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エアバス、NTTなど4社、空飛ぶ基地局で通信エリア拡大

エアバスのHAPS「Zephyr」

エアバス、NTT、NTTドコモ、スカパーJSATの4社は、成層圏(上空約20km)を飛行する高高度プラットフォーム「HAPS(High Altitude Platform Station)」の早期実用化に向けた研究開発、実証実験の実施に関する協力体制構築の検討を推進する覚書を締結した。

空を飛ぶ基地局となるHAPSの早期実用化に向けた研究開発推進を目的としたもの。エアバスのHAPS「Zephyr(ゼファー)」とNTT、ドコモ、スカパーJSATの通信ネットワークを組み合わせ、HAPSの接続性や通信システムにおける有用性、技術やユースケースの開発などで連携する。

4社は5Gの更なる高速化と、6Gに向けた取り組みとして、空・海・宇宙などを含むあらゆる場所への「カバレッジ拡張」の検討を進めている。中でもHAPSによるネットワーク構築は空・海へのカバレッジ提供が容易なことから、災害対策やイベント会場など人が密集する場所での通信容量の確保、建設現場での重機の遠隔操作などに有効であると考えられている。

カバレッジ拡張ではHAPSに加え、静止軌道衛星「GEO(geostationary orbit satellite)」と低軌道衛星「LEO(low earth orbit satellite)」による非地上ネットワーク技術「NTN(Non Terrestrial Network)」の期待も高い。これらを用いたアクセスサービスを「宇宙RAN(Radio Access Network)」と称し、4社で連携して推進する。

衛星、HAPSによる宇宙統合コンピューティングネットワーク構想も推進。「宇宙センシング(地上と宇宙のセンシングデータ統合基盤)」「宇宙データセンタ(宇宙における大容量通信・コンピューティング基盤)」「宇宙RAN(宇宙コミュニケーション基盤)」の3つの機能による、宇宙まで含めた情報収集から価値化までの流れを実現する。

宇宙センシング事業では、宇宙と地球を統合したセンシング基盤の提供により、宇宙データの価値向上、宇宙データ利活用の可能性拡大に貢献する。

今後は、HAPSによる成層圏からの通信に焦点を当てた技術に関する研究開発に加え、HAPSの機体開発や運用に向けた標準化・制度化への働きかけ、ネットワークサービスの商用化に向けたビジネスモデル検討も行なう。