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米規制当局が暗号資産取引所に強硬姿勢 バイナンスとコインベースを提訴

米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission、SEC)は、暗号資産取引所を運営するバイナンスとCEOのチャンポン・ジャオ氏、コインベースをそれぞれ証券法違反で提訴した。

世界最大の暗号資産取引所であるバイナンスとCEOのチャンポン・ジャオ氏に対する証券法違反の告発は13件におよぶ。SECは、両者が米国の規制を回避する方策をユーザーに提供したと主張。顧客資産を私的に流用した疑いや、投資家を欺くようなプラットフォームの操作も主張している。

またバイナンスが取り扱っていた取引所のコインであるバイナンスコイン(BNB)、ステーブルコインのバイナンスUSD(BUSD)は「未登録の有価証券」と判断。バイナンスは未登録の証券取引所であり、取引所などとして登録すべきだったとしている。

SECは6日(米国時間)、さらにバイナンスと米国の関連会社、およびチャンポン・ジャオ氏の資産凍結を求める申請を出しており、顧客資産の保護に関する命令も出している。

6月5日(米国時間)のバイナンスの提訴に続き、6日にはコインベースも提訴されている。こちらも「未登録の証券取引所」などを運営したという告発で、一部ステーキングサービスなどが未登録の有価証券と判断されている。

米国の金融関連の規制当局は複数あり、それぞれが権限を持ち行使しているが、独立した連邦政府機関であるSECの暗号資産業界に対する対応は注目を集めている。

SECのゲンスラー委員長は6日、米メディアのインタビューに対応。(米ドルがあるので)「デジタル通貨は必要ない」とコメントしているほか、証券に類するものを取り扱う仲介者は情報開示やコンプライアンス遵守が重要であるとしている。

米国で利用できる(できた)暗号資産取引所は、2022年末のFTX破綻で課題が一気に表面化した。FTX破綻の直接的な原因は人間による古典的な詐欺という見方が強まっているが、米国の投資家・投資機関の資産が泡と消えたことで、SECを含む米国の規制当局は態度を厳しくしている。今回のSECによる提訴は、そうした強硬姿勢が具体化した例で、規制の整備により市場を存続させるのではなく、現行の証券法の規制を受けない従来の暗号資産取引所や一部のステーブルコインなどを排除する方針が明確になっている。

バイナンスは6日、SECによる一連の提訴や資産凍結の申請を受けて「失望している」と声明を発表。「SECの行動は見当違い」とし、争っていく姿勢を明らかにしている。一方、暗号資産の新たな規制について規制当局や政策立案者と協力してく方針も示している。