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“有機EL照明”のJIS制定。面発光と省エネで新たな用途

経済産業省は、一般照明用有機EL(OLED)光源の安全仕様に関するJIS制定を行なった。有機EL照明の安全基準を策定することで市場拡大を促進する。

有機EL照明は、薄くて軽量かつ面発光という形状が特長。光源自体が面発光になるため、特別な設計が不要で輝度のムラが小さく、比較的低い輝度で必要な明るさを提供することが可能。自然な発光を示す面発光であることから目にやさしく、発光スペクトルに紫外線を含まないため肌に与える影響も小さいとされている。

壁や窓が発光する建材と光源を兼ね備えた形態や、美術品を自然光のような見え方に照らしつつ、紫外線による劣化を起こさせない照明への利用なども始まっており、省エネルギーでもあることから今後の市場拡大が見込まれている。

制定されたJIS C 62868-1では、有機EL照明製品を設計・製造する際に必要な安全に関する要求事項を標準化。具体的には下記のような技術的基準を規定している。

  • 構成・機械的事項:表示、構造、端子、ねじ、耐熱性・耐火性など
  • 電気的要求事項:通電部及び接続部、保護接地、故障状態など
  • その他の要求事項:光生物学的安全性など

内容としては対応国際規格であるIEC 62868-1(2020年発行)との整合を図りつつ、国内の有機EL照明の普及状況に対応。対応国際規格では不明瞭な記載となっている交流を電源とする有機EL照明についても明示するなど、一部の技術的内容を変更したものになっている。

同省では、JIS制定により、安全な有機EL照明の普及が促進され、これまで設置できなかった空間での利用が可能になることや、将来にわたって大幅な省エネルギー効果も期待。国際競争力の向上も見込んでいるという。