いつモノコト

奮発して高級炊飯器を購入した。長く使えそうなタイガー「JPL-A100」

我が家の炊飯器も古くなってきたので新しく購入しました。タイガー魔法瓶の土鍋圧力IHジャー炊飯器「炊きたて 土鍋ご泡火炊き JPL-A100」です。「炊きたて50年の最高傑作」と謳い、三重県四日市市の伝統工芸品である「万古焼(ばんこやき)」の土鍋に約280度の高火力でご飯を炊いてくれます。高級モデルということで、価格は84,000円でした。

さすが傑作モデル、デザインも使いやすさも素晴らしい!

早速開封してみると「近未来の炊飯器がやってきた」という印象でした。丸みを帯びた形状に考え込まれたアナログボタンの配置、大きくて見やすいタッチパネル、持ち手がなく表面はさらさらしていてスタイリッシュです。

カラーは、ストーンブラックとコーラルホワイトの2色が用意されていますが、筆者はコーラルホワイトを選択しました。こっちのほうが安かったためです。しかしこちらを選んで正解でした。一般的な炊飯器の“機械的な白さ”ではなく“自然体に近い白さ”です。あとから分かったのですが、どうやらメーカー側も白色に力を入れているみたいです。

炊飯器のボタンを押して開くと、中も工夫の巣窟でした。内蓋は磁石式で簡単に取外しができることや、汚れが溜まりやすい部分が少なく、お手入れしやすいです。もちろん食洗機にも対応しています。

内部フレームの部分は土鍋(釜)が取りやすいように手の形に合わせた凹みがあり、フレーム面積が広いのでこちらもお手入れしやすいです。ちなみにこの部分は水滴が落ちて溜まりやすい場所です。溜まる場所が狭いと水が拭き取れず変色や塗装を剥がす原因にもなるので嬉しい設計です。

土鍋(釜)はフチが広くつかみやすく、軽いです。デジタルスケールで測ってみると1,091gで1kgちょっとしかありません。そしてこの土鍋(釜)には2種類の標準5年保証が付いています。コーティングの剥がれ保証と割れ保証に対応し、炊飯器の長期運用ができます。

炊飯器を開けたところ
土鍋の重量

その他、炊き込みご飯などで匂いがついてしまった場合に使える圧力洗浄コースや、これまでメーカー対応のみだったメモリーの電池交換が自分でできるので、いたせり尽せりの炊飯器です。

直感的な設定が美味しさの秘訣

ごはんの炊き方は、白米、玄米、炊き込み、おこわ、などを含めて15種類の機能があります。さらに米の銘柄を指定することができます。「コシヒカリ」は1、「つや姫」は26など合計50種類の中から選ぶことができます。

銘柄別の炊き分け一覧表(本製品の説明書より抜粋)

ごはんを炊く設定は「火かげん」と「炊きわけ」に分かれます。火かげんは弱-中-強という3段階の設定ができます。火かげんを強くすると「おこげ」がつきやすくなります。炊きわけはしゃっきり-もっちりにかけて5段階に分かれて設定ができます。しゃっきりに近づけるとねばりけを抑えたごはんができます。いわゆる「かため」です。もっちりに近づけるとねばりけが多い「やわらかめ」のごはんができます。。

ごはんを炊いたあとの保温も一味違います。普通の保温以外に「おひつ保温」があります。これは本体に搭載されているポンプを使って温度を調整しながら保温することで、ごはんのおいしさを保ってくれます。

実際に炊いてみました。白米の「火かげん」を強にして、「炊きわけ」はふつうにしました。火かげんを強にしたので、ごはんに「おこげ」がついて炊きあがりました。

火かげん「強」炊きわけ「しゃっきり」MAXの設定

白米の甘みやうまみとねばりけが程よく引出ており美味しく炊けておりました。10年近く前に購入した3万円程度の炊飯器と比べると、より自然の甘さに近い傾向でした。

次に一合炊き(一合料亭炊き)を試してみました。こちらは専用の中ぶたを入れて炊きます。

中蓋を入れることにより炊飯空間を物理的に小さくすることができ、一合炊きに最適な空間を作りだしてくれます。即席で干帆立の炊き込みごはん(レシピ:干帆立6個、しめじ6本、しょうゆ→小さじ1、酒→小さじ1)を作ってみました。

1合、炊込み、火かげん「中」の設定
完成

1合でも食感を極めたような炊き込みごはんが完成しました。これを土鍋で再現するのは大変です。料理が得意でなくても簡単にできてしまうのでまさに炊飯器様々です。

10年前の高級炊飯器と比較

この炊飯器が優れた製品であることを分かって頂けたかと思います。ただ値段が高いのが懸念点です。よく「電化製品は日進月歩」と呼ばれ日々優れた製品がでてきます。せっかく購入しても、すぐに優れた機能を持つ新モデルが出てきてしまうと少し落ち込んでしまいます。

そこで筆者が約10年使っていた三洋電機の匠純銅おどり炊き「ECJ-XP2000」を比較機種として用意しました。この炊飯器は定価14万円もします。三洋電気時代に“炊飯器の神様”と呼ばれた下澤理如氏が作った製品で、あらゆるところに熱伝導率が良い銅素材が使われている本格的高級機でした。

三洋、“ツイン減圧”でごはんをふっくらと炊く14万円の炊飯器

左「ECJ-XP2000」右「JPL-A100」

お米はCO-OPの「産直 新潟佐渡コシヒカリ」を用意し、それぞれお米の配分は2合の割合です。「ECJ-XP2000」は白米、ふつう、で設定すると炊きあがりは43分かかります。「JPL-A100」は白米、火かげんはふつう、炊きわけはふつう、で設定すると炊きあがりまで52分かかります。「JPL-A100」の方が9分長いです。

炊きあがり。左「ECJ-XP2000」右「JPL-A100」
「ECJ-XP2000」のごはん
「JPL-A100」のごはん

お皿によそってじっくり観察しました。「JPL-A100」の方が細かく艶っぽく仕上がっています。本製品の特徴である「ハリつやポンプ」の影響かもしれません。これは高温蒸らし時に発生する過剰な蒸気をポンプで放出してくれる装置です。これによりハリと弾力が生まれます。味は「JPL-A100」の方が少し甘い印象でした。

しかし、上記の感想は“あえて比べてみると”という程度の違いです。高級機を2台並べてもそこまでの差は感じられませんでした。むしろ、10年前の製品であっても、いいものはいつまでたっても良いモノであることが分かりました。壊れない限り使い続けられます。10万円する炊飯器でも、長く使うことを考えれば、高いとは言えないかもしれません。

西園寺正太郎

趣味はオーディオとモノづくり、湯豆腐と鯵が好きなちょっと渋い20代