いつモノコト

スマート×スマートウォッチ。wear OS+wena 3でSuicaの自由を

wena 3

腕時計のバックル部分に機能を集約することで、市販の腕時計と併用できるソニーのスマートバンド「wena 3」。本来であればスマート機能を持たない腕時計をスマート化するのが一般的だと思いますが、筆者は愛用中のスマートウォッチ「Fossil THE CARLYLE HR」のバンド部分と組み合わせるために購入してみました。

普段使いできるデザインに一目惚れ。Fossilのスマートウォッチ

購入の理由はなんといってもwena 3で対応した「Suica」。wenaシリーズは前モデルでもiDやQUICPayといった電子マネーには対応していましたが、Suicaに対応したことで買い物だけでなく電車やバスといった交通手段の決済にも利用できるようになり、腕時計さえあれば外出できるという自由度が飛躍的に高まりました。

筆者が普段愛用しているTHE CARLYLE HRもSuica対応を予定していたはずなのですが、発売から1年半以上経っても対応情報は音沙汰無し。ならばTHE CARLYLE HRのスマートバンドとしてwena 3を使えば、Suica機能を代用できるのでは……、と考えたのが購入したきっかけでした。

wena 3はデザインによって複数のモデルがあり、筆者が使っているTHE CARLYLE HRのスモークステンレススチールに装着することを考えると、同じステンレス系のデザインである「wena 3 metal」を選択。metalはシルバーとプレミアムブラックの2色がありますが、ソニーのショールームで実際に試着し、色の相性でプレミアムブラックを購入しました。

THE CARLYLE HRのスモークステンレススチールとwena 3 metal

wena 3を購入する際に気になっていたのはバンドの重さ。THE CARLYLE HRのバンドをwena 3に切り替えたら手首に負担がかかるのでは、という不安もあったのですが心配はまったくの杞憂に終わりました。

自分の腕の長さに調整した状態でwena 3とTHE CARLYLE HRのバンド部分の重さを量ってみたところ、重量はどちらも同じ64g。THE CARLYLE HRのバンドがそもそも重いのかもしれませんが。実際に装着しても、今までとまったく変わらない感覚で使えています。

THE CARLYLE HRのバンドとwena 3が同じ重さ

Suica以外の電子マネーは使い勝手に課題あり

wena 3を購入した一番の目的である電子マネーはSuicaのほか楽天Edy、iD、QUICPayに対応していますが、使い勝手としては「Suica」と「Suica以外」に分類できます。

具体的にはiOS、Android両対応の公式アプリで設定できるSuicaに対し、Suica以外はiOSアプリ「おサイフリンク」でしか初期設定ができません。一度初期設定さえすればその後Androidでも利用できるのですが、初期設定にはiOS端末をもう1台持つか、家族や知人などにiOS端末を借りる必要があります。

Suica以外の電子マネーはiOS「おサイフリンク」での初期設定が必須

このほか、iDとQUICPayについてはプリペイド型が対象外のため、Google Payでは利用できるVisa LINE Payクレジットカード(iD)やKyash(QUICPay)などは利用できません。

また、dカードはNTTドコモ回線が必須となるため、NTTドコモの回線と紐付いていないdカードを使っている筆者はdカードをiDとして設定することができませんでした。

iDで設定できるのはポストペイ型のみでプリペイド型は対象外

こうした課題が山積しているため、筆者のようにAndroidを中心に使うユーザーは、他の電子マネーに期待せずSuica一本に絞るのがお薦めです。

【訂正】記事初出時に、「wena 3ではQUICPayモバイルを利用しているため2021年3月に使えなくなる」旨を記しておりましたが、QUICPayモバイルはフィーチャーフォン向けサービスで、wena 3とは関係なく、wena 3では3月以降もQUICPayを利用可能です。お詫びして訂正します(2月2日17時追記)

wena 3用にSuicaを新規発行。wena 3単体での支払いも可能

本題のSuicaについては、Suicaのカードを新規に発行してwena 3内に保存する、という利用スタイルになります。チャージや残高照会はアプリから行なえますが、支払い自体はスマートフォンを家に置いてwena 3だけで外出して使うことも可能です。

wena 3用にSuicaを新規発行

Suicaのチャージは当初のうち上限5,000円に制限されており、一定期間が経つと上限の20,000円までチャージできるようになります。また、オートチャージには非対応で、アプリから都度チャージする必要があります。チャージ金額が少なくなっているのに気が付かず会計時にまごついてしまう、ということのないよう、一定金額を下回ったらアプリで通知、という機能が欲しいところです。

オートチャージ非対応のためチャージは手動
wena 3本体でチャージ残高は確認可能

このほか、スマートフォンのSuicaとの違いとして、定期券やSuicaグリーン券の券の購入ができません。一方、「タッチでGo !新幹線」「新幹線eチケットサービス」「スマートEX」といった乗車サービスはwena 3でも利用可能。JR東日本のポイントサービス「JRE POINT」もwena 3のSuica番号を登録してポイント対象にすることができます。

腕時計だけで支払いできる便利さ。約1週間持つ長時間バッテリーも魅力

使い始めるまでと運用には課題はあるものの、一度設定してしまえば、腕時計で支払えるという体験はとても便利。

普段は支払いにスマートフォンを使うためズボンのポケットにスマートフォンを入れていたのですが、wena 3があればスマートフォンは鞄の中に入れっぱなしでOK。また、両手に荷物を持っていてスマートフォンを取り出せない、という時も、腕時計をかざすだけでさっと会計できるのはいままでになかった開放感です。

腕をかざすだけで簡単に買い物

こうした便利さはApple Watchのユーザーであればとっくに体験していたことではありますが、wena 3のおかげでwear OSの利用者でもこの便利さが享受できるようになりました。バックル部分にSuicaがあるため、コンビニなどの支払いは手をひねる必要もなくなり、荷物を持ったまま決済できるのが地味に快適です。

バッテリーの持ちもよく、1回の充電で1週間弱は使い続けられるため、ガジェットにありがちな「こまめに充電しなければいけない」という負担は大幅に軽減されました。筆者のTHE CARLYLE HRに関して言えばバンド部分の重さも変わらないため、本当にTHE CARLYLE HRにSuica機能がそのまま付いてきたイメージです。

通知や活動ログ機能も搭載。ただし機能ではwear OSのほうが便利

wena 3は電子マネー機能だけでなく、SNSやメールなどの通知機能、歩数や睡眠時間などを計測できるスマートウォッチとしての機能も備えています。ただ、これら機能は筆者のようにwear OSと組み合わせているユーザーにとっては重複する要素のため、バッテリーの消費を抑えるためにもどちらか1つに絞りたいところです。

wena 3の活動ログ機能

筆者のTHE CARLYLE HRはバッテリーが1日半程度しか持たないということもあり、通知機能などバッテリーを消費する機能はできるだけwena 3に回したいと思っていたのですが、購入からしばらく試した結果、現状ではまだwena 3に通知機能を預けるのは時期尚早、という判断に至りました。

活動ログも本体で確認可能

理由の1つは通知の挙動の違いです。wear OSの場合通知はAndroidと連動しているため、どちらかで消した通知はもう片方でも通知が非表示になります。一方、wena 3は通知が連動しないことに加えて過去の通知を消すことができず、一度読んだ通知も残り続けるため通知の確認が煩雑になります。

アプリによっては通知の挙動が不安定なこともあります。筆者の試した範囲ではLINEの新着が2回行なわれるほか、Facebook Messengerの位置情報共有は1分ごとに通知が来るという挙動のため、位置情報を共有している間ずっと通知が鳴り続けていました。

また、通知だけでなくメニューなどを表示した場合、手動でボタン操作しないとホーム画面に戻ることができません。通知を確認してそのままにしておき、ふと時間を確認したくなってwena 3を見ると通知画面が表示され、ボタンを押してホーム画面に戻る……、という手間がかかります。

通知はまとめて消せず、スリープから復帰すると通知のまま表示

wena 3の時計機能を使わないのであれば気にならないことではありますが、手首の内側を見るだけで時間がわかる、というのは荷物を持っていたり自転車に乗っていたりといろいろなシーンで便利なこともあり、wena 3では残念ながら通知機能を使わない、という運用をすることになりました。

手首で時間を確認できるのが便利

このあたりはアプリのバグフィクスに加えて、既読の通知をまとめて消す、ディスプレイが消灯して再度表示する場合は必ずホーム画面に戻る、といった仕様があれば解決できるため、今後のアップデートに期待したいところです。

通知機能以外では、歩数と心拍数、睡眠時間と眠りの深さ、最大酸素摂取量(VO2 Max)、心拍の揺らぎから測定したストレスレベルや1日のエネルギー残量といった活動ログを記録することができます。正直なところVO2 Maxやストレスレベル、エネルギー残量などは結果を見てもあまり実感が沸かないものの、ゲーム感覚で楽しむ程度には面白い機能です。

活動ログ一覧。睡眠時間がちょっとおかしい

個人的に一番気になるデータは睡眠時間なのですが、現時点では睡眠時間が正常に記録できない不具合があり、この不具合を解消したというアップデートの後も正しく睡眠時間が記録できていません。開発陣もこの不具合は認識しているとのことで、早期の改善を期待したいところです。

wear OSとの組み合わせは予想以上に便利

腕時計で買い物をする、電車に乗るという体験はApple Watchであればとうの昔に実現していたことです。Androidがメイン端末でApple Watchを使うことができない筆者はとてもうらやましくおもっていましたが、wena 3を組み合わせることでようやく「腕時計で電車に乗る」という体験ができるようになりました。

前述の通り不具合もまだまだあるのですが、なかなかGoogle Payに対応しないwear OSにSuica機能を追加できるという意味では唯一無二の存在です。通知機能などは今後のアップデートが待たれますが、通知や活動ログ機能をそもそもそなえているwear OSであれば、wena 3の機能が無くても特に問題はありません。

wear OSのGoogle Payが待ちきれないという人はもちろん、スマートウォッチではない普通の時計を使っていてSuica機能が欲しい、というユーザーにはお薦めの1台です。アップデートを気長に待ちながら、腕時計で電車に乗れるスマートウォッチライフを楽しみましょう。

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、動画配信サービスやスマートスピーカーなどが興味分野。個人ブログは「カイ士伝