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「高輪築堤」の木材を使った「記憶のえんぴつ」 コクヨとJR東日本

コクヨとJR東日本は、2019年に発見された「高輪築堤」の木材を活用した「記憶のえんぴつ」と「鉛筆削り」を製品化する。応援購入サービス「Makuake」で10月13日から限定500個を予約販売し、Makuake早割価格は「記憶のえんぴつ」(1本)が2,970円、「記憶のえんぴつ2本+鉛筆削りセット」が15,675円など。全9コースを用意し、12月中旬に発送する。

高輪築堤は、約150年前の明治初期に鉄道を敷設するため海上に構築された構造物。高輪ゲートウェイ駅の開発時に、西側の国道15号や泉岳寺駅近く等で出土した。今回のプロジェクトは、港区教育委員会による記録保存作業を終えた木材を活用し、将来への継承の取り組みとして実施。高輪築堤の歴史を新たな形で継承し、過去と未来をつなぐ記録・伝達・創造のための道具として、高輪築堤の木材を活用した「記憶のえんぴつ」と「鉛筆削り」を発売する。予約受付期間は12月8日18時まで。

「記憶のえんぴつ」は、「コクヨデザインアワード」で2020年にグランプリを受賞した作品「いつか、どこかで」を製品化したもの。

記憶のえんぴつ

高輪築堤では、約150年の間、杭や胴木等の木材が酸素の行き届かない地中に密閉された状態だったため、ほぼ腐敗せずに発見された。木材は、その種類によって削りだした際の木色に違いが出る。大きさや木質が使用する木材ごとに異なり、一般的なえんぴつのように大量生産は難しく、コクヨと協力会社のもと、一本一本手作りで鉛筆を生産する。今回の「記憶のえんぴつ」は、松杭は青みを帯びた白、胴木はグレーの色合いが特徴。

高輪築堤における胴木と群杭(松杭)の位置関係(イメージ)

また、高輪築堤の木材は木質が硬く、一般的な鉛筆削りで削ることは困難だという。そのため、コクヨは小型鉛筆削りの刃の製造技術を持つ「中島重久堂」とのコラボレーションで、胴木を使った鉛筆削りも開発した。削りカスが花びらのように美しく削れることが特徴で、歴史ある素材に最後まで価値を与え、物を大切にする想いを育むとしている。

鉛筆削り

JR東日本は記録保存作業を終えた高輪築堤の木材を無償でコクヨに提供。同社では、記録保存作業を終えた高輪築堤の木材の一部を高輪築堤の継承の取り組みに活用できないかと検討していた中で、コクヨデザインアワード2020グランプリ受賞作品「記憶のえんぴつ」の取り組みを知り、今回の製品開発に至ったという。

なお、今回予約販売する製品や、鉛筆加工前の木材の展示を、コクヨ直営ショップ「THE CAMPUS SHOP」「KOKUYODOORS」「THINK OF THINGS」で10月12日から実施している。