ニュース

ファミマの映像配信サイネージ、3千店到達。全店設置加速

ファミリーマートは、店内への設置を進めているデジタルサイネージについて、全国34都道府県、合計3,000店へ設置が完了したことを発表。広告や来店客の動向から高い効果が認められたこともあり、当初の事業計画よりも前倒しして、2023年度中に設置可能な全店設置を目指す。

ファミリーマートと、デジタルサイネージ・メディア「FamilyMartVision」を運営しているゲート・ワンによる発表。全国約16,600店のファミリーマート店舗のうち、3,000店への設置が完了した。ゲート・ワンはファミリーマートと伊藤忠商事が、デジタルサイネージを活用したメディア事業展開に向けて設立した会社で、'21年10月に事業開始した。

ファミリーマートのデジタルサイネージでは、エンタメ情報、アート、ニュース、地域情報等の映像コンテンツ、および広告を配信。具体的には、ニュース、クイズ、アート、ミュージックビデオ、お笑いコンテンツ、特殊詐欺防止のお知らせなどで、中でもインフルエンサーによるコンテンツや音楽系コンテンツ、ペット関連のコンテンツが人気だという。

また、情報を地域ごとに出し分けることも可能で、東海地方のメーカーとコラボした弁当とサンドイッチのオリジナル商品の紹介を、東海地方限定で配信するといった取り組みも行なっている。出し分けできる地域の区分は現在のところ関東、関西といったエリアごととなるが、店舗ごとに出し分けられるシステムの検討も進める。

設置の目的は、デジタルサイネージなどの店頭メディアを活用した広告事業への参入。背景には日本の広告マーケットの、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌といったマスメディアからインターネットへのシフトがある。米国では大手小売業者がデジタルサイネージなどの店頭メディアを活用した広告事業を立ち上げ、収益多角化を実現している例を挙げている。

国内でも、消費者のメディア利用形態が多様化する中で、屋外広告や交通広告など、デジタルサイネージを用いた効果的なマーケティング手法が増加。ファミリーマートでは3,000店への設置により月間のべ8,200万人に発信できるとし、ユニークユーザーベースでは2週間約1,000万人となり、マスメディアの指標となる数に到達したという。広告枠は1枠15秒で、1時間帯につき10分に1回。

サイネージの設置位置は視認性の高いレジ裏やレジ上が中心。42~65インチのスクリーンを3連結していることから柔軟なクリエイティブ表現が可能で、また認知を高めるためクリアに聞こえるスピーカーを店内数カ所に設置している。サイネージ認知率は約70%。店内にはAIカメラが設置されており、これによりどのような広告がどういった年齢層、性別の人に見られているかを判定する。

配信される広告は店頭で販売されている商品のほか、生命保険や企業広告なども展開。これまでに設置した店舗においては、デジタルサイネージで広告を配信したことで、該当商品の店舗での売り上げが平均して2割以上アップするなど、店舗の収益に寄与。あわせて設置店舗にはデジタルサイネージの設置料が入るため、店舗の新たな収益源としても期待できるとしている。

設置3,000店舗目となった、6月20日に設置したファミリーマート 練馬西税務署前店では、レジ待ちやレンジアップ待ちなどのタイミングで見ている人が多くいるほか、立ち止まって目を向ける人もいるという。また、子どもの反応もよく、フラッペの広告を見た子どものおねだりによる追加購入もあったそうだ。

ファミリーマート 練馬西税務署前店
レジの上部に設置されている
店内のどこからでも見える位置にある

ファミリーマートは、全国約16,600店の店舗網および1日約1,500万人が訪れる顧客基盤を活用した新たなメディア事業を構築。店頭やスマホアプリ「ファミペイ」などの既存アセットを活用し、利用者には有益な情報発信による来店時の顧客体験向上、加盟店には収益向上に繋げることを目指す。