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ファミマ、新会社設立。店頭にデジタルサイネージ設置・映像コンテンツ配信

ファミリーマートと伊藤忠商事は、店頭に設置するデジタルサイネージを活用したメディア事業の展開に向けて、新会社を設立する。新会社の事業内容はデジタルサイネージへのコンテンツ配信を行なうメディア事業で、事業開始日は10月予定。

新会社では、全国のファミリーマート店内に複数台の大画面のデジタルサイネージを設置し、エンタメ情報、アート、ニュース、地域情報等の映像コンテンツを配信する。

広告サービスの整備も計画。エリア別や時間帯別のターゲティング配信、サイネージの視認率や店頭での購買などの広告効果の可視化、2020年10月に設立したデータ・ワンの持つ購買データを活用したデジタル広告サービスとの連携により、広告主となる企業への新たな付加価値提供を目指す。

第1弾として、2022年春までに3,000店舗へサイネージを導入。月間延べ8,200万人以上と接触可能なメディアを構築するとしている。その後は3年以内をめどに、設置可能な全店舗への導入を目指す。

また伊藤忠商事は、各業界におけるネットワークを活かし、ファミリーマート以外のスーパーマーケットやドラッグストア等の小売事業者、小売以外の他業態とのアライアンス構築を支援する。

新会社設立の背景として、リアルとデジタルの垣根を超えたマーケティング施策の重要性の高まりを挙げる。ファミリーマートは、全国約16,600の店舗網、月間延べ4.5億人以上の消費者との接点を保有していることから、ファミリーマートと伊藤忠商事は店頭におけるメディアとしての価値に着目。2020年9月からファミリーマート店舗にデジタルサイネージを設置し、実証実験を開始した。

その結果、期待する効果を確認できたことから新会社を設立し、本格的に事業展開を進める。また広告、購買効果以外に、特殊詐欺防止を促すコンテンツ等の配信による防犯等の効果も期待する。

新会社の資本金は9億9,000万円(資本準備金4億9,500万円を含む)。出資比率はファミリーマート70%、伊藤忠商事30%。

レジの後ろ側への設置で視認率70%の効果も

ファミリーマートと伊藤忠商事は新会社設立に関する会見を実施。その中で、実証実験で得られた効果や、今後の目標について説明した。

サイネージでは音声があるコンテンツを配信。広告収益は新会社の収入となり、設置加盟店に対しては設置手数料として電気代相当も含め、月額いくらという形で支払う。設置費用については新会社が負担する。

実証実験は100店舗で実施し、デジタルサイネージにあるAIカメラと出口調査等によって効果を検証。レジに並んでいる時の目の前にサイネージがあることもあり、視認率は70%におよび、電車などの交通広告よりも高い数値だという。また、消費者に広告の影響を聞いたところ、1.6倍ほどの購入意向につながるなど、協賛広告主からの評価を得られる結果が得られたと説明した。

2022年春までに東名阪および沖縄県の約3,000店舗に設置を進める計画で、その後、小規模店など設置が難しい店舗を除く全店舗への導入を進める。将来的にはファミリーマート店舗外へのサイネージの設置も計画しており、ファミリーマートの成長戦略の新たな柱にすることを目指す。

(左から)ファミリーマート 常務執行役員 新規事業開発本部 本部長 高橋順氏、ファミリーマート 代表取締役社長 細見研介氏、伊藤忠商事 執行役員 第8カンパニープレジデント 加藤修一氏