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ビール、もう一度始まる。キリンが新スプリングバレーで狙う市場開拓

キリンビールは、コロナ下におけるニーズの変化や、2023年10月および2026年10月の酒税改正を契機としたビール市場活性化を狙う。そのための1つの柱となる「SPRING VALLEY 豊潤<496>」(以下、スプリングバレー)をリニューアルし、前年比1.5倍の販売規模を目指す。

キリンビールでは、コロナ下における在宅時間の増加と、それに伴う在宅生活の充実、健康に対する意識の高まり等を要因としたニーズの変化があると分析。長期的な視点では、ビールには「キレ」よりも「味わいあるおいしさ」が求められるようになっていることもあり、主力商品の「キリン一番搾り」ブランドの2021年の缶製品の販売が前年比122%と好調だという。

長期的な変化については、消費者の嗜好の変化を捉えたことが拡大につながっているものと分析している。

一方でビール類市場はここ17年間継続して減少しており、コロナが落ち着いた後はある程度の回復は見込めるものの長期的には縮小していくものと予測。市場の変化に対応し、ビールの魅力化、市場活性化に本気で取り組むとする。

また、2026年の酒税改正により「ビール」と「発泡酒」が「発砲性酒類」で一本化されることから競争は激化するものと見ており、2022年を「中期経営計画のはじまりの年」を位置づけ、“「ビールが、もう一度始まる。」 キリンビールは「第二創業期」へ。”をキーワードにビールカテゴリーに注力する。

第二創業期を担う成長エンジンとして重要なブランドに挙げるのが、2021年3月発売のクラフトビール スプリングバレー。さらなる成長を目指し、中味・パッケージともにリニューアルを行なった。

これまでは外国産のホップ4種を使用していたが、日本産ホップ「IBUKI」を新たに加え、トップの香りから後味にいたるまで、味のバランスを高める。IBUKIは、苦みも含めた上品さ、穏やかな柑橘のホップの香りが特徴で、これを加えることでバランスの取れた香りと飲み飽きない味わいを実現したという。

IBUKI

クラフトビール市場拡大に向けては、消費者に対して飲用体験創出を図るほか、会員制生ビールサービス「キリン ホームタップ」向けPET強化、スプリングバレーの缶製品製造工場追加などにより取り組む。

キリンビールでは、スプリングバレーの2022年販売目標として前年比+52.9%を計画。また、一番搾りでは+9.8%、一番搾り糖質ゼロでは+20.5%を目指す。