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小さくなった「Pixel 8」と最上位「Pixel 8 Pro」 AI活用で“顔”入れ替え

Pixel 8 Pro

Googleは4日、フラッグシップスマートフォン「Pixel 8 Pro」「Pixel 8」を発表した。日本でも予約を開始し、10月12日から発売する。価格はPixel 8 Proが159,900円から、Pixel 8が112,900円から。Google ストアのほか、NTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー、ソフトバンクからも発売される。


    【価格】
  • Google Pixel 8 128GB:112,900円
  • Google Pixel 8 256GB:122,900円
  • Google Pixel 8 Pro 128GB:159,900円
  • Google Pixel 8 Pro 256GB:169,900円
  • Google Pixel 8 Pro 512GB:189,900円
  • Google Pixel 8 ケース:5,400円
  • Google Pixel 8 Pro ケース:5,400円

Pixelシリーズのフラッグシップモデルが小型化しながら一新。新世代「Google Tensor G3プロセッサ」の搭載により、AI活用した新機能を多数追加している。特にPixel 8は70.8×150.5×8.9mm(幅×奥行き×厚さ)、重量187gとPixel 7(73.2×155.6×8.7mm/197g)より小型/軽量化した。

Pixel 8 Proと8の主な違いはディスプレイサイズとカメラで、Pixel 8 Proは6.7型/1,344×2,992ドットのLPTO OLED「Super Actuaディスプレイ」、Pixel 8が6.2型/1,080×2,400×ドットのOLED「Actuaディスプレイ」。Pixel 8 ProはPixel史上最も明るいディスプレイとなり、Pixel 8はPixel 7 のディスプレイよりも42% 明るさが向上した。

フレームレートはPixel 8 Proが1Hz~120Hz、Pixel 8が60Hz~120Hz。また、Pixel 8 Proの本体背面に、温度センサーを搭載。これにより、対象物をスキャンして温度をチェックできるようになり、鍋や、温かい飲み物の温度確認などに活用できるという。OSはAndroid 14。

Pixel 8 Pro
Pixel 8

カメラも進化。AI積極活用で「顔」を入れ替え

カメラはPixel 8が超広角と広角のデュアルだが、Pixel 8 Proが超広角、広角、望遠のトリプルカメラとなる。

Pixel 8 Pro
Pixel 8

広角カメラはどちらも5,000万画素のLDAF(レーザー検出オートフォーカス)センサーを搭載。画角は82度。光学式と電子式手ぶれ補正機能を搭載する。超広角カメラはPixel 8は1,200万画素だが、Pixel 8 Proは4,800万画素に強化し、光感度を105%アップした。画角は8が125.8度、8 Proが125.5度。また、Pixel 8 Proの超広角カメラはマイクロフォーカス機能により、2cmまで近づいて撮影できる(Pixel 7 Proは3cm)。

加えてPixel 8 Proは、4,800万画素の望遠レンズも搭載。ズーム倍率は最高光学5倍だが、超解像ズームにより30倍まで対応できる。ビデオは、4K/60fps対応で。手ぶれ補正を効かせた動画撮影も可能。

フロントカメラは1,050万画素、画角は95度で共通。オートフォーカスに対応する。

カメラアプリはインターフェイスを再設計し、お気に入りの写真や動画モードに素早く移動できる。また、Pixel 8 Proには「プロ設定」が追加され、シャッタースピードやISO、ズーム範囲全体での50MP画質などの設定を活かした撮影が可能となる。

プロ設定

AI活用で写真・動画の可能性を拡張

大きな変化となるのがAIの活用だ。Tensor G3プロセッサの処理能力やAIを活用して、写真や動画の「撮影後」に様々な編集が行なえるようになる。

Tensor G3

「ベストテイク」は、集合写真で一人だけ違う方向を見ている、といったケースに、複数の写真から同じ人の顔情報を取得して、合成してくれる機能。実際に撮影されたGoogle フォト上の写真をもとに人物を特定し、撮りたいと思っていた写真のイメージに近い顔の向きや表情を抽出。変えたい「顔」を選ぶと、特定の人の顔だけを変更できる。

ベストテイク

このAI動作はPixel 8のデバイス上で行なわれる。集合写真でも全員の「最高の表情」が揃った写真を仕上げられるとアピールしている。

なお、こうしたAIによる編集は、(画像を加工して偽情報として拡散する)「ディープフェイク」などで悪用される危惧もあるが、編集された画像にはメタデータが含まれており、サードパーティ製アプリなどで確認できるとする。Pixel Phones担当のピーター・プルナスキー氏は、「GoogleのAI体験は、Google AI原則に基づいたガイドラインに則って設計されている。ユーザーの信頼を第一に考えて設計している」とした。

ベストテイク(Before)
ベストテイク(After)

Google フォトの「編集マジック」は、ユーザーが本来撮影しようとした瞬間の写真を作成するために生成AIを使うもの。試験提供の機能となるが、例えば山を背景にした人物写真の場合、背景の空の色を変えるだけでなく、人の立ち位置や画角をより広くするといった補正が行なえる。

音声編集でもAIを積極的に活用するのが「音声消しゴムマジック」だ。動画を撮影した際に、風切り音や街の喧騒などが入っている場合、その音だけを消すことができる。例えば街でバイオリンの演奏を動画で撮影した場合、人の声や風の音だけを低減して、演奏だけを聞きやすくするといったことが可能となる。AIが自動で音の要素を判別し、人の声やペット、ノイズ、音楽などと分類。Google フォト上の編集画面で分類された要素のボリュームを上下調節して、動画のサウンドを好みのものにできる。

Googleではこの機能を「Computational Audio」として新たなオーディオ処理の可能性をアピールしている。

Pixel 8 Proの「音声消しゴムマジック」

【訂正】記事初出時に「音声消しゴムマジック」はPixel 8 Proのみ対応と記載しておりましたが、Pixel 8/8 Proの双方が対応となります(5日17時追記)

また、Pixel 8 Proでは動画に対して最先端の処理を行なうという「動画ブースト」も今後追加予定。色や照度、手ぶれ補正、粒状性などを調整し、印象的な動画を簡単につくれるようになる。

また、動画ブーストは「ビデオ夜景モード」も搭載。低照度下のスマートフォンの動画画質を向上できるという。

ビデオ夜景モード

レコーダーも複数言語に対応 サポートは7年間に

Tensor G3により、「カメラ以外」のAI応用も強化される。

まず、音声アシスタントの多言語対応を実現し、言語を指定せずにすぐに使い始められる。また、日本語や英語などの複数言語環境にも対応できる。

日本語で音声入力中の画面

加えて、「レコーダー」アプリのテキスト書き起こしでも複数の言語が混在した環境に対応した。これまでは、英語の講演で、質問が日本語というケースでは、英語を文字起こしするか、質問の日本語を書き起こすかを事前に決める必要があったが、英語と日本語を話者ごとに認識してテキストに起こせるようになる。

Tensor G3とTitan M2セキュリティチップが連携し、個人情報の保護も強化。顔認証ロックの精度も向上している。

また、Pixelシリーズで初めて、7年間のソフトウェアサポートを提供。OSアップグレードとセキュリティアップデート、定期的な新機能アップデートが含まれる。

少し小さくなったPixel 8シリーズ

ディスプレイ内センサーによる指紋認証と顔認証機能を装備。メモリはPixel 8 Proが12GB、Pixel 8が8GB。SIMはデュアルSIM(ナノSIM×1とeSIM)。

外形寸法/重量は、Pixel 8 Proが76.5×162.6×8.8mm/213g、Pixel 8が70.8×150.5×8.9mm/187g。

内蔵バッテリーはPixel 8 Proが5,050mAh、Pixel 8が4,575mAhで、いずれも24時間以上のバッテリー駆動に対応し、小型化しながら容量も拡大している。Qi方式のワイヤレス急速充電に対応し、充電端子はUSB Type-C。

なお、Google ストアでは発売記念の特典として、「次回以降」に使えるGoogle ストアクレジットと Google Pixel/iPhone の対象スマホの下取りで、Pixel 8、Pixel 8 Proが両方実質39,800円になるキャンペーンを、10月20日まで実施する。