お金の教室
第3回
進化するNISA 「こどもNISA」など来年以降に拡充されること
2026年3月18日 08:20
今回のテーマは「進化するNISA 『こどもNISA』など来年以降に拡充されること」です。「NISAを子どもが利用可能に」、「NISAの投資対象商品が拡充」、「NISAでの商品の入れ替えは見送り」の流れで説明します。
NISAを子どもが利用可能に
まず1つ目、NISAを子どもが利用可能になる点についてです。子どもがNISAを利用できなかった背景には、もともとジュニアNISAという制度があったからです。ジュニアNISAは0歳から17歳まで口座開設が可能で、2016年から23年まで金融商品の購入ができ、年間80万円まで投資できました。
非課税期間は5年で、投資対象は個別株や投資信託など、現在のNISAの成長投資枠に近い内容でした。
ただし大きな問題がありました。それは18歳まで払い出しができないというルールです。投資したお金を途中で引き出せないという点がネックとなり、利用があまり広がりませんでした。また、子どもが投資する資金は基本的に親が出すケースが多いため、富裕層優遇ではないかという批判もありました。
その結果、新NISAが始まる直前の2023年でジュニアNISAは廃止されました。ただし補足として、廃止が決まった23年には払い出し制限がなくなり、18歳まで非課税で保有できるように変更となりました。これがポジティブに受け止められ、23年はジュニアNISAの口座数が急増しました。
現在の新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠の2つがあります。ただし対象年齢は18歳以上となっており、未成年は利用できません。一方で日本では金融教育が拡充されています。小学校、中学校、高校と金融教育が広がり、高校では資産形成についても学ぶようになっています。しかし投資に興味を持っても、子どもはNISAを使えないという状況になっていました。
そこで今回の変更点です。つみたて投資枠のみ年齢制限を撤廃し、未成年でも利用できるようにするという内容です。ただし成長投資枠は利用できず、つみたて投資枠のみとなります。
制度の枠組みとしては年間投資上限60万円、非課税保有限度額(18歳までに投資できる上限)は600万円です。ただし、12歳までは引き出しが制限されます。また、12歳から18歳までは、教育費などに限り、子ども本人の同意を条件に引き出すことができるようになりました。この引き出し制限、用途制限については注意が必要です。
では子どもがNISAを使うと資産はどのくらいになるのか、簡単なシミュレーションをしてみます。
条件は0歳から10歳まで毎月5万円(年間60万円)を積立投資し、その後18歳になるまでの8年間では積立投資はせず、それまでに投資した商品の保有を続けます。全世界株式やS&P500のインデックスファンドに投資するという想定で、期待リターンはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が設定している外国株式の期待リターン5.4%を使います。
18歳まで投資をすると、元本600万円に対して資産額は約1,205万円になる計算です。例えば、私立大学の4年間の学費の平均は約411万円です。大学や学部によって費用は変わりますが、高額な学費の学部を選択しても十分な金額になりますね。
では、この資産を学費に使わず、そのまま投資を継続した場合、大学卒業の22歳ではどうなるのでしょうか? その資産額は約1,487万円になる計算です。さらにもし65歳まで保有を続けた場合はなんと約1億4,273万円になるという計算になります。長期投資のメリットは非常に大きいということがこのシミュレーションから分かります。
NISAの投資対象商品が拡充
次は、NISAの投資対象商品が拡充される点です。1つ目は地域別の株式指数、2つ目は安定的なキャッシュフローが望める資産です。
まず、地域別株式指数について説明しましょう。現在のつみたて投資枠では全世界株式や全米株式、S&P500などに投資できます。しかし、アジア株式やヨーロッパ株式などの地域別指数の一部は投資対象になっていません。
今後はこれらが追加されます。つまり地域配分を自分で調整したい人は、地域別の投資信託を組み合わせることで自分が求める配分で投資ができるようになります。
もう1つは安定的なキャッシュフローを生む資産です。例えば、高齢になると株式比率を落として運用をしたいというニーズがあります。もともと、バランス型投資信託では株式比率が50%以上の商品のみが投資対象となっていました。今回の改正で株式比率が50%未満で、債券や預金が過半を占めるバランス型投資信託も投資対象となります。
一方で、毎月分配型投資信託が投資対象に加えられるのではというメディア報道がありましたが、以前から高コスト高リスクであるとの批判があったため、投資対象に含めることは見送られました。
つみたて投資枠の投資対象であるインデックス投資信託に投資をしても、証券会社の定期売却サービスを使用すれば、定期的に資金を受け取ることが可能です。ただ定期売却サービスを採用する金融機関はネット証券など一部に留まるため、サービスの採用を金融機関に促していくことになりそうです。
NISAでの商品入れ替えは見送り
NISAで商品の入れ替えをやりやすくするという議論もありましたが、見送りとなりました。どういった変更が議論され、なぜ見送りとなったのでしょうか。
まず現行ルールです。NISAの年間投資上限は360万円です。例えば、昨年100万円、今年100万円購入した場合は、昨年の100万円分を売却しても、今年の投資枠はまだ260万円残っているため、売却資金を使ってNISAで再度購入することができます。
一方で、すでに非課税保有限度額(生涯で投資できる枠)である累計1,800万円を投資している場合では、投資商品の一部を売却するとその購入相当額が、翌年に非課税保有限度額として復活します。売却を実施した年にはNISAで再投資できませんが、翌年には再投資することができます。ただし、翌年まで待つので売買にタイムラグが生じます。
今回、売却すると当年中に非課税保有限度額が復活する仕組みが検討されました。ただ、NISAの非課税投資枠を埋めるには5年かかり、実際に投資枠を埋め終わるのは2028年とまだ先になります。回転売買につながるという懸念もあり、今回の変更は見送りとなりました。
26年中に法案が可決されれば27年1月から
まとめです。子どもがNISAのつみたて投資枠を利用できるようになり、年間60万円累計600万円まで投資できるようになります。12歳まで引き出し制限があるのには注意が必要です。
次につみたて投資枠の投資対象商品が増え、自由度が高まる可能性があります。地域別株式指数に連動した商品や、債券や預金中心のバランス型投資信託が加わることになります。
これらの改正は26年度中に法案が可決されれば、27年1月から実行される予定です。







