レビュー

熟成のGoogle新スマホ「Pixel 7a」 機能・価格両面で誰にもオススメ

「Pixel 7a」

Androidスマートフォン市場で着々と存在感を高めているGoogle製スマートフォン「Pixel」シリーズ。その最新モデルとなる「Pixel 7a」が発表されました。過去のラインナップの中でも、製品名に“a”が付くモデルは価格と機能のバランスが特に優れていましたが、その傾向がまた一段とレベルアップした印象です。

具体的にどんな仕上がりなのか? ここ1年に渡って、Pixel 6aとPixel 7 Proをメイン端末として使ってきた筆者が、使用感を比べてみました。

下位モデルと侮るなかれ Google自慢の「Tensor G2」採用

「Pixel」ブランドのスマートフォンが世界で初お目見えしたのは2016年のこと。日本展開はその2年後の2018年11月、「Pixel 3」からスタートしました。以後、毎年新製品が登場。画面サイズやカメラ仕様の異なる3モデルの併売体制が定着しています。中位モデルにあたる「Pixel 7」、上位モデルの「Pixel 7 Pro」は、一足早く2022年10月に発売されました。

そして今回発表されたのが「Pixel 7a」です。ラインナップ中では下位モデルに相当。また2022年7月に発売された「Pixel 6a」の直接的な後継機にあたります。

「Pixel 7a」のカラーバリエーションは4色。左から「Charcoal」「Snow」「Sea」「Coral」

注目すべきはやはり価格でしょう。Pixel 7aのGoogleストア販売価格は62,700円。Pixel 7(82,500円)とPixel 6a(53,900円)のちょうど中間という感じでなかなか絶妙ですが、スペックをよくよくチェックしてみると、個人的には十分納得できるレベルだと感じています。

本稿執筆にあたっては「Charcoal」モデルをGoogleからお借りしました

その象徴が「Tensor G2」の採用です。Pixelシリーズでは2021年発売のPixel 6/6 Pro以降、Google独自チップセットの導入を推し進めています。「Tensor G2」はその第2世代モデルで、Pixel 7/7 Proで初めて搭載されました。つまり、シリーズ最新、かつ上位・中位モデルと同じチップセットがPixel 7aでも利用できるのです。

PCやスマートフォンの世界では、製品価格帯ごとにCPUのグレードを調整するのが一般的ですが、それとは真逆のアプローチがとられている訳です。

Tensor G2

Tensor G2はPixelの頭脳にあたり、より具体的には通話音声の改善、写真画質の向上、そした端末そのものの動作速度アップなどに寄与するとGoogleは説明しています。

右側面には電源ボタンと音量ボタン
左側面にSIMカードトレイ
上面には特に何もなし。なおイヤホン端子やSDカードスロットはPixel 7aにはありません
下面には充電用USB Type-C端子
前面カメラはディスプレイ中央部

画面サイズはPixel 6aを踏襲。90Hz表示&ワイヤレス充電など新機能も

ここでPixelシリーズのスペック比較表をご覧ください。2021年下期以降に発売したモデル限定、かつ筆者が個人的に注目している要素だけを書き出している点にはご注意を。

モデルPixel 7Pxiel 6Pixel 7 ProPixel 6 ProPxiel 7aPixel 6a
価格82500円~74800円~(販売終了)124300円~116600円~(販売終了)62800円~53900円~
画面サイズ6.36.46.76.76.16.1
画面画素数1080×24001080×24001440×31201440×31201080×24001080×2400
画面リフレッシュレート90Hz90Hz120Hz120Hz90Hz60Hz
重量197g207g207g210g193.5g178g
バッテリー容量(mAh)435546145000500343854410
ワイヤレス充電×
メモリー(GB)88121286
ストレージ(GB)128/256128/256128/256/512128/256/512128128
プロセッサーTensor G2TensorTensor G2TensorTensor G2Tensor
ミリ波(5G)対応××××
メイン(背面)カメラ1"50メガピクセル Octa PD Quad Bayer広角カメラ""50メガピクセル Octa PD Quad Bayer広角カメラ""50メガピクセル Octa PD Quad Bayer広角カメラ""50メガピクセル Octa PD Quad Bayer広角カメラ"64メガピクセルQuad PD Quad Bayer 広角カメラ"12.2メガピクセル デュアル ピクセル広角カメラ"
メイン(背面)カメラ212メガピクセル ウルトラワイド カメラ12 メガピクセル ウルトラワイド カメラ12メガピクセル ウルトラワイド カメラ(オートフォーカス付き)12メガピクセル ウルトラワイド カメラ13 メガピクセル ウルトラワイド カメラ12メガピクセル ウルトラワイド カメラ
メイン(背面)カメラ3--光学ズーム5倍 48メガピクセル Quad Bayer PD望遠カメラ光学ズーム4倍 48メガピクセル Quad Bayer PD望遠カメラ--
Bluetooth5.25.25.25.25.35.2
マイク数333322

全6モデルを比較してみると、シリーズにおける各モデルの位置付けがハッキリと分かります。中でも画面サイズは、Pro系が6.7インチ、無印系が6.3~6.4インチ、そしてa系が6.1インチと、見事に大中小の差が付けられています。画面サイズが小さいスマートフォンを探している方なら、それだけでもうPixel 7aが比較リストの上位にくるでしょう。

左からPixel 7 Pro、Pixel 7a、Pixel 6a
こちらも同じく左からPixel 7 Pro、Pixel 7a、Pixel 6a。7 Proのみ画面が一回り大きい6.7インチとなっています

Pixel 6aと7aの比較もなかなか興味深いです。値段は後発のPixel 7aのほうが約1万円高くなっていますが、Tensor G2採用以外に画面リフレッシュレート、メモリー周りのスペック(6GBから8GBへ)が向上。そしてPixel 6aの弱点であったワイヤレス充電非対応という部分にも、しっかりと手が入りました。繰り返しになりますが、これだけの改善がなされていれば、価格差は十分納得いく範疇でしょう。

重量についてはPixel 7aが193.5gと、Pixel6aの178.5gから15g増えました。Pixel 6aはシリーズの中で比較的軽量な部類に入り、個人的にも気に入っている要素でした。それがPixel 7aではややスポイルされた格好です。

ただ、実際のところ15gの差は、じっくり持ち比べてみてちょっとは感じるかな?という程度。このあたりは主観によるところが大きく、断定はできませんが、200g超の端末が巷に溢れる状況を踏まえると、そこまで目くじらを立てるほどではないかもしれません。

続いては本体構造やデザイン面に目を向けてみましょう。Pixel 7a/6aの外観を比較した時、違いがもっとも分かりやすいのが「カメラバー」の表面仕上げです。Pixelシリーズでは、本体背面にバー状の出っ張りがあり、そこに複数のカメラレンズやLEDライトがまとめられています。

カメラバー部の比較。左がPixel 7a、右がPixel 6a

Pixel 6aでは、このカメラバーがアクリル調というかプラスチック風の仕上げだったのですが、Pixel 7aは7/7 Proと同じくメタル調になり、グッと高級感が増しました。筆者がPixel 6aをメイン端末として使っていた際は、カメラバーにはほとんど不満がなかったのですですが、いざPixel 7 Proがリリースされると趣の差は歴然。カメラバーは本体に純正ケースを取り付けた時でも露出する構造なので、このあたりは一度実機で確かめてみてください。

Pixel 7aのカメラバー部はメタル調で、どことなく高級感があります
こちらはPixel 6aのカメラバー。Pixel 7aのそれと比較してしまうと、若干チープ感が。以前はそれほど気にならなかったのですが…。

手に持った時のサイズ感やホールド性はどうでしょうか? 横幅は6aが71.8mm、対して7aが72.9mmと、数値上は1.1mm違いますが、その差はほとんど感じません。また側面はややラウンドがかった形状なので、手のひらが触れた時にゴツゴツする感じもしません。総じてオーソドックスな造りです。

光学ズームなしでも満足できる?! Pixel 7aのカメラ

Pixelシリーズにおいては、カメラの性能も注目のポイントです。メインとなる背面カメラ(リアカメラ)は6,400万画素となっており、これはPixel 7/7 Proの5,000万画素を越えるという、意外な逆転現象が発生しています。

ただしPixel 7/7 Proに比べてPixel 7aはカメラ周りで機能の絞り込みが行なわれています。まず光学ズーム(5倍)とマクロ撮影機能には未対応。加えて、動画撮影時に10bit HDRを選択することができません。

Pixel 7 Proを半年以上使っているユーザーの実感として、確かに光学ズームはあったほうが便利です。遠景撮影はもちろん、あらゆる場面で構図の自由度が上がります。とはいえPixel 7aとの価格差(Pixel 7 Proと比べてほぼ半額)を考慮すれば、むべなるかな。Pixel 7aでは最大8倍のデジタルズームができるので、それで代替するのが良さそうです。

以下、Pixel 7aでの撮影例を15点ほどご用意しました。一部、撮影時にホワイトバランスを手動調整していますが、撮影後の加工は一切していません。

【撮影例】

ETCの看板は8倍デジタルズームで撮影しています

スマートフォンでの夜景撮影が難なくこなせるようになって久しいですが、それにしても実際の仕上がりには驚かされます。撮影画像の最終的な仕上がりが画素数だけで決まる時代でない。Tensor G2をはじめとする画像処理プロセッサーの質もまた重要だということを実感させられます。

Googleのカメラはシャッターを切るだけで十分高品質な写真を保存できますが、しかしホワイトバランスについては手動調整した方が良い時もあるようです(作例の中では親子丼の接写で手動ホワイトバランス調整をしました)。フォーカス位置をタップすると、ホワイトバランス調整バーが表示されるので、うまく使ってみてください。

「Google One VPN」が無料! 追加アプリ不要でメニューからオン

筆者は2020年10月、当時の最新モデルである「Pixel 5」をメイン端末にして以来、Pixel 6a、そしてPixel 7 Proという具合にPixelシリーズを買い続けてきました。

数あるAndroidスマートフォンの中からなぜPixelを選ぶのか? その質問には「Google製のサービスやアプリとの親和性が高いから」と答えます。

例えばPixelで撮影した画像は「Google フォト」のクラウドへアップロードしておけば、他のPCやiPhoneなどからも使えます。PixelにUSBケーブルを接続してわざわざデータを転送する手間もかかりません。スマートフォンの端末メーカーが独自に写真管理アプリを開発してプリインストールしている例もありますが、操作インターフェイスの洗練度、マルチデバイス対応などを考慮すればGoogle フォトは抜きんでた存在です。

PCのブラウザーから「Google フォト」に保存した画像を表示。今となっては当たり前の仕様ですが、やはり便利です

その上で、Google フォトとPixel 6aなどの端末を組み合わせれば「消しゴムマジック」のような独自機能が使えます。現在はサブスクリプション型サービス「Google One」のユーザーであれば端末問わず広く利用できる機能ではありますが、「Google Oneの費用がかからずに消しゴムマジックが使えるのがPixel」と言い換えることもできます。

今のところ「消しゴムマジック」は、Pixel上か、「Google One」の有料契約者しか使えません

文字起こし機能の優れた録音アプリ「Google レコーダー」もまたしかり。このアプリは今のところPixelシリーズでしか使えませんし、クラウド経由で別デバイスから録音を聞くことすらできます。

「Google レコーダー」は、Pixelユーザー最大の恩恵と言ってもよいでしょう

Pixelシリーズでしか使えない(もしくはお得に使える)サービスの新顔となるのが「Google One VPN」です。通信経路を暗号化するセキュリティツールの一種であり、公衆Wi-Fi(無線LAN)スポット接続時などに通信内容が盗み見される可能性を軽減できます。

Pixel 7/7 Proでは、発売後のアップデートでGoogle One VPNに対応しましたが、Pixel 7aではセットアップ直後から利用できます。設定に必要な「Google One」アプリは、通常だと端末初期セットアップ時に自動インストールされるので、VPN機能のためだけにわざわざアプリを追加する感覚もありません。

「Google One VPN」は「Google One」アプリから設定
設定の確認画面
設定をオンにしたところ

VPN機能を利用したい場合は「Google One」アプリから該当項目を選択。画面上のスイッチをオンにするだけで使い始められます。複雑な設定値の入力や、ユーザー登録作業なども必要ありません。

機能が有効化されている間は、画面右上の電波強度アイコンの近辺に鍵マークが表示されます。なおIPアドレスで利用地域判定を行なっているWebサイトなどでは、VPNが邪魔して正常動作しないケースもあり得ます。そうした場合は一時的にOFFにしたり、あるいは「5分間スヌーズ」を選ぶとよいでしょう。

あるとないでは使い勝手が違う「顔認証」

Pixel 6aでは未対応だったのにPixel 7aでできるようになったこととしてもう1つ、「顔認証」を挙げておきましょう。

Pixel 6aでは画面ロックを解除するための生体認証手段は指紋だけでした。対してPixel 7aは、画面内に指紋センサーを内蔵していることに変わりはありませんが、前面カメラによる顔認証でもロックを解除できるという、Pixel 7/7 Proと同じ仕様になりました。

Pixel 7aでは指紋認証だけでなく、顔認証にも対応しています
顔画像の登録は、画面の指示に従って、顔の向きを少しずつ変えながら

これが何故便利なのか? まず、指紋認証は指先が濡れていたりする場合に失敗しやすいという前提があります。この場合は、指先を画面に何回かタッチし直したり、それでも無理ならばPIN認証へ切り替えたり、時間をかけて試行錯誤をすることになります。

Pixel 7aの顔認証は、指紋認証とは非常にシームレスな関係になっていて、言わばバックグラウンドで実行されます。よって「指紋認証は失敗したけどいつの間にか顔認証には成功していた」というケースが意外に多いのです。もっと極端な例だと、指をセンサーに置く前に顔認証が通っていたりします。

顔認証にセキュリティ上の懸念を感じる人は多いかも知れませんが、Pixel 7aでは「目を開いている時だけ認証する」(つまり、寝顔では認証を解除しない)という設定があります。また、アプリへのログインにも顔認証は使えません。最終的には自己判断になりますが、画面ロック解除にかかるストレスの軽減に顔認証は大変有効だと思います。個人的には、Pixel 6aから7 Proに乗り換えてみて良かったことのベスト3くらいに顔認証が入ってくるくらい、お気に入りです。

指紋センサーは画面内のこの位置
顔認証を有効化しておけば、指をセンサーに置くことなくロック解除できる場合も。2つの認証法を同時に有効化しておき、シームレスに使えるのが最大の特徴です

世代の積み重ねで安心感アップ まさに2023年の定番たる存在に

Pixel 6aでの不満をしっかり解消しつつ、それでいて上位機であるPixel 7/7 Proの仕様を部分的に取り込んだ、欲張りな1台──。Pixel 7aにはこの表現がピッタリでしょう。価格は6万円台前半。最近のGoogle ストアにおける扱いを踏まえれば、各種キャンペーンによってさらに割安に購入できるチャンスも期待できます。

基本のスペックも本当に充実していて、eSIMのサポート以外に最新のWi-Fi規格であるWi-Fi 6Eだったり、Bluetooth 5.3も目を惹きます。また国内ではNTTドコモでの5G通信時に使われる「n79」周波数帯に対応しているあたりも、一部ユーザーは喜んでいるはずです。

Pixel 7aはサイズ感や機能、価格などのバランスがちょうどよく、あらゆる層のユーザーにオススメできる1台です。ちなみに、この画像は純正ケースを取り付けた状態

そしてもう1つ、Pixelでは端末リリース後も「Feature Drop」と題した大型アップデートの実施が半ば定例化しています。既存アプリの機能強化だったり、Pixel 7/7 ProではWi-Fi仕様がWi-Fi 6からWi-Fi 6Eにパワーアップするという事態もありました(ここまでの規模の対応は、例外中の例外とは思いますが……)。買った後も楽しみが続く。これもまたPixelシリーズの大きな魅力でしょう。

Pixelシリーズの日本国内展開は2023年10月に5周年を迎えます。冒頭でも少々述べましたが、この間、しっかりと新モデルを出し続け、その積み重ねによってブランドに対する信頼感を高めてきました。その今、新しいスマートフォンを買うならどれが良いのか? 価格と機能性のバランスに優れたPixel 7aが、最有力候補であるのは間違いありません。2023年の新・定番モデルとして、迷ったときの1台として、是非注目してみてください。

森田秀一

1976年埼玉県生まれ。学生時代から趣味でパソコンに親しむ。大学卒業後の1999年に文具メーカーへ就職。営業職を経験した後、インプレスのウェブニュースサイトで記者職に従事した。2003年ごろからフリーランスライターとしての活動を本格化。おもな取材分野は携帯電話、動画配信、デジタルマーケティング。「INTERNET Watch」「ケータイ Watch」「AV Watch」「Web担当者Forum」などで取材レポートを執筆する。近著は「動画配信ビジネス調査報告書 2021」(インプレス総合研究所)、「BtoB-EC市場の現状と販売チャネルEC化の手引2020」(共著、インプレス総合研究所)。