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NTTドコモ、25年度を底に通信反転 「MAX」を順次強化
2025年5月9日 15:20
NTTドコモは9日、2024年度通期連結決算を発表した。営業収益が前年同期比1.2%増の6兆2,131億円、営業利益は10.8%減の1兆205億円。スマートライフと法人事業などの成長分野が増収だが、コンシューマ通信は通信サービス収入減などにより1,446億円の減益となった。
25年度は「成長に向けた変革の年」と位置づけており、コンシューマ通信は515億円の減益予定で、スマートライフと法人の2つの成長分野の成長によりカバーしていく計画。スマートライフは金融事業強化で成長を目指す。営業収益目標は6兆3,360億円、営業利益9,660億円を見込む。
コンシューマ(通信サービス)においては、品質向上とともに「ドコモならではのバリュー」を提案しながら価値向上を図る。DAZNと組んだ「ドコモ MAX」のような料金プランなどパートナー×ドコモを強化するほか、リアルとデジタル融合、金融サービス促進などを進める。
ドコモ MAXでは、スポーツ・EC・動画配信の幅広いユーザーを取り込む狙いで、顧客基盤拡大やARPU(1ユーザーあたりの平均収入)向上を図る。ドコモ MAXは今後、アニメやアイドルなどへの拡大も見込んでいる。
ARPUについては、24年度を底として反転予定で、24年度の3,940円から25年度は3,970円への向上を見込んでいる。
金融サービスについては、24年11月から展開している「dカードPLATINUM」の会員数が60万人を突破。1月末時点では34.7万人だったため、3カ月強で25万人以上伸ばしたこととなる。また、PLATINUM会員の利用者単価は25%高く、取扱高拡大にも寄与しているという。あわせてマネックスのdカード積立も24年8月から25年3月で約5倍に拡大している。
マーケティングソリューションでは、インテージとの連携によりマーケティングDX支援を中心に拡大していく。
エンタメにおいては、オリジナルコンテンツ等のIP開発を強化し、「ドコモファン」拡大を狙う。また、配信/興行でマネタイズを図ることで、エンタメ収益を拡大方針。強化しているアリーナ運営などのベニュー事業や、ファンクラブやコミュニティ、チケッティングなどのファンエンゲージメントなどで収益化を図っていく。
法人事業では、IoT、AI、デジタルBPO、地域・中小DXの4つを軸に成長を図る方針。25年度は法人収益2兆円の達成を目標としている。
ネットワーク強化については、5G基地局を24年3月との比較で20%増やしたほか、首都圏の平均スループットも約20%向上。鉄道導線では約30%向上し、SNSでの不満も40%削減されたという。今後も、Sub6と4G周波数帯による5G展開を加速し、「体感品質」の向上を続けていく。
なお、2月の第3四半期決算発表では、ドコモによる銀行参入について「次の決算までに結論をだしたい(NTT島田明社長)」としていたが、現時点では決定してない。NTTドコモ前田義晃社長は、「まだ何も決まっていないが、あらゆる可能性を探っていく。(銀行の)必要性の認識は変わっていない。金利も上がるなか、銀行機能を取り入れることでビジネス拡大するチャンスがある。お客様に対して提供できるサービスが広がり、ユーザー、パートナーへの支払いなどのやりやすさも変わる。改めて頑張って進めたい」とした。