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アマゾン、オートロックマンションで「置き配」強化。三井の賃貸で協業

オートロック付きマンションでの「置き配」強化に向け、アマゾンと三井不動産レジデンシャルリースが協力する。三井不動産レジデンシャルリースが運営管理する賃貸マンションに対し、オートロック付きマンションでも玄関前などで荷物を受け取れるアマゾンの「Key for Bussiness」を順次導入していく。

建物への導入は、建物所有者の承諾を得た物件から順次開始。三井不動産レジデンシャルリースでは78,000戸を管理しており、その大半がオートロック対応となっている。現時点では、10棟約400戸が対応しており、これを順次拡大していく。

Key for Bussiness(KfB)は、オートロック付きマンションでの受取を便利にするAmazonのサービス。KfBを導入したマンションでは、Amazonの委託先であるドライバーが、配達商品を持っているときに限り、配送アプリからオートロックを解除して入館。玄関先など指定の場所に商品を届ける。

オートロックマンションの入り口で荷物を確認
アプリでロックを解除する
玄関まで配達
写真を送って配達完了

これにより利用者は、不在中や在宅していても手が離せない時などに、商品を受け取れる。また、再配達による配送ドライバーの負担軽減にもつながるという。

三井不動産レジデンシャルリースでは、運営管理物件において2021年から実証実験をすすめてきた。今回の協業により、同社運営管理物件でオーナーの承諾を得た物件から順次KfBを展開。同時に独自に置き配に関する規則を作成し、導入マンションではこの規則のもとに管理を行なう。

宅配ボックス対応マンションでも、ボックスがいっぱいで配達できないことや、ボックスから部屋まで運ばなければならないなどの課題があった。KfBによりこうした課題を解決する。

KfBは2021年からスタートしており、19都道府県、5,000棟以上のマンションに設置が完了している。大手の運営管理会社との提携は今回が初となる。

導入工事自体は60分程度で終わり、初期費用はAmazonが負担し、月額利用費も無料(年間の電気代は最大1,000円程度)。「コストをかけずに物件の付加価値を高められる」という。

なお、Key for Bussinessの対象となる配達業者はAmazonの配送サービスパートナーで、ヤマト運輸や日本郵便などによる配達は対象外。宅配各社も同様の取り組みを進めているが、まずはアマゾン独自でKey for Bussinessを進めながら、協力できる部分を探していくとする。

マンションの配達を変えるKey for Bussiness

アマゾンロジスティクス事業本部のアヴァニシュ・ナライン・シング氏は、日本においても置き配が定着してきた一方、オートロック付きのマンションでは、「不在時に玄関前に配達できない」という課題が大きいとする。初回で配達が完了できずドライバーの負荷になっており、また利用者側も再配達依頼の手間が発生するため、この解消が必要だとする。

三井不動産レジデンシャルリース 経営企画部長中村 誠氏(左)とアマゾンロジスティクス事業本部 部長のアヴァニシュ・ナライン・シング氏

その具体的な取り組みがKey for Bussinessとなる。実際にすでに導入済みのマンションでは、再配達が80%以上削減できており、配達員不足が叫ばれる中で大きな効果を挙げている。一方で、「安全」を担保するオートロックマンションでは、誰でも入れてしまうことは問題になる。そこで、商品を持っているときだけオートロックを解除できるKey for Bussinessの仕組みを時間をかけて実証を続け、今回の三井不動産レジデンシャルリースとの提携にこぎつけたという。大手の不動産賃貸管理会社との契約は今回が初で、「マンションへの配達を変えるきっかけになる」(シング氏)とした。

Key for Bussinessで再配達を80%以上削減する