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セルフレジ付きショッピングカートにスキャン漏れ防止装置。トライアル

2サイズで展開。左が小型、右が中型

トライアルホールディングス傘下のRetail AIは、セルフレジ機能付き「スマートショッピングカート」の次世代モデルを発表した。商品のスキャン漏れを防止する自動検知アラーム装置を搭載するなど新設計を取り入れ、8月からトライアル店舗でテスト導入し、その後国内企業に本格導入。初期費用を抑えた月額サブリクションプランでも提供する。

スマートショッピングカートは、タブレット端末とバーコードリーダーを装備する、キャッシュレス決済ができる買い物カート。リーダーでプリペイドカードを読み込ませたうえで、客自身が商品のバーコードをスキャンしながら買い物をすることで、有⼈レジやセルフレジを使わずに決済ができる。

商品のバーコードをスキャンすると、端末に購入商品が表示される
ゲートを通過するだけで決済が完了する

設計上の従来型との根本的な違いは、従来型では既存のカートに端末を載せていたのに対し、次世代型では最初からスマートカートとしてデザインしている点。そのため、スマートカートとして使いやすいデザインが実現できているという。

例えばタブレットの位置を従来型よりも低くし、小柄な人でも見やすく、使いやすくしている。バーコードを読み取るスキャナーの位置も、商品をスキャンした後のカゴへの入れやすさを考慮した設計としている。

カゴにマイバッグを取り付けられる設計で、マイバッグの中に商品を入れていって、ゲートを通過したらそのままマイバッグを持って退店するという運用もできる。

スキャン漏れを防止する自動検知アラーム装置は、スキャンせずに商品がカゴの中に入れられたときに発動。タブレットにはアラートが表示される。

充電方法についても進化。従来型では一台一台個別に充電する必要があったが、次世代モデルでは最大20台接続して充電が可能な設計を採用している。

ソフトウェア面では、ネットリテラシーを問わないUI設計や、チュートリアルやガイド機能の充実といった特徴を挙げる。また、270億件のID-POSデータを情報化した社内開発のレコメンデーションアルゴリズムにより、タブレットに表示される「おすすめ」について、パーソナライズされたリアルタイムレコメンド、季節性や商品の移り変わりを考慮したレコメンドが可能となっている。

Retail AI 執行役員 COO 田中晃弘氏は、スマートショッピングカートの実績について説明。

田中晃弘氏

導入店舗38店舗、導入台数3,640台、マンスリーユーザーは65万。またトライアルの店舗における利用率は41.2%となっており、導入効果として来店頻度の向上と、レジ人数削減を実現しているという。そのほか50歳以上利用者51%というデータを挙げ、年齢を問わず使われていることを強調した。

次世代モデルは8月から試験導入を開始。2022年には従来型から置き換わり、主流になっていくことを想定している。また従来型も含めた導入店舗数および台数は、63店舗、6,500台まで拡大することを計画している。

月額サブリクションプランは、初期費用を抑え、導入しやすくするために新設。これまでは1台いくらという売り切りシステムにより他社スーパーに提供していたが、「お客様に新しい買い物体験」「流通業界に革新」を与えるというビジョンから、月額での提供を開始する。これまでも興味を持つ小売業者は多かったが、投資に踏み切れなかったり、リスクが高いのではないかと考えるところが多かったことから、リスクを取ることで導入を促進し、広げていくことを狙う。