お金の教室
第4回
世界情勢が不安定な今こそ見直したい オルカン+個人向け国債に注目する理由
2026年4月16日 08:20
今回のテーマは「オルカン+個人向け国債」という投資手法についてです。どちらか一つではなく、両方を活用するのがベストという考えに基づいているのですが、その理由を詳しく説明していきます。
2025年以降、米国の関税政策や中東情勢の緊迫化を背景に、世界の株式市場は大きく揺れています。こうした局面では、「自分の資産配分はこのままでいいのだろうか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし実は、株価が下落している今こそ、将来起こりうる暴落を意識した投資配分の見直しを行なう絶好のチャンスです。相場が好調なときは「このままでいい」と見直しを後回しにしがちですが、下落局面では自分のリスク許容度が試され、守りの資産の重要性を実感できます。今のうちに手を打っておくことで、次の暴落が来ても慌てずに済む体制を整えることができます。
個人向け国債の魅力と弱点
個人向け国債の最大の魅力は、定期預金よりも高い利回りです。2026年4月現在、各商品の金利は以下の水準となっています。
- 固定3年:1.51%
- 固定5年:1.79%
- 変動10年:1.55%
すべての商品で金利が1%を大きく超えており、金利上昇を受けて資産形成の手段として注目度が高まっています。また、1万円から購入できるため、柔軟に投資金額を調整できる点も魅力です。
さらに満期まで保有すれば、最初に払い込んだ元本が戻ってきます。中途売却する場合でも元本保証がついており、市場の動きに関係なく払い込んだ元本は返ってきます(ただし中途換金時は直前2回分の利子相当額が差し引かれます)。緊急時には現金化できるという安心感は、大きなメリットといえるでしょう。
一方で個人向け国債の弱点として、インフレには負けるということが挙げられます。
2020年のコロナ禍ではCPI(消費者物価指数)が一時マイナスのデフレ局面となりましたが、その後は一転してインフレが続いています。足元では1~3%程度のインフレ率で推移しており、世界情勢の不安定化も物価上昇の一因となっています。
ここで問題になるのが実質金利(国債金利-インフレ率)です。金利が上昇してきたとはいえ、インフレ率が高い水準にある現在、実質金利はおおむねマイナス圏で推移しています。つまり、個人向け国債だけで資産を保有していると、物価上昇分だけ実質的な資産価値が目減りしてしまうということです。
世界情勢が不安定になると、資源価格の変動を通じてインフレが長引く可能性があります。安全資産としての国債の魅力は高まる一方で、インフレリスクへの備えも同時に考える必要があります。
オルカン(全世界株式インデックスファンド)の魅力と弱点
次にオルカンの魅力を見ていきましょう。オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式〈オール・カントリー〉)は、全世界の株式に分散投資することで、世界経済の成長の恩恵を受けられる商品です。信託報酬はわずか0.0525%と極めて低コストで、長期保有を前提とした場合にインフレを大幅に上回るリターンが期待できます。
2021年4月〜2026年3月の過去5年間を見ると、年率リターンは約+17.53%と絶好調でした。世界の株式市場が好調に推移したことが主な要因ですが、これほどのリターンが毎年続くとは考えにくく、「過去の好成績はできすぎ」という側面もあります。
オルカンの最大の弱点は、短期間で大幅に下落することもあるということです。
オルカンが連動するMSCI ACWIの過去データ(円ベース)を見ると、2008年のリーマンショック時にはピークから底値まで約61%下落しました。100万円が約39万円に減少したことになります。その後、元の水準を回復するまでに約4年かかりました。
現在のように世界情勢が不安定な局面では、地政学的リスクや経済的不確実性から株式市場が大きく動くことがあります。「急落しても長期で保有し続けられるか」これがオルカン投資における最大の問いです。
攻めはオルカン、守りは個人向け国債 50-60代と若い世代の違い
個人向け国債の弱点はインフレ負け、オルカンの弱点は急落リスク——この2つを組み合わせることで、互いの弱点を補えます。ここで特に大切なのが、50代・60代は若い世代に比べて投資できる期間が短いという点です。50代・60代にとっての現実的な解決策は「攻め:オルカン、守り:個人向け国債」の組み合わせとなります。
たとえば30代であれば、仮にリーマンショック級の暴落(約61%下落)が起きたとしても、回復までの数年間を働き続けながら積立投資で乗り越えるだけの時間的余裕があります。一方、50代・60代は、暴落後の回復を待っている間に取り崩しの時期が来てしまう可能性があります。資産が大きく減少した状態で生活費のために売却を迫られれば、その損失は取り戻せません。
だからこそ、50代・60代は若い世代以上に「暴落時のダメージを抑える」という視点で資産配分を考える必要があります。オルカン一本でなく、元本保証の個人向け国債を組み合わせることで、急落局面でも慌てずに保有を続けられる安定した資産構成が実現できます。
(100-年齢)を株式比率の目安にする
年齢が上がるにつれて株式比率を下げ、資産の値動きの幅を抑えていくという考え方があります。「100-年齢」を株式(オルカン)の比率とし、残りを個人向け国債や預金にするのが一つの目安です。
50代の場合は、100-50=50%をオルカン、残り50%を個人向け国債にします。取り崩しまでの期間が10年以上ある方は、変動10年を組み入れると良いでしょう。
60代の場合は、100-60=40%をオルカン、残り60%を個人向け国債と預金に分けます。60代になると、10年以内に資産の一部を取り崩す方も増えてきます。すぐに使える現金も確保しておくために、預金も組み合わせましょう。また、個人向け国債は満期を短くして固定3年を活用することで、3年後には現金が確保でき、取り崩しに備えやすくなります。
なお、50代・60代であっても「まだ10〜15年は投資を続けられる」という方は、オルカン100%で運用することも一つの選択肢です。ご自身のリスク許容度に応じて判断してください。
世界情勢が不安定な今は、株式市場の乱高下も起きやすい環境です。だからこそ、急落時にも慌てず保有し続けられるよう、個人向け国債で「守り」の部分をしっかり確保しておくことが重要です。
「攻め」と「守り」の組み合わせが鍵
個人向け国債の金利は魅力的(2026年4月時点で固定3年1.51%、固定5年1.79%、変動10年1.55%)ですが、インフレには負けてしまいます。一方のオルカンは長期的なリターンは高いものの、短期間で大幅に下落するリスクがあります。
特に50代・60代は「(100-年齢)%をオルカン、残りを個人向け国債(取り崩し時は預金も含める)」という配分を参考に、両方を活用しましょう。
オルカンで「攻め」、個人向け国債で「守り」という組み合わせが、資産を長持ちさせる鍵となります。
(2026年4月時点の情報をもとに作成しています)







