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自分だけの信頼できるAIへ グーグル「NotebookLM」公開

Googleが試験公開する「NotebookLM」。現状は無料で利用可能

Googleは6日、手持ちの情報だけで使える生成AIサービス「NotebookLM」について、日本語含む200以上の国や地域への対応と機能強化を発表した。現在は「試験的な提供」と位置付けられており、無料で利用できる。

日本語やアラビア語など、200以上の国や地域に対応

NotebookLMは、2023年のGoogle I/Oで「Project Tailwind」として発表されたサービス。いわゆる生成AIを使っており、狙いは「アイデアや新しい知見の発見を促す」ことだ。

2023年5月、Google I/Oの基調講演で「Project Tailwind」として発表された時の写真

簡単に言えば、NotebookLMとは「自分が用意したデータを裏付けとして、大規模言語モデル(LLM)が回答や要約を行なう」仕組み。つまり、いわゆるハルシネーション(間違えた回答)の発生を抑え、回答に関しても、自分が用意したデータの中からだけ根拠となる部分を示しつつ回答をする、「グラウンディング」と呼ばれる仕組みを簡単に実現できるものとなる。

日本語のウェブやPDFを資料に生成AIと「内容を練る」

NotebookLMはGoogleのサービスなので、利用には当然Googleアカウントでのログインが必要になる。

NotebookLMは、6月6日時点では英語版として公開中

NotebookLM

構造的に言えば、NotebookLMは「大きな箱の中にさらに資料を入れた箱がある」ような構造。それぞれの箱は「ノートブック」と呼ばれている。

NotebookLMは、サービス全体が大きな箱のような構造で、その中に資料を挟んだノートがある、という構造に近い

このノートブックの中に資料を入れると、NotebookLMは「基本的にその資料(ソース)だけを情報として回答をする生成AIになる」と考えればわかりやすい。

NotebookLMの核となるLLMは、Googleの「Gemini」。サービスの刷新に伴い、使われるモデルも「Gemini 1.5 Pro」となり、賢くなったという。余談だが、日本語での賢さに関しては、筆者もGemini 1.5世代になってからかなりの改善を感じている。

ただし、Geminiそのものとは2つ違う点がある。

1つ目は、アップロードしたソースはGoogleのAI学習に使われない、ということ。データは自分だけのために使える。

ただし、AI学習ではなくサービスの改善のためにログを見る場合など、人間のオペレーターが確認する可能性はあるため、「完全な機密保持が必要である」性質のデータはアップロードするべきではない。

アップロードしたソースは、GoogleのAIを学習するためには使われない。しかしサービス改善のためにオペレーターが確認することはあるという

2つ目は、前出のように「アップロードしたソースだけが回答を作る情報になる」ということ。Geminiはロジックや文章の作成・要約にもちろん使われるものの、その上で回答を作る判断に使うのはアップロードしたソースの内容だけになる。

今回は短時間ながらアーリーアクセスの形でサービスを使うことができたので、実際に使いながら特徴を確認していこう。

まずは「新しいノートブック」を作り、ここにソースを入れていく。

従来、対象になるのはPDF文書やGoogle Driveに入っているドキュメントにテキストファイル、それに、他の場所からクリップボードへコピーしたテキストだけが対象だった。

だが今回から、Googleスライドのプレゼンテーション、そしてウェブサイト(URLで指定)もソースになる。特にウェブサイトが使えるようになったことは大きく、調べ物をしてまとめる用途にかなり使いやすくなった。

ソースになるのは基本文字情報だが、Google Drive内の情報の他、テキストやPDFファイル、ウェブサイトなどを登録して使える

ソースを登録したら、使い方は簡単。画面下部の入力欄に質問を入れると、チャットの形で回答してくれる。Geminiで質問するのと同じだと思えばいい。

ソースに関する内容をチャットの形で質問し、回答を得ていく

回答を見るとそれぞれには「引用元」のマークがある。そこをクリックすると、各ソースのどこが回答内容の元になったのかがわかるようになっている……という仕組みだ。

引用元マークをクリックすると、ソースに登録した情報が左側に表示される

チャットの入力欄の上には、ソースから考えられる質問がリストになって表示されている。

日本語で質問した後には日本語で「想定される質問」が出てくるが、時々英語で質問が出てくることもあった。これはローカライズ中ゆえの現象かもしれない。

チャット欄の上には「想定される質問」が表示される

ただ、質問候補は日本語だけでなく英語でも、妥当な質問が出てくる。ソースの大半が日本語の文章であってもだ。また、英語の質問をクリックした後の回答も、「英語で回答されるが、引用元情報は日本語」という形になっている。Geminiの多言語性が生かされている印象だ。

英語の質問には英語で回答するが、ソースが日本語の場合、日本語のまま表示される。逆に言えば、日本語のソースを読んで英語で回答しているということ

チャットで出てきた回答は、「ピン留め」してメモとして残しておける。

回答は「ピン留め」してメモとしてすぐ参照できる形で記録しておける

実際にここから文章を作る場合には、メモとして残した内容を見ながら、自分なりの内容を作り上げていくことになる。

レポートそのものでなく「内容を考える」サービス 正しさも「自分で判断」

本質的にこのサービスは、「レポートを書いてくれるサービス」ではない。情報を溜めておき、そこで考察のサポートとして生成AIを活用するもの、と考えるべきだろう。

生成AIはその性質上、回答の「正しさ」を担保しない。NotebookLMのチャット欄の下にも、回答は自分で確認すべき、という警告が書かれている。

回答が正しいとは限らないことに関する警告も

回答をメモとして残していき、つないでいくことでまとまった文章を作りやすくはなるが、単なるコピペではあまりいい文章は出来そうにない。

NotebookLMは学習を主な用途として開発されているが、筆者のような商業的な執筆者がメモ・データをまとめて検討するのにも使えそうだ。

GoogleはDiscordにコミュニティを作っているが、その中では、「Dungeons and DragonsなどのテーブルトークRPGをプレイする際に、世界設定などをまとめて管理する」ことに使うという例もあったようだ。

NotebookLMは現状「開発途上版」という扱いだ。だが「Project Tailwind」の時代からかなり力の入ったプロジェクトであり、「生成AIを安全かつ便利な道具としてどう使うか」を考えながら作っている印象を受ける。ここで広く世界に公開するのも、どういう用途にどういうUIで提供するのが良いかを考えたい……ということなのかもしれない。