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西新宿を自動配送ロボットが飲食・医薬品配送
2023年1月31日 18:35
5Gを用いた遠隔監視で運行をする複数台の配送ロボットを使った食事および医薬品などの自動配送サービスを提供する実証実験が、西新宿エリアにて1月23日から2月10日まで実施される。
川崎重工業、ティアフォー、KDDI、損害保険ジャパン(損保ジャパン)、menu、武田薬品工業(タケダ)による取り組み。物流業界の人手不足などが社会課題になっている中、新たな配送手段の確立による安定的な物流サービスの提供を目的に、川崎重工業、ティアフォー、KDDI、損保ジャパンの4社で自動配送サービスのパッケージを提供する。今回の実証実験では4社に、フードデリバリーにおいてmenu、医療関係物資配送・回収において武田薬品工業が加わる。
実証実験は、5Gを活用した配送ロボットによる自動配送サービスに向けたプロジェクトで、自動配送サービス提供体制の醸成を図る。フードデリバリーでは一定期間の提供による事業性検証、医療関係物資の配送・回収では新たなニーズ検証を行なう。
フードデリバリー配送員が少ない雨天や夜間の供給安定化
配送ロボットを使ったフードデリバリーサービスは、供給の安定化に向けた取り組み。配送ロボットが食品の配送を行なうことが生活者に受け入れられるかや、配送員が不足しがちな雨天時や夜間での配送ロボットの適応可能性などを検証する。また、保温機能など配送ロボットならではの配送品質向上にも着眼し、配送サービスを行なう。
実施時期は1月23日から2月10日までの、1月25日、1月31日、2月8日を除く平日。走行エリアは東京都新宿区西新宿周辺で、総走行距離約4km。協力店舗は京鼎樓 新宿住友ビル店、フレッシュネスバーガー 新宿三井ビル店、AFURI 新宿住友ビル店。参加ユーザーは西新宿に勤務するKDDI、損保ジャパンの一般従業員。
サービスの流れは、ユーザーのmenuを通じた注文を店舗が受注すると、配送ロボットが起動。商品の受取へ移動し、店舗スタッフが商品をロボットに格納する。その後、ロボットが届け先へ移動し、ユーザーが商品を取り出して受け取る。ロボットが到着した際にはユーザーアプリに通知が届く。
患者からの廃棄物回収にも活用
医療関係物資配送・回収については、タケダが注力する疾患領域のうち、血友病領域における課題の1つとして、患者が医療機関から大きくかさばる治療薬を持ち帰る際に、大きな保冷バッグを用いる必要があるなどの、患者にとっての負担を解決するための取り組み。医薬品を持ち運ぶ負担により、治療継続を困難にするケースがあるという。
今回のプロジェクトでは、医薬品の個人宅配送が定常化する環境変化を見据え、オンライン診療・オンライン服薬指導に加え、配送ロボットによる自動配送サービスを組み合わせた取り組みを実施。往路で血友病患者向けに処方箋医薬品を配送し、復路で医療廃棄物の回収を行なう。
流れは、患者が自宅を想定したホテルでオンライン診療・オンライン服薬指導を受けた後、薬局(院内)からホテルに血友病の処方箋医薬品が配送される。その際に患者は医療廃棄物を配送ロボットに格納し、薬局に届けられる。医療廃棄物は、具体的には血友病患者が自己注射を行なうことにより発生する使用済み注射針を想定している。
配送ロボットの「非接触」「荷物のトレーサビリティ」「重量物の配送」といった利点を検証する。あわせて、患者のアドヒアランス(治療の継続性)向上や医薬品の「製造」「流通」「サービス」の観点から患者に医薬品を安全かつ効率的に届けるための知見を収集する。
実施は1月31日。走行エリアは東京都新宿区西新宿周辺で、総走行距離約1.2km。東京医科大学病院がオンライン診療・オンライン服薬指導、院内処方・医薬品配送・医療廃棄物回収で、京王プラザホテルがオンライン診療・オンライン服薬指導、受渡し場所の提供で協力する。
プロジェクトの全体統括は川崎重工業。ティアフォーは自動運転システムの開発等、KDDIは5G通信環境の提供、損害保険ジャパンは自動配送ロボット運行にかかる自動運転リスクアセスメント、自動配送ロボット専用保険の提供を行なう。事業面・運用面・技術面の課題抽出を通じて、西新宿エリアにおける継続的なサービス提供や東京都内の他エリアへのサービス拡大の早期実現を目指す。
