いつモノコト

Apple純正「1万円のヒモ」を買った 思ったよりスグレモノ

9月に発表されたiPhoneの新製品ラインナップですが、筆者がその中でも注目したのは、Appleが純正としてストラップを販売したことです。「クロスボディストラップ」と呼ばれる製品で、価格はなんと9,800円。純正シリコンケースより高いです。そのせいで「1万円のヒモ」などと揶揄されることもありましたが、実際に購入してみるとただのヒモというわけではなく、それなりに納得のいく機能が搭載されたスグレモノだと感じました。

iPhoneを購入する度に、筆者は純正シリコンケースを購入しているのですが、これまで純正ケースには、ストラップなどを取り付けられる穴が開いていませんでした。筆者は元々、落下防止のために携帯電話時代からiPhoneの初期の頃は、指を通す程度の小さなストラップを愛用していたのですが、iPhoneケースを始め、スマホ用のケースにはストラップ穴がつかないことが多く、結果としてスマホの背面に取り付けるスマホリングを愛用するようになりました。最近ではケースに内蔵のものが主流です。

そうした中、突然Apple純正ストラップが登場。筆者は本体とケースを買うついでに値段も見ずにカートに入れて購入しました。「ストラップなんてせいぜい4000円くらいだろう」と値段を本当に見ていなかったのですが、購入完了メールに「9,800円」と記載されていて、何かの間違いだと思い、二度、三度見してHPも確認してしまいました。一緒に購入したシリコンケースが7,800円ですから……。

ストラップとしては驚きの価格でしたが、実はこの製品、地味ながらも新機軸が仕込まれていました。それは、ストラップ繊維にマグネットを編み込んでいることです。外見も手触りも普通のPET素材のヒモでしかないのですが、磁石になっています。

ストラップは長さ調節のためにヒモが二重になっている場所がありますが、ここがマグネットのお陰でしっかりと密着します。そのお陰で、長さを自由に調節できるのにもかかわらず、ストラップのヒモがばらけることなく、1本のヒモのようにスッキリとした見た目を実現しています。

たとえばこんな状態になっていても
放っておくと勝手にくっついて一本になります
重なったヒモがズレることなく、いつもスッキリとした見た目です

ストラップ自体はiPhoneケース下部の2カ所に取り付けるようになってるのですが、ワンタッチで着脱も可能です。この取り付け方法、iPhoneが回転したりせず安定するという意味ではとても良いのですが、取り付け箇所が2カ所なので、頻繁に外す必要がある場合は少し手間です。筆者は自転車のスマホホルダーに取り付ける場合はストラップを外さないと危険なので、自転車に乗る度に外していますが、正直少し面倒です。

アタッチメント部分の表側
裏側。リングにピンをはめて固定します
ストラップを外した状態
2本のストラップで固定するのでスマホが勝手に裏返りにくいのはメリットです

クロスボディストラップについては、これらの機能のために1万円か、と思わなくもないですが、全体としての造りもよく、全く損したとまでは思えないというところが正直な感想です。また、本体の色に合わせてオレンジ色を購入したのですが、iPhoneが変わってもストラップはしばらく使えそうなので色はもう少し汎用的な色を選んでも良かったかなとは思います。これはこれで綺麗で気に入っていますが。

今回個人的には、ストラップの登場そのものよりも、ストラップ穴が純正ケースに搭載されたことがとてもありがたいと感じています。最近ではストラップ穴が無くても取り付けられるストラップなども登場し、穴がないことで進化を遂げている部分もあるのですが、ストラップ穴を装備するのが当たり前になってくれれば、選択肢はさらに広がります。

筆者は従来、ストラップを付けずにiPhoneを胸ポケットに入れていました。ただ、この持ち運び方は非常にリスキーで、防犯能力はゼロでしょう。以前動画で、電車の座席に座っている人がスマホを操作中に、スリがそのスマホをさっと掴んで電車のドアが閉まるギリギリのタイミングで逃走し、まんまと盗まれるという動画を見たことがありました。この動画自体の真贋はわかりませんが、あり得る状況だとは思います。

ストラップ等を使ってスマホを首や指に掛けておくことで、多少は盗難対策にもなるのではないでしょうか。なにしろ20万円もするものなので、対策を強化するのに越したことはありません。

清宮信志