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“光学品質”になった「iPhone 17 Pro」の望遠8倍ズーム【Watch+】

iPhone 17 Pro Maxのカメラ部

iPhone 17シリーズが19日に発売開始されました。iPhone 17、iPhone 17 Pro/Pro Maxに、新ブランドのiPhone Airの4モデル展開となるほか、5.6mmと薄くて軽いiPhone Airなど見どころの多いラインナップになっています。

全モデルで48MP Fusionカメラを搭載し、特にセルフィー(自撮り)の対応が強化されているほか、日本では物理SIMが無く、「eSIM」のみでの登場となったことも注目されました。19日にはNTTドコモでeSIM開通関連のトラブルが出てしまっていますが、日本でシェアの高いiPhoneシリーズが一新したことで、様々な変化が生まれていきそうです。

一方、発売直前に少し話題になったのが、iPhone 17 Pro/Pro Maxシリーズの「光学ズーム」表記についてです。

iPhone 17 Proシリーズでは、カメラが大きな特徴となっており、リアカメラは「48MP Pro Fusionカメラシステム」で、48MP Fusionメインカメラ(24mm)。48MP Fusion超広角(13mm)、48MP Fusion望遠(100mm/4倍)の3つのカメラから構成されます。

ここで、「iPhone史上最長の8倍ズーム」とアピールしており、製品ページでも「最大8倍の光学ズーム」と記載がありました。ただし、実際の48MP Fusion望遠カメラは光学4倍相当、100mm相当のズームであり、大型のセンサーかつ12MP(1,200万画素)で記録することで、2倍の望遠効果が得られることから「200mm(8倍)の焦点距離に相当する」という仕組みです。

iPhone 17 Proシリーズのカメラ部分

光学的には4倍であり、後処理で8倍にしているため、「光学8倍ズーム」という表記は違うのでは? という指摘がなされていました。

8倍の光学ズーム表記(9月18日時点)

実際米国での表記を見ると、8倍の「optical-quality zoom」(光学相当ズーム)と表記されていました。一方、日本語のWebサイトでは、18日時点では「最大8倍の光学ズーム」となっていました。これが19日には「最大8倍の光学品質ズーム」に修正されたようです。つまり、光学8倍ズームではなく、光学8倍相当の性能がありますといった表現に改めた形です。なお、弊誌の記事でも初出時に8倍光学ズームと記載していた部分があったため、修正いたしました。

米国では8倍の光学相当ズーム(optical-quality zoom)表記(9月18日時点)

iPhone 17 Pro/Pro Maxでは、レンズの性能だけでなく、センサーやコンピューティング能力を活かした高画質化機能を働かせて、望遠を強化することで、8倍ズームを実現しています。光学的には4倍であるため、「光学8倍ズーム」は違和感がありました。今回の修正は適切なものといえます。

なお、センサーやコンピューティング処理により、高画質化やズーム強化を行なっているスマートフォンメーカーはアップルだけではありません。サムスンやグーグルなど各社も類似の機能を有しています。

ただしその場合も、基本的には「光学相当」といった用語を使って、光学ズームではないが、近い性能を持つという表現が行なわれています。一例を挙げると以下のとおりで、光学ズームの表記はわかりやすく記載しています。

  • サムスン「Galaxy S25 Ultra」:光学5倍ズーム、光学相当10倍ズーム
  • グーグル「Pixel 10 Pro」:光学ズーム5倍、10倍の光学相当
  • シャオミ「Xiaomi 15 Ultra」:14mm~200mm光学レベルズーム
  • シャープ「AQUOS R9 Pro」:光学2.8倍ズーム(デジタルズームを併用すると最大20倍のズーム)
  • ソニー「Xperia 1 VII」:望遠は85mmから170mmの光学ズームレンズ

基本的には、光学ズームとデジタル処理によるズームを分けて表記しているメーカーが多いようです。スマートフォンのカメラ性能を検討・確認するときには、この点に注意したほうが良いでしょう。

今回のiPhone 17 Proの例でも、「8倍ズーム」表記であれば、メーカーとしては8倍/200mm相当の望遠性能の自信がある、と理解できますが、光学8倍ズームは違うのではないかと思います。メーカーには、より伝わりやすく正確な情報提供を望むとともに、報じるメディアとしても、わかりやすい表現に努めていきます。

9月20日時点では「光学品質ズーム」となっています
臼田勤哉