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自宅から“返品”できる宅配ボックス。パナソニックと三菱商事

パナソニック ハウジングソリューションズは、三菱商事との協業により、自宅からEC商品・レンタル商品などを発送できる「SMARI(スマリ)サービス」に対応した宅配ボックス「e-COMBO LIGHT」を4月21日から発売する。価格は98,780円~120,780円でサイズやカラーによって異なる。

ミドルサイズ(390×473×590mm)はブラックが98,780円、ブラック以外が109,780円。ラージサイズ(390×473×790mm)は、ブラックが109,780円でブラック以外が120,780円。

e-COMBO LIGHT(ミドルサイズ)
e-COMBO LIGHT(ラージサイズ)

三菱商事が提供する「SMARIサービス」は、EC商品・レンタル商品の発送・返品・返却サービス。伝票の記入なども不要でスムーズに発送手続きができる。ヤマト運輸の「EAZY」や日本郵便の「e配送」による配送、ZOZOやロコンドの返品などに対応し、関東、関西、中京地区のローソン店舗や一部鉄道駅など、約3,000店舗専用に「SMARIボックス」が設置されている。

SMARIボックスの特徴

今回の取組は、このSMARIボックスの機能をサービスとしてパナソニックの宅配ボックスに組み込むもの。戸建て住宅用宅配ボックスとしては初めてSMARIサービスへ対応する。

これにより対象宅配ボックスの利用者は、配送するものを、コンビニエンスストアに持ち込むことなく、自宅から非対面で発送できる。現時点で、SMARI宅配ボックス発送サービスは、約20社と提携している。

SMARI宅配ボックス発送サービスは、開始当初は東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県からスタートし、順次全国展開を目指す。

「e-COMBO LIGHT」は、電池式で電源工事不要な宅配ボックスで、施主が自分で施工できる接着式台座を用意。鍵の持ち歩きが不要のキーレス設計となっており、ロックは4桁の暗証番号で行なう。

e-COMBO LIGHT

SMARIサービスの利用には「e-COMBO LIGHT」の出荷時から専用のQRコードを貼付しており、このコードを読み取って設定などを行なう。

商品投函時は、QRコードをアプリで読み取り発送受付し、商品を中に入れて、締めるだけ。締めた後は、QRコードをカメラで読み取り、投函先ボックスを確認の上、表示された4桁の暗証番号を2回ボックス側で入力。これで配送手続きが完了となる。商品の配送や返品など、SMARIを介した手続きでは手書きの伝票は不要。

配送業者による商品回収は、業者が送り状のコードをカメラでスキャンした後で宅配ボックスのQRコードをスキャン。暗証番号を入力して回収する。

三菱商事とパナソニックは、東京世田谷区で2月~4月に戸建住宅30世帯を対象に実証実験を行なったところ、ローソンでの発送(自宅からの移動含む)は22.5分かかったのに対し、宅配ボックス設置後は5.7分で発送手続きが完了。また、対面での受け取りも8.6%から3.6%まで57%削減できたという。

運送業界では、法改正とともにドライバー不足が見込まれる「2024年問題」への対策を進めており、「再配達の削減」も大きなテーマとなっている。こうした事業者側の課題を解決しながら、消費者の荷物“発送”ニーズにも応えられる新たなサービスとして「スマリ宅配ボックスサービス」を強化していく。

これまでも、宅配ボックス側で電源や通信機能を持ち「発送」や「回収」に対応する製品はあったが、今回の「e-COMBO LIGHT」では、QRコードを貼るだけで通信環境などが不要で、単三電池6本のみで動作する。アナログ型の比較的安価な宅配ボックスでも高機能を実現できる点がスマリ宅配ボックスサービスの特徴という。

また、現時点では、ヤマトの「EAZY」や日本郵便「e配送」、ZOZOやロコンドの返品などの対応となっているが、「フリマアプリやオークション事業者にも順次対応予定」としている。

三菱商事では他の宅配ボックスメーカーへの拡大も想定しているほか、アパートなどの集合住宅での展開も強化していく予定。

パナソニック ハウジングソリューションズ 外廻りシステム事業部 事業部長 足立 真治氏(左)、三菱商事株 食品流通・物流本部長 西村 浩哉氏(右)