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「薄いだけ」の価値を実感する「iPhone Air」【Watch+】

iPhone Air

9月19日から発売された「iPhone Air」を1週間ほど使ってみました。アップルの発表会を見たときは「薄いのはすごいけど、それだけでは?」と感じていましたが、実物を見て触れると5.6mm(最薄部)の薄さ、そして軽さは確かに魅力的なものでした。

今回使っているのはアップルの貸出機で、10日程度で返却予定です。そのため自分のiPhone (iPhone 15 Pro)も併用していますが、Webブラウズやメールの返信、写真・動画撮影、YouTubeや音楽再生などは主にiPhone Airを使っています。

iPhone Air。やはり薄い

iPhone AirへのeSIM(povo 2.0)の移行に若干戸惑ったりはしましたが、実機に触れてみると薄さ・軽さのメリットは明らかです。手に持ったときの軽さと素材の質感には高級感があり、所有欲を満たしてくれます。

クラウドホワイトの背面の仕上げも美しく、手に持った際のバランスも良好。電車の中での利用にもさほど不安はありません。専用のバンパーをつけたほうが、落下時の耐久性などは高くなるはずですが、薄さと軽さを犠牲にするのがもったいないので、外して利用しています。バンパーを付けても薄さにはあまり影響はないのですが、チタンフレームの質感に触れながら使うほうが「iPhone Airらしい」と感じます。

また、ポケットに入れたときの“動きやすさ”もiPhone Airの薄さと軽さで、確かな違いがあります。普段のiPhone 15 Proはケースを入れて約230g(187g+40g)ですが、iPhone Air(165g)に変えると、ポケットにスマホを入れ忘れているような錯覚を覚えます。40g程度の違いではありますが、「不安になるほど軽い」感触です。もっとも、すぐに慣れるので、慣れたあとはiPhone 15 Proを使ったときに重さを感じてしまいます。iPhone Airの軽さや薄さのメリットは、とてもわかりやすく実感できます。

軽さと薄さ以外では、ほぼいつものiPhone体験です。その点では、アップルの発表を見ながら感じた「薄いだけ」という感想に変わりはありません。ただ、iPhone Airを実際に使ってみると、薄さ・軽さの価値が実感できます。「薄い」を突き詰めて、そのメリットを感じさせながら、「いつものiPhone」として使えるのがiPhone Airの良さと言えそうです。

iPhone Air

では、自分がiPhone Airを買うのか? というと実は「iPhone 17 Pro」を予約しています。iPhone Airには心動かされるものの、わかっていたことですが「カメラ」については物足りなさがあります。iPhone Airはシングルカメラ(48MP Fusionカメラ)の26mmで、ズームは2倍相当(52mm/クロップ)まで。望遠側はまだよいのですが、超広角カメラが無いのが、建物や部屋の全景などを撮影する機会が多い筆者には物足りません。Apple 銀座の取材にもiPhone Airを持っていきましたが、室内の広角写真ではiPhone 15 Proを引っ張り出して撮影していました。

仕事中はスマホは2台持ちしているので、もう1台で広角や望遠をカバーできるのですが、プライベートでは持ち歩くのはほぼiPhoneのみです。そうすると、あらゆるシーンに対応できる「汎用性」を自分は求めてしまいます。「モノとしての魅力」ではiPhone Airに遥かに惹かれているのですが……。

iPhone 17 Pro(左)とiPhone Air(右)

汎用性を選ぶか、スタイルや所有の満足感を選ぶか、といったあたりがiPhone Airを選ぶポイントになりそうです。

なお、iPhone Airシリーズで不安視されているバッテリー持続時間ですが、確かに短く感じます。会社と自宅を往復し、途中3時間ほど外出した日で50%を切っており、こまめな充電が必要という印象です。2年使って最大容量87%まで下がっているiPhone 15 Proと比べても、バッテリーの減りがさらに早いようです。ただし、iOS 26が出たばかりですので、最適化が進むと改善されるのかもしれません。いずれにしろ、MagSafeモバイルバッテリーなどを用意するなど、ある程度対策は必要でしょう。これは、軽いスマホを持つときのトレードオフと言えそうです。

個人の主観ではiPhone Airは「一番格好いいiPhone」です。スマホの機能も成熟しており、大きな差別化が難しくなっている中、「格好良さ」で選べるというのが、iPhone Airの良さではないかと感じています。

臼田勤哉