レビュー

小さいスマホ派が改心? カメラ中心に正統進化した「Pixel 7 Pro/7」

Pixel 7 Pro

自社ブランドによるスマートフォンの開発・販売に近年注力しているGoogle。2022年10月発売の新作は「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」の2台体勢となりました。お得意の機械学習パワーに磨きがかかったほか、カメラなどのハードウェア性能も順当に進化しているといいます。

注目すべきポイントはどこか? お手頃価格のPixel 6aを利用しているユーザーの視点から、調べてみました。

Pixel 7

前世代からデザイン継承

Googleのスマートフォン「Pixel」シリーズは、日本でもすっかりお馴染みの存在となってきました。国内展開の皮切りとなったのは2018年10月発売の「Pixel 3」「Pixel 3 XL」で、以後は毎年秋に最新モデルを投入しています。夏の終わりぐらいになってくると、発表を指折り数えて楽しみにしている方も、いらっしゃるのでは?

10月13日に発売を開始した「Pixel 7 Pro」(左)と「Pixel 7」。画面サイズが異なります

製品ラインナップは年ごとに若干変わりますが、2022年10月は「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」の2機種構成。これは前年2021年発売の「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」の構成をほぼ引き継いでいます。以下は、製品スペックのうちハードウェア部分について、筆者が注目している部分を抜き出した表になります。

Pixel 7Pixel 6Pixel 7 ProPixel 6 ProPixel 6a
価格82,500円~74,800円~124,300円~116,600円~53,900円~
画面サイズ6.36.46.76.76.1
画面画素数1080×24001080×24001440×31201440×31201080×2400
画面リフレッシュレート90Hz90Hz120Hz120Hz60Hz
重量197g207g207g210g178g
バッテリー容量(mAh)43554614500050034410
ワイヤレス充電×
メモリー(GB)8812126
ストレージ(GB)128/256128/256128/256 /512128/256 /512128
プロセッサーTensor G2TensorTensor G2TensorTensor
ミリ波(5G)対応×××
メイン(背面)カメラ150 メガピクセル Octa PD Quad Bayer 広角カメラ50 メガピクセル Octa PD Quad Bayer 広角カメラ50 メガピクセル Octa PD Quad Bayer 広角カメラ50 メガピクセル Octa PD Quad Bayer 広角カメラ12.2 メガピクセル デュアル ピクセル 広角カメラ
メイン(背面)カメラ212 メガピクセル ウルトラワイド カメラ12 メガピクセル ウルトラワイド カメラ12 メガピクセル ウルトラワイド カメラ(オートフォーカス付き)12 メガピクセル ウルトラワイド カメラ12 メガピクセル ウルトラワイド カメラ
メイン(背面)カメラ3--光学ズーム5倍 48メガピクセル Quad Bayer PD望遠カメラ光学ズーム4倍 48メガピクセル Quad Bayer PD望遠カメラ-
マイク33332

Pixel 7と7 Proの違いは、メインメモリーの容量と画面リフレッシュレートなど幾つかありますが、決定的なのは画面サイズ、そして望遠カメラの有無です。約4万円の価格差は、これらに集約されていると言ってよいでしょう。詳しくは後述しますが、望遠カメラの差は使い勝手に大きく関わってくる部分です。

6と7、6 Proと7 Proというように、同格の製品を世代で比較してみますと、差が意外に少ないことも分かります。ディスプレイ周りの仕様は非常に似通っていますし、明確な違いとしてはProシリーズの光学ズームが最大4倍から5倍へと強化されたくらいです。

ですが、核となるのは新世代チップセット「Tensor G2」の採用です。Googleが独自に開発したチップセットの第2世代にあたり、機械学習・AI処理能力をPixel 6/6 Proの「Tensor」から大幅に高めたとしています。ゆえに、Pixel 6/6 Proでは使えないが、Pixel 7/7 Proでなら使える機能が存在します。これぞセールスポイント、ですね。

ちなみに、7月に発売したPixel 6aは前世代の「Tensor」を採用しています。

背面部。左がPixel 7 Proの「Snow」(白系)、右がPixel 7の「Obsidian」(黒系)。デザイン性はほぼ共通ですが、Pixel 7 Proはカメラレンズが1つ多いため、カメラバーが少々異なります

本体の外観デザインは、6系から7系への移行にあたって、ほぼ踏襲されています。背面カメラ部分がユニットとして丸々せり出している「カメラバー」は、材質感がメタリック調になり、より存在感が増しました。カメラバーは純正ケースを装着すると特に目立ちますので、組み合わせるケースの色選びの際に一考するとよいでしょう。

Pixel 7 Proのカメラバー
こちらはPixel 7
横から見るとカメラバーはやや厚みがあります。純正ケースを付けると、背面部はかなりフラットになります

Pixel 7 Proは200g超え。重いけど「大画面って楽しい」

手に持ったときのサイズ感・重量感はどうでしょうか。まずPixel 7 Proは単画面スマホとしては最大級の6.7型ディスプレイを搭載するだけあって、重量も200g台超え(207g)。機能もプロなら、重さもプロ(?)といったところでしょう。

Pixel 7 Proの右側面。上方にあるのが電源ボタン、下方が音量ボタン
左側面はSIMカード用トレイ
縦持ち時の底面側にUSB Type-C端子。なおヘッドフォン端子はありません
上面

スマホの大画面化・高機能化の傾向は長らく続いていて、それを受けとめるユーザー側も、歴代でどんなスマホを使ってきたかで、スマートフォンに求めるサイズ感は変わってくるはずです。

2022年時点で筆者は「重量180g・画面サイズ6インチ」を目安にしていて、それを超えると重すぎる・日常的には使いづらくなると思っています。そこで実際に、7月末にはメイン端末をPixel 6aに買い替えました。Pixel 6aは6.1インチ、重量は178gです。

Pixel 7 Proはこの自分基準を大きく超えるため、正直言って最初の印象はあまり良くありませんでした。布団の上で横になって、天井を見上げながらスマホを使うようなシチュエーションでは、Pixel 7 Proを片手で保持するのは相当厳しいです。

ただ、本稿執筆のためにPixel 7 Proを約10日間、近所のファストフード店へ歩いて朝飯を食べに行ったり、電車に乗ったり、車の運転でGoogle マップをナビ代わりにしたり、街歩きしながら写真を撮ったり、色々な場面で試用してみたのですが、重さというデメリット以上のメリットがあるのもまた確かだと感じました。

これまで使っていた端末と比べ、画面サイズが相対的に大きくなることで、見慣れているはずのWebサイトが新鮮・鮮烈に見えてくる。カメラ撮影の構図を決めるのも何か感覚が違う。Googleマップのナビ画面も明らかに見やすい等々……。もちろん、吊革に掴まりながらスマホに触ったりするのは難しいですし、パンツ(ズボン)の種類によっては尻ポケットへ収納しづらいです。

車載スタンドにPixel 7 Proをセット。画面サイズが大きい部分だけ、鮮烈な印象
左がPixel 7 Pro、右がPixel 6a。これだけ画面サイズが違い、重さも差がある以上、同列的に扱うのは無茶で「大きいスマホ」「小さいスマホ」という、あくまで別の製品とみなしたほうがよいのかもしれません。iPadとiPad miniが似て非なる製品であるように

しかし、小画面スマホと大画面スマホでは、総合的な体験がそもそも違うのではないか?と、Pixel 7/7 Pro/6aを同時並行試用してみて、気付くに至りました。筆者がそうでしたが、「大画面スマホって、あり得ない」と頭ごなしにせず、「今使っているスマホより大きな画面のスマホを選ぶと、違う体験ができる」と、アタマを切り替えてみるのもよいかと思います。

Pixel 7は6.3インチ、197g。Pixel 7 Proからは10g軽くなっていて、画面が相対的に小さい影響もあり、手に取ってみるとその差を意外と感じます。

Pixel 7の右側面部。本来カラーに合わせて、側面フレームの色合いが異なりますが、ボタンや端子の配置は原則として同じ
上面のみ、やや違いが。Pixel 7 Proにはあった細長の凹みがPixel 7にはありません。ミリ波のためのアンテナの有無により違いとみられます(Pixel 7はミリ波に非対応)

端末ロックを解除するための指紋認証装置は画面内タイプ。スマホ本体を縦持ちした際、自然と親指があたる部分に内蔵されています。読み取りの精度面では特段の不安を感じませんでした。

指紋リーダーはディスプレイ内に一体化されているタイプ

またPixel 7/7 Proならではの特徴として、顔認証にも対応したことが挙げられます。仕組み上、ディスプレイ上部の自撮り用カメラに顔を映さなければなりませんが、実質的にはスマホ本体を手持ちして、普通に使おうとするとだけで認証解除が試みられ、問題がなければ実際に解除されます。この認証解除の際、カメラ周辺部がリング上に点灯するため、「顔認証が実行されたんだな」という判別も容易です。

なお、顔認証と指紋認証は同時に有効化しておけます。電車内でマスクをしている状態では顔認証をパスできないので、その際は指紋認証……という使い分けが自然にできるのも、良い部分です。

顔認証に関する設定画面
顔データそのものの登録も簡単。画面の案内に従って顔を写し、上下に顔を動かす程度で終了します
顔認証の実行中には、自撮り用カメラが縁取られるように点灯します

ディスプレイ関連ではもう1つ、画面リフレッシュレートがPixel 7では90Hz、Pixel 7 Proでは120Hzに対応しています。60Hzで動作するPixel 6aなど一般スマホと比べ、画面のアニメーションは明らかに滑らか。高リフレッシュレートだからといって生産性が直に上がる訳ではありませんが、とはいえ見ていて気持ちよく、楽しい、優越感の高い機能と言えましょう。

リフレッシュレートは本体設定の「ディスプレイ」から調整可能

プロでなくとも利便を実感できる光学5倍望遠カメラ

さてPixel 7/7 Proを語る上では、やはりカメラを抜きにはできません。基本的にはシャッターを切るだけで十分満足いく写真がとれる訳ですが、そのバックグラウンドではGoogleが培った機械学習(AI)の知見、そしてTensor G2が活用されています。作例を幾つかご紹介しますが、基本的にどの画像も被写体を捉えてシャッターを押しただけ(一部はズームを使用)。また夜景についてはPixel側がオートで夜間撮影モードをオンにしている場合があります。

【Pixel 7 Proの撮影例】
【Pixel 7の撮影例】

どの画像も、撮影後のレタッチやトリミングはしていません。一見して非常に精細といいますか、事後の調整なしでここまでの仕上がりになってくれれば、SNSへの投稿がメインの用途だとほとんど文句のつけようがありません。

それと夜景撮影については、Googleに限らずスマホメーカー各社でその品質が上がっているとは感じていましたが、Pixel 7/7 Proは輪をかけてエモーショナルといいますか凄まじいといいますか……。暗所撮影特有のノイズ感がほとんどないのは、Tensor G2の高い画像処理能力の証でしょう。

そして、撮影関連機能を一通り試した中で、圧倒的にその存在意義を感じるのが、Pixel 7 Pro限定となる光学5倍望遠カメラ機能です。もちろん、望遠非対応のカメラでもデジタルズーム機能を活用すれば、ある程度の望遠撮影は可能です。しかし、専用の望遠レンズによるものとは安心感が違いますし、Pixel 7 Proでは光学ズームとデジタルズームの併用で最大30倍の望遠撮影ができるようになっています。

以下の写真はPixel 7 Proによる定点撮影の例です。三脚等を使わず、手すりに肘を固定する程度の方法で撮影したました。撮影用の「Pixel カメラ」アプリでは広角/望遠段階として0.5、1x、2x、5xが既定値となっていて、そこからさらにピンチアウトすることで30倍望遠撮影できます(それぞれの既定値間で細かく調整することも可能)。

広角/望遠段階が「0.5」
最も標準的な画角にあたる「1x」
「2x」
光学的な限界となる「5x」
デジタルズーム併用での限界となる「30x」

東京駅丸の内南口のドーム屋根を、隣接する商業施設「KITTE」の6階屋上庭園から撮影しました。「5x」画像の品質は十分ですし、「30x」ではあれほど遠くに見えた被写体の窓までしっかり確認できてしまいます。ちなみに、Pixel 6aでは望遠レンズはそもそも搭載されておらず、デジタルズームの限界は「7.0x」。毎日のように使う機能かはともかく、「30倍ズームができる」のは1つの価値でしょう。

上記は遠景撮影の例ですが、光学5倍ズームは室内などでも効果を発揮すると思います。例えば、レストラン・食堂での料理写真。普通に撮影しようとすると、カメラや撮影者自身が照明の影になって写り込んだり、構図を工夫しようとすると今度は席が狭くて動きづらかったり……。こうした体験が積み重なってしまうと「もう、わざわざ写真撮らなくてもいいか」という諦めにも繋がってしまいます。しかし光学5倍ズームがあれば、影がかからない位置からズームして撮影できたり、撮影の幅が一気に、カンタンに広がります。

腕のある方なら、こうした諸問題を知恵と工夫で乗り越えます。ですが「撮影の楽しさ」をアマチュアでも、専用機材なしで実感できるのがスマートフォンの良いところ。「レンズ交換式カメラを買うほどではないが、ちょっと新しい撮影を試したい」という方にPixel 7 Proはハマるのではないでしょうか。

マクロ撮影に対応したことも、Pixel 7 Proの大きなトピックです。食品、植物、ペットなどを大きくクローズアップ、接写するというのも、やはり多くのスマホカメラユーザーにとって馴染みのシチュエーションでしょう。

筆者も、スマホのレビューなどを担当する仕事柄、ちょっとした原稿の撮影はスマホで済ませていますが、接写しようとするとなかなかフォーカスが合わず、成功するまで何度も試すケースが少なくありません。Pixel 7 Proでは被写体にレンズを近づけると、それだけで自動でマクロ撮影モートがオン、離れればオフになるという仕組みで、モード切換を意識する必要はなし。とにかく自然に使えます。

マクロモードは被写体に近づくと自動でオン。中心部に表示されている花マークがその証拠です。離れればオフになります

機械学習パワー! 失敗した写真を後から「ブレ補正」

画像処理関係では、Pixel 6/6 Proの世代では「消しゴムマジック」機能が大きな注目を集めました。それに対して、Pixel 7/7 Proでしか現時点では利用できない機能となっているのが「ブレ補正」です。

ボケていたり、ブレてしまっている写真を簡単な操作で後から修正できる機能ですが、ここでTensor G2が威力を発揮しているといいます。なお、Pixel 7/7 Pro以外で撮影した画像も修正できます。

下に用意したのは、電子マネー「Suica」のカードを接写したものになります。ワザとカードを固定せず、ブラブラと動かした状態で撮影したため、カードの縁やロゴが明らかにブレています。

元画像

これを「Google フォト」アプリから編集します。ツールメニュー内に「ボケ補正」の項目があるので、これをタップ。0~100の範囲で適用度を選べますが、初期値の100のまま実行しました。

ボケ補正は「Googleフォト」の編集メニューから実行します
やることは、補正の適用度を調整するだけ

そして出力されたのが、下の画像です。カードの縁、ペンギンのイラスト、ロゴマークなどがクッキリとし、明らかに改善の跡が見られます。Photoshopのアンシャープマスク機能でパラメータをいじれば、ある程度ピンボケ感は改善できますが、Pixel 7/7 Proのボケ補正は数タップするだけ。待ち時間も数秒と短く、この手軽さは特筆すべきでしょう。

「ボケ補正」を適用後の画像。ペンギンのイラスト、Suicaロゴなどがクッキリ表示されています

スマホはPCなどと比べて画面が小さいため、撮影時は綺麗に撮れたようにみえても、いざSNSへ投稿しよう見直したときにボケ・ブレに初めて気付くケースが多いと思います。今回は、あくまで検証用の画像を用意して試してみましたが、消しゴムマジック以上に応用範囲は広そうです。

「ボケ補正」前後比較

スマホ単体で「咳・いびき」検知できます

製品情報ページではあまり触れられていませんが、個人的に気になったのが就寝中の咳といびきを検知してくれる機能です。専用のスマートバンドなどを巻かずとも、スマートフォン単体で計測できるとのこと。そこで1週間ほど、じっくり試してみました。

この機能は「時計」「Digital Wellbeing」という2つのGoogle製アプリのコンビネーションで実現しています。もともとGoogleの「時計」アプリはPixelにインストールして使うと機能が増えるようになっていて、具体的には「おやすみ時間」というモードがより充実します。起床時間に加えて就寝予定時間を設定することで、スマホの夜間利用を抑制したり、通知の一律ミュートを就寝時間と連動させたりできます。

「時計」アプリ内の「お休み時間」から、設定や計測値確認が行なえます

Pixel 7/7 Proでは、お休み時間モードがさらにもう一段拡張。おやすみ時間モードを設定している時間帯に実際に寝床にいたかを部屋の暗さやスマートフォンの動きで判別し、咳・いびきの状況(マイクで調査していると思われます)を具体的な数値として提示してくれるのです。

下の図は、筆者が就寝時に実際に計測したデータです。「寝床にいた時間」は文字通りですが、「利用時間」とはアプリや端末を操作していた時間のこと。1日単位の情報画面では、具体的にどんなアプリが使われているかまで分かります。ようはどれだけ夜更かししてるか、ってことですね。筆者はYouTubeの音を聞きながら寝入ることがよくあるので、その様子などが反映されています。

おやすみ時間のデータを1週間単位で表示しているところ

そして咳については回数、いびきは分数で、どんな時間に計測されたかが分かります。同居する家族に聞く限り、筆者は比較的いびきが少ないようなのですが、それでも数分単位のいびきを2~3回はかいていることが多い模様。いやはや、チャートして見せられるとなかなかビックリです。

ただ、実際のいびきの音を録音して聞くことはできませんし、同年代と比較して多い少ないというベンチマーク情報的も提示されません。いびきの度合いをエンタメ的に楽しむ……というのはちょっとヘンですが、Pixel 7/7 Proは医療機器ではないので、あくまで参考値として活用しましょう。

咳といびきが確認された時間
1回の就寝の分析。うーむ、この日はひどいな……

スタンダードな7、望遠&マクロカメラの7 Pro、軽さとお手頃さの6a

Pixel 7の発表会では、自撮り写真の撮影をサポートしてくれる「ガイドフレーム(ガイド付き自撮り)」機能もフィーチャーされていましたが、これは現状では視覚障害者の方向けの機能と考えてよいです。本体設定で「TalkBack」機能をオンにして自撮りカメラを立ち上げると、「1個の顔があります」「自撮りに適した距離です」などと適宜音声が流れ、さらに「ポートレート」モードにすると、顔の検出後にシャッター操作までしてくれます。これもまた、機械学習機能の向上によってもたらされた成果の1つでしょう。いずれは「口角をもっと上げて!」「顎を引いて!」というような、さらに踏み込んだアドバイスをしてくれるようになるかも?

「ガイドフレーム(ガイド付き自撮り)」は自撮りのタイミングを音声案内してくれる機能。現状では、視覚障害者向け機能としての側面が強いです

さて、このあたりでまとめましょう。Pixel 7/7 Proはデザイン性と機能の両面において、前世代機であるPixel 6/6 Proの直系発展版と捉えるのが適切でしょう。ハードウェア面での劇的変化は少ないものの、しかしTensor G2を軸に暗所撮影や「ボケ補正」など、ソフトウェア面での機能強化をガッツリと進展させています。

実際のところ、Pixel 6/6 Proを現在利用している方が買い替えるべきかは、Tensor G2をどれくらい重要視するかで変わるでしょう。今のところ、VPN機能、音声レコーダーにおける話者判別(日本語音声)などはPixel 7/7 Proには未実装で、今後のアップデート待ちの状態。少し様子を見るのもアリかもしれません。

全く別のブランドからの買い替えたいときはどうか? 軸となるのはPixel 7 Proでしょう。128GBモデルが124,300円(Googleストア価格)からとお高いですが、望遠カメラや120Hzディスプレイの仕様を考慮すれば妥当な金額でしょう。それに加えて「ボケ補正」などの先進AI機能も体験できます。

Pixel 7はやや中途半端にみえるかもしれません。しかし実機に触れた感じとしては王道スタンダードいいますか、7 Proと6aの中間的存在としての魅力は十分にあると思います。なにより7 Proとは約4万円の価格差がありますし、画面サイズも確実に違うので、使い勝手もまた異なります。

また、前世代モデルになってしまったPixel 6aですが、53,900円という価格は現在でも十分競争力があると思います。軽さという意味ではPixel 7と比べても優位です。懐具合を考慮しつつ、7/7 Pro/6aの中からベストな1台を見つけてください。

ちなみに筆者、文中でも少々述べましたように、大画面スマホの世界観を味わってみようと一念発起し、Pixel 7 Proを個人的に買ってしまいました。普段使いのスマホとしてではなく、あくまで「カメラ」、あるいは自宅に備え付けておくタブレット的な用途を考えていますが、果たしてどうなるやら……。何か発見があれば、またの機会にご報告します!

森田秀一

1976年埼玉県生まれ。学生時代から趣味でパソコンに親しむ。大学卒業後の1999年に文具メーカーへ就職。営業職を経験した後、インプレスのウェブニュースサイトで記者職に従事した。2003年ごろからフリーランスライターとしての活動を本格化。おもな取材分野は携帯電話、動画配信、デジタルマーケティング。「INTERNET Watch」「ケータイ Watch」「AV Watch」「Web担当者Forum」などで取材レポートを執筆する。近著は「動画配信ビジネス調査報告書 2021」(インプレス総合研究所)、「BtoB-EC市場の現状と販売チャネルEC化の手引2020」(共著、インプレス総合研究所)。