテンプレートをSansanに登録し、氏名・肩書き・連絡先といった情報を入力すると、名刺データが作成される。名刺データは、デジタル名刺として活用できるほか、紙の名刺として印刷発注も可能。紙とデジタル名刺の双方を活用できる。また、作成したデジタル名刺は、SansanのスマートフォンアプリからQRコードでも表示できる。
例えば、営業20名が毎月15回名刺交換した場合、3,600枚/年の名刺情報がSansanの導入企業に蓄積される。一方、Sansanを導入していない企業においては、約半分しか管理されないため、約1,800枚/年しか管理されないことになる。メールが届くことで、このSansan未導入企業からの接点を確保し、問い合わせの拡大などに繋げていく。
デジタル名刺ソリューションは、3月から約50社に先行導入され、高い評価を得ているという。Sansanにおける事例では、900枚渡した名刺から5件のアポを獲得できたという。
約50社の先行導入企業は中小企業が多い。例えば展示会に多く出展し、多くの名刺交換を行なう企業では、フォローが後回しになるケースが多いが、こうしたケースでもSansanにスキャンした名刺に自動でメールが送られるため、営業活動におけるビジネス機会を拡大できるとする。また、不動産業など、面会から実際の交渉開始までに時間がかかるケースなどでも、メールが届くことでコンタクト先を「忘れない」というメリットが支持されているとのこと。デジタル名刺メーカーをきっかけに、Sansanのサービス拡大を図る。